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今、飼い主に求められることとは?野村潤一郎院長インタビュー(野村獣医科Vセンター)

2025.04.04

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野村獣医科クロニクル
── ガレージを改造した小さな病院が大病院になるまで

動物医療における最先端の技術を武器に日々患者と向き合い、命を削るように激務に身も心も捧げてきた野村院長。その歩みを駆け足で振り返ってみる。

車は最大の息抜き。愛車はランボルギーニ・カウンタック。買い物もスーパーカーで行くのが野村流。

「どうやったら野村先生みたいにランボルギーニに乗れるような医者になれるんですか?」

野村院長は若い獣医師からこう聞かれることが多いという。つまり「医者で儲けるにはどうすればいいのか?」がまず質問者の最大の関心事なのだろう。野村院長はいう。


「でも自分で何かを計画してやったことってないんですよ。全部人から頼まれることをやってきただけです。だからこういうんですよ。“自分がしたい仕事は存在しない。人がお前らにしてほしい仕事があるだけだ” って」

野村獣医科の開業は1991年。現在のビルの近くに開いた小さな病院だった。開業前、つまり大学の獣医学部を出てから開業までの間、雇われ獣医師としてある病院で働いていた。その頃から爬虫類を飼育していて爬虫類ショップに行っていたことから関係が広がり、あるときヘビの輸入販売をしている業者からこういわれたという。

「あなた医者でしょ。このヘビ診てくれる?」

病気のヘビに当てずっぽうの投薬でどの薬が効くかわかるので薬を調達してほしいという話だった。そこで薬を提供してあげているうちに「治療もやってくれないか」という展開になる。

大学で学んだことは一つも役に立たない。ヘビの治療もしたことがない。しかし若き野村青年は断らなかった。

「それで、あーだこーだやっているうちにちょっとだけ治療できるようになっていったんですよ」

そのことをテレビ局が聞きつけ、なんと雇われ獣医だった野村獣医のドキュメンタリー番組ができ上がったのだ。“ヘビを診る変わった獣医” 野村潤一郎の存在が全国に知れ渡る。雇われていた病院のいい加減さにあきれて、「これなら自分でも開業できる」と思った頃、開業する1年前のことである。

そして開業。その初日。

「普通開業1週間くらいは “ゼロ戦” が飛ぶんですが、小田原から女の子がギンジという名のカメを抱えてやってきたんです」

犬でも猫でもない爬虫類の患者第一号は暗示的だった。

エキゾチックアニマルのブームが訪れ、爬虫類を抱えた患者が全国から訪れるようになる。気分転換でテレビにも出演するようになり、ますます名前が知れてくる。フェレットブームに火をつけることになったのもこの頃だ。

「昔から日本には爬虫類の餌としてフェレットが入ってたんですね。その頃犬猫を飼いたいけれど、マンションが『犬猫禁止』で飼えないという人が多くて、じゃあとフェレットをすすめたんです。一緒にお風呂にも入れて、リスやハムスターより面白いですから」

フェレットが広まっていくと、今度は病気になったフェレットがやってくる。治療法は誰も知らない。仕方がないから自分で開発する。フェレットを診ることができる医者ということで、また患者が増える。

「犬や猫、フェレットでも、よそでやらない手術をやっていますが、誰にも教えてもらってないんですよ。全部自分で編み出した技なんです」

ガラス張りの手術室も、最初の病院が狭くて、開放感欲しさにガラス張りにした。ところがそれは逆に見られるということでもあった。手術の腕もそれゆえ上がっていったのだという。何かが起きてそれに対応する。そして結果オーライ。その繰り返しともいえる。

エキゾチックアニマルのブームのピークが1996年頃、1998年には移転し「野村獣医科Vセンター」として規模を拡大、そして2007年に現在のビルへとまた移転する。

その移転以前は、野村院長がこなしていた手術は多い日で一日に12件、夜12時まで手術といったことも珍しくなかった。

そうした「毎日が事件」という日々の中で、新たな病というハードルを一つ一つ乗り越え、そのために再生治療などの新しい技術も開発・導入していったのだった。

「でも、自分の歴史を語るうえで、ビルを建てたとか新技術を導入したとか、そんなことは大きな出来事ではないんです。僕にとっての一番大きな出来事というのは、まず犬が死ぬこと。次に死んだ後、新しい犬が来ること。この二つだけなんです」

エッセイにも登場した災害時の動物救難のために入手した水陸両用車「アンフィレンジャー」。

水の上はスクリューで移動。東日本大震災のときに出動した。世界に82台しかない技術の結晶。

植物の趣味はもっぱら和蘭。野村院長はそこに植物の進化した姿を見る。「風蘭」「富貴蘭」といった名前も風雅だ。人に見せるときは艶やかに装う(左)。

野村院長を解体する

生年月日:1961年11月26日
出生地:東京都新宿区
出身大学:北里大学獣医学部
モットー:額に汗を心に花を
身長:173センチ
体重:85キロ
コロナウイルス抗体:常人男性平均の800倍
男性ホルモン:同年齢男性平均の17倍
これまで診てきた患者数:約10万件
これまで行ってきた手術件数:約4万2000件
最も難しかった手術:犬の頭蓋骨内の腫瘍摘出
手術の得意技:フェレットの右副腎腫瘍完全摘出(他の病院ではまずできない)、再生治療(幹細胞療法)
医療以外の功績:エキゾチックアニマルの診療を日本で初めて開始、フェレットの導入と普及
愛犬:ビクター(ドーベルマン♂ 6歳)
過去に飼育してきた動物:哺乳類 約20種、爬虫類 約150種、両生類 約50種、魚類 約250種、鳥類 約10種、昆虫 約50種
特筆すべき飼育動物:アルビノのシマスカンク、オオコウモリ
一番長く飼育している動物:サルヴィーニオオニオイガメ(35年)
好きな食べ物:食事はエネルギーの補給にすぎない。
好きなファッション:白衣
好きな場所:隅田川
愛読書:コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』
著書の数:33冊
趣味:スーパーカー、クラシックカメラ、オーディオ、和蘭

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『家庭画報』2025年04月号

家庭画報 2025年04月号

撮影/本誌・坂本正行 取材・構成・文/三宅 暁

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