
おいしく健やかな毎日をつくる「わんこ薬膳」の基本(6) 「薬膳」とは、季節や体質に合わせた食材を使い、健康維持や病気予防を目的にした料理のこと。東洋医学の考えに基づいた“食養生”は、人間だけでなくペットの健やかな体づくりと不調解消にも役立ちます。この連載では、発売中の『いちばんやさしい わんこのための薬膳のきほん』(柴田千恵著、世界文化社刊)より、簡単かつ本格的な「わんこ薬膳」の取り入れ方を解説します。前回記事はこちら>>
これまで5回にわたり、わんこ薬膳の考え方や実践方法についてお伝えしてきました。最終回となる今回は、わんこ薬膳に関して飼い主さんから寄せられた質問に柴田先生がお答えします。わんこ薬膳が気になっているものの、まだ始めていない方も、すでに始めていて疑問がある方も、ぜひ参考にしてください。
日頃食べ慣れているドライフードに、野菜をトッピングすることからスタートしてみてください。おすすめは大根や白菜などで、1種類からでも大丈夫。加熱することでアレルギーが出にくくなりますし、細かく刻むことにより消化もしやすくなります。まずは少量から始めてみて。
一緒にあげてもかまいません。朝は肉、夜は魚と分けてもいいですし、1食に肉と魚が両方入っていても大丈夫です。お魚を食べ慣れないようなら、お肉と混ぜてあげてもいいですね。
使用できますが、パサつきや硬さが出やすい食材は、熱量や加熱時間を調整しながら活用してください。また、アクがある、または結石のもととなりやすいシュウ酸を含んでいる野菜、脂身の多い肉などは、鍋でゆでる調理法がおすすめです。
はい。ドッグフードにトッピングでも薬膳になります。薬膳は「わんこに合わせた食材を使っているかどうか」という視点が柱です。わんこの体が熱いか、冷えているかを確認して、さらにドッグフードの主原料が肉か魚であれば、それも確認しましょう。例えば主原料が鮭なら体を温める温性、牛肉なら温めも冷やしもしない平性です。そこに、愛犬の状態に合わせて野菜類をトッピングするといいですね。書籍には、食材を性質別に分けた早見表が付いているので、ぜひ活用してください。
突然ごはんを変えると、便がゆるくなる可能性はあります。市販のフードで種類を移行するときも同じことがいえますね。便がゆるくなるのは腸内環境が変化し、切り替わっているサインで、ほとんどは一時的なものです。腸内環境が整うと治まるので数日様子を見るか、いきなり全部変えずに、以前食べていたフードにトッピングする方法から慣らしていくとよいかもしれません。軟便から下痢になる、粘液便(ゼリー状の液体)が出るなど悪くなるようなら、獣医師に相談してください。
決まりはありませんが、8か月くらいまでは市販のフードをメインに、いろいろな食材を少量トッピングする方法がよいと思います。成長期の子犬には栄養のバランスの偏りなく、様々な食材の消化に慣れさせておきたいところです。シニアのわんこは薬膳が最適です。消化もよく、豊かな香りも食欲をそそります。何より、体の状態に合わせていたわりながらあげられるのが、薬膳の醍醐味です。
切り替えることはできると思いますが、病気に対応した食事を指導されている状況なら、獣医師に相談してからのほうがよいでしょう。薬膳を与える場合でも、安定するまでは、何をどのくらい与えているのかを獣医師に共有してサポートしていくのがよいかと思います。
体は食べたもので作られています。わんこの状態に応じて食材を足し引きしたり、置き換えたりといったカスタマイズができるのが、薬膳の醍醐味です。ここでお答えしたようにドッグフードを利用しても薬膳はできますし、継続することで、だんだんとよい変化を感じることができるでしょう。
愛犬と健やかな日々を長く一緒に送るために、ぜひ「わんこ薬膳」を取り入れてみてください。
柴田千恵さん
しばた・ちえ 国際中医薬膳管理師・POMCペット中医薬膳管理師・国際中医師。愛犬の病気をきっかけに、2017年より「わんこのための食養生ごはん」の開発をはじめ、これまでに累計81万食を販売。同時に、ペットの薬膳教室や中医薬膳オンラインスクール、薬膳カウンセリング、講師業などを通じて、中医学や薬膳学の知識を実践的に活用できる学びの場を広げている。
一般社団法人POMC 食養生薬膳協会(オンラインスクール)https://www.petpomc.com
わんこの食養生ごはん(オンラインショップ)https://pawplus.jp
instagram:@pawplus
現役獣医師や管理栄養士なども受講するペット中医薬膳の専門家が、わんこ薬膳の基礎から実践までわかりやすく書き下ろした一冊。Webには載せていないレシピや食材も多数掲載しています。
Amazon.co.jpでのご購入はこちら→
撮影/大見謝星斗(世界文化ホールディングス) イラスト/ねもときょうこ