• TOP
  • 暮らし
  • 動物・ペット
  • カリスマ獣医・野村潤一郎先生に聞く(前編)SOSを見逃さないために、覚えておきたい猫の病気

動物・ペット

カリスマ獣医・野村潤一郎先生に聞く(前編)SOSを見逃さないために、覚えておきたい猫の病気

2026.08.26

  • facebook
  • line
  • twitter

人生を豊かにする猫のいる暮らし そばにいるだけで心を満たし、日々小さな幸せを運んでくれる“猫”という存在。一緒に暮らす楽しみや、猫モチーフを愛でるひとときなど、それぞれの「猫が好き」を集めた、猫愛に溢れる特集をお届けします。

スーパードクター・野村潤一郎先生に聞く SOSを見逃さないために、覚えておきたい猫の病気

いつまでも猫たちと幸せに暮らしたい飼い主にとって、やはり気になるのは病気のこと。家庭画報本誌ではおなじみの「野村獣医科Vセンター」の野村潤一郎院長に、今気にすべき猫の病気について伺いました。

野村潤一郎 野村潤一郎
1961年、東京生まれ。東京・中野の動物病院「野村獣医科Vセンター」院長。北里大学獣医学部獣医学科卒業後、研修医を経て、1991年「野村獣医科医院」を開業。猫のみならず、爬虫類や両生類などペット全般を診療する獣医として全国に存在が知られる。著書多数。弊社からもエッセイ集『ソロモンと奇妙な患者(クランケ)たち』『ダーツよ、鉄(くろがね)の城を見張れ』『動物医の不思議な世界アニマルQ』を刊行。

昔ながらの和猫と純血種の洋猫

猫は大きく二つに分かれます。

一つは、昔ながらの和猫。実用家畜として、ネズミや害虫から家を護ってきた猫たちの子孫です。夜になると膝の上に乗せて一緒に寝たりするけれど、基本的に外への出入りは自由。駐車場で拾ってきたりして、飼い主も「猫ならどれも一緒だよ」という大らかな人が多いです。


もう一つのグループが、ペルシャやヒマラヤンなどキャッテリーで買ってきた血統書付き純血種の洋猫。「今シンガプーラを飼っていて、あとアビシニアンも欲しい」といった飼い主のもとにやってくる子です。うちの病院ではほぼ半々で、「野良の猫も飼っているけれどペルシャ猫もいます」という人はあまりいません。

最初の和猫グループはプリミティブなトラブルが多い。交通事故、猫同士の喧嘩傷。猫の喧嘩は嚙み付き合いで必ず傷が腫れます。嚙まれた箇所はパンパンに腫れて、膿がコップ一杯分出てきたりすることもあります。

それから、喧嘩で移る猫エイズ、そしてノミ・ダニ類、変なものを食べての下痢、あと“猫の風邪”といわれるヘルペスです。外からもらうこともあれば親から子にウイルスが垂直伝播するパターンもあります。また、寄生虫で一番多いのは猫回虫で、郊外の猫に多い。

郊外には昔ながらの飼い方をしている人が多いですが、これらのトラブルの特徴はどれももらい物だということです。猫本体にはあまり問題がない。つまり生まれながらの欠陥ではないということです。気をつけて飼うと20年くらいは生きます。

純血種に多い遺伝性の病気

一方、純血種のグループは、「ネズミは獲らなくていいから、かわいくあってほしい」と交配されてきた猫たちで、遺伝病が多いのが特徴です。

足の短いマンチカンは関節炎になるし、耳が垂れているスコティッシュフォールドは外耳炎など耳の病気がやはり多い。耳がカーブしているアメリカンカールなどは、耳の中までカーブしているので、外耳道が石灰化することが多く、外耳道がガチガチになってしまいます。さらに耳の奥が外耳炎になってしまうと、頑張ってもなかなか治らない。

純血種がかかりやすい遺伝性の病気 純血種がかかりやすい遺伝性の病気 要するに、こういう純血種の猫たちは遺伝子の設計図が変形しているので、足が短い、耳が垂れているだけでは済まず、外見以外にも影響を及ぼしているわけです。

また、猫伝染性腹膜炎(FIP)に感染している猫も純血種には多く見られます。なぜなら繁殖場自体が汚染されていることがあるからです。これは血族結婚を避けるために、台メスと種オスを業者が貸し借りするという現在のブリーディングのシステムにおいては、なかなか防ぐのが難しい問題です。

FIPを発病しなければ終生飼い続けられますが、発病したらアウト。熱が出て、腹水が溜まって、ご飯が食べられなくなって死に至ります。FIPを持っていても発症しない猫ももちろんいます。ただ、猫は集団をつくる犬と違って基本的に単独生活者ですから、集団ストレスに弱く、ストレスで発症することが多い。多頭飼いの場合は注意してください。うまく多頭飼いするには相当広い空間が必要です。

治療は対症療法で、最終的にはステロイドで免疫不全にするしかありません。中国で一撃で治すという薬が開発され、日本にも入ってきていますが、薬が高価すぎるうえ、治る猫もいれば治らない猫もいて実態がまだつかめないため、うちの病院では使っていません。

腎不全は依然、猫の死因ナンバー1

腎不全は和猫、洋猫にかかわらず本当に猫のアキレス腱で、今も猫の死因のナンバー1です。ただこれはそういう資質を持った猫が年をとって悪化して、最終的に腎不全になるというケースが多く、特定の何かを食べるとかかる、といった病ではない。遺伝的な何か理由があるのだと思います。

猫がかかりやすい病気の代表例 猫がかかりやすい病気の代表例 なぜ猫に腎臓病が多いかというと、猫は“砂漠出身者”だからです。猫は元々リビアのヤマネコが飼いならされてイエネコになったといわれていますが、水を節約するために腎臓をフルパワーで回転させ、濃縮した尿を作るという砂漠適応型の生き物なのです。

ところが、人間の家で暮らすようになっていつでも水がもらえるのに、極限まで水分を摂らない。モイストタイプのフードを食べていると水をほとんど飲まないこともあります。

猫と人間の歴史はまだ約5000年しかなく、1万年以上の歴史を持つ犬と比べると、まだまだ人間界に適応していないともいえるでしょう。

(次回へ続く。)

この特集の記事一覧はこちら>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年09月号

家庭画報 2026年09月号

写真/eugenesergeev〈PIXTA〉、アフロ GYRO PHOTOGRAPHY〈アフロ〉 撮影/西山 航 取材・文/三宅 暁

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 08 / 26

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 08 / 26

他の星座を見る