人生を豊かにする猫のいる暮らし そばにいるだけで心を満たし、日々小さな幸せを運んでくれる“猫”という存在。一緒に暮らす楽しみや、猫モチーフを愛でるひとときなど、それぞれの「猫が好き」を集めた、猫愛に溢れる特集をお届けします。
愛しき存在を唯一無二の作品へ 作家が生み出す“猫”
大切な存在を世界に一つのカタチに変えるアーティスト。猫を見つめ、向き合い、残し続けることへの想いに触れました。
はしもとみおさん(彫刻家)

知人の猫からアラブのスナネコまで、はしもとさんの作品の着想源は幅広い。彼らに見守られながら、日々、楠の中に新たな命を彫り起こしている。
「作っているのではなく、思い出している感覚です」
本物と錯覚してしまうほどの生命力に溢れる動物作品で知られる、彫刻家のはしもとみおさん。学生時代に、虹の橋をわたった大好きな猫に「もう一度会いたい」と思ったことが、現在の道に進むきっかけとなりました。
「普段から動物の彫刻たちに囲まれながら制作をしています」とはしもとさん。制作は自然光が入る日中のみ行っている。
「彫刻は作品を作るというより思い出している感覚に近いです。木の中に埋もれているものを見つけて、彫り起こす役割を果たしている感じですね」とはしもとさんは愛おしそうに語ります。
はしもとさんは、モデルとなる猫には実際に会ってスケッチに残す。温もりのある作品が生まれる理由の一つ。
「猫は、すでに完成した彫刻のような美しさで、美術と近しい存在だと思います。インスピレーションを授けてくれる存在でもありますね。凜と立つ姿や柔らかい体を見ていると自然と彫ってみたい、描いてみたいという思いに駆られます。猫の召使いというか、猫の大きな力によって彫らせてもらっているという感覚です」。また、その生き様からも、猫は美術品の対象としてふさわしいと感じるそうです。
アトリエで出会ったフウ(右)、ココ&コロ(上)、ムニャ(左)の彫刻。「すべてを肯定してくれる猫と暮らすと、『生きているだけで幸福』『今を楽しむ』ということを教わります」とはしもとさん。
「美術の使命は心を癒やすこと。猫には涙に寄り添う習性があり、そばにいるだけで、意識や感覚を心地よくさせてくれる力があります。その存在を永遠にとどめた猫の彫刻や絵画には、何よりも人の心を慰める力が宿っているのではないでしょうか」
はしもとみお三重県出身。彫刻のほか、絵本の挿絵、フィギュアの原型なども手がける。著書は『はじめての木彫りどうぶつ手習い帖』(雷鳥社)など多数。9/6まで尾道市立美術館にて「はしもとみお木彫展〜いきものたちとの旅」を開催中。何度も美術館に入ろうとして警備員と攻防戦を繰り広げた、黒猫「ケンちゃん」の在りし日の姿が彫刻として初入館。
インスタグラム:
@hashimotomio(次回へ続く。)
・
この特集の記事一覧はこちら>>