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今、飼い主に求められることとは?野村潤一郎院長インタビュー(野村獣医科Vセンター)

2025.04.04

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〔特集〕100パーセント動物本位の医療を目指して 動物たちの命を守れ! 野村獣医科Vセンターのすべて 「アニマルQ」の連載で家庭画報本誌でもおなじみの野村獣医科Vセンター院長の野村潤一郎さん。そのストーリーテラーぶりに、一体野村先生って何者なの?と思う読者も多かったようです。そこで今回、野村獣医科を集中取材。そこはまさに「動物本位」の医療の現場でした。前回の記事はこちら>>


【野村院長インタビュー】
今、飼い主に求められるのは自分の頭で考えること

時にはヒーローに憧れる少年のように無邪気にはしゃぐ一面もある野村院長。けれど動物に対する姿勢は常に真剣、プロそのものだ。診療を通して、最近の飼い主たちに感じていることを聞いてみた。

自分で知る努力をせず、ネットの情報を鵜のみにする人たち

今、インターネットで動物の知識を得ようという人が多いんですね。でもインターネットの知識って本当も噓もごちゃごちゃになっているので、昔の人みたいに自分の体と心で知識を得る努力をするのも動物飼育の醍醐味の一つなんじゃないかな。


具体的にいうと、図書館に行く、経験者に話を聞きに行くとか、以前はみんな自分の出来心でつい買ってしまった動物の飼い方をそうやって追求してきたんですよ。

今、何でもかんでもスマホですぐ検索して、書いてあることを全部信じてしまう。果たしてそれが正しいのかどうかを確認できないまま、いろいろ間違っちゃうわけです。

そもそも動物の肉体はデジタルではないんですね。全部アナログ回路なんですよ。なので、もうちょっとアナログ的に、たとえばこの魚は何をするんだと思ったらアマゾンまで見に行ってもいいし、ウンチの中に虫の組織がいっぱい入っていたというのであれば、これは金魚じゃなくてコオロギあげたほうがいい生き物なんだなとか、そうやって自分の経験とか自分が追求して得た知識をもっと信じたほうがいい。

何か自分のことを信じないんですよ。みんな今、自分で見た、または感じたことよりも、インターネットに書いてあることを信じようとするんですよね。もっと自分に自信を持って、できることなら生の知識を得る努力をしたほうがいいんじゃないかと思います。

たとえばYouTubeで動物の専門チャンネルやっている人の多くはみんな若いので経験がないんですよ。よく動物をわかっていない人もいる。

若い人たちって僕の世代の若いときもそうだったけれど、興味を持ってやり始めるけれど、続かないんですよ。せいぜい続いて10年。そこで終わる。それまでは一生懸命になって、買っては飼って、殺してを繰り返すけれどやめちゃうんです、みんな。僕みたいに30年も爬虫類飼っている人はまずいない。

今YouTubeに発信している人たちってそこに至る前の状態で、僕から見るとはっきりいって素人なんですよ。そんな甘いもんじゃない。そこからいかにどんだけ経験を積んで、長くその世界にいるかというのが重要なんですね。でも専門チャンネルをやっていると、素人の人はすぐ信じるじゃないですか。実際はまあまあの参考にしかならない。結局始めたばかりの連中が、今モエモエの絶好調になっているところなんですよ。

「動物って『可愛い』ために生まれているわけじゃないんです」

動物って別に「可愛い」ために生まれているわけじゃなく、たまたま人間に飼われてペットとして生きていたりするわけです。人間のために生まれてきたわけではないので、そこはやはり理解したうえでペットとつきあっていかないとダメです。

たとえば、野生動物と家畜とは違うという、本当に一番ベースになるような知識がないんですね、みんな。だから、ライオンを子どものときから育てて可愛がっていればなつくと思っているんですよ。けれど、家畜と違って野生動物は大人になったら生みの親や育ての親を殺しにかかってきますから。いつまでも一緒にいたら血族結婚になるからですね。どんな動物も子どものときは力がないので、親、育ての親を頼ります。だけどそれが続くと思ったら大間違いで、それが続くのは家畜化された動物だけなんです。

あとやはり変な誤解ですね。さっき水槽の魚が僕に寄ってきましたけれども、僕のことが好きなのではなく、餌をくれる人だと思ってきているだけなんです。寄ってきたからといって手を入れて撫でられるかといったらそんなわけではなくて。

よかれと思ってやったことが裏目に出るパターンが多い

人間の世界の考え方を動物に当てはめて誤解して、よかれと思ってやったことが全部虐待になっているということもありえるんです。「今みんながやっているけれど、それは正しいんだろうか」っていう、子どもを育てる親の目っていうのがありますよね。そういう感じでやっぱり犬も猫も育ててほしいですね。

ペットショップで売っているから使っていいものだと思ってグッズを買って「いい買い物をした」と思っちゃダメで、グッズの中には意味のないもの、危険なもの、動物にあげてはいけないものまであるんですね。

たとえば実験用のネズミに水を与えるときの「給水ボトル」とかですね。あれを犬に使っている人が結構いるんですよ。なんでダメなの?ってことを口で説明すると1時間かかりますが、ひと言でいえば、口が不潔になるし、水の絶対量が足りないんです。それから上を向いて飲むという動物はいません。ありとあらゆる点で問題なんです。ネズミに使うのは、周りを汚さず人件費を節約するためです。

じゃあなんでそれをペットショップで売っているのっていったら儲かるからに決まっているじゃないですか。

だから、本当にやっていいものなのかどうか、もっと自分の頭で考えろということです。それができないのならやめちまえというのが僕の意見です。

「にわか仕込みの知識ではなく、慎重にもっと自分の頭で考えるべきなんです」

人間の一生も動物の一生も同じなんですね。自分の一生は大切にしたいじゃないですか。それは動物だって一緒なんです。ただ、動物たちはそれを知らないで生きているだけなので。

そう考えると、動物の飼い主というのは責任重大なポジションにいると自覚しないといけないんですね。一つの生き物の一生を預かる身になったということになれば、いい加減なにわか仕込みの知識ではなくやはり慎重にもっと自分の頭で考えるべきなんです。

なぜ去勢をしなきゃいけないのか。「みんながしているからうちも」じゃなくて。なぜそれをやるべきなのか、自分の求めているもの、または自分の犬や猫にとってそれが本当に必要なことなのか、自分で考える。極端な話、北極でジステンパーの予防注射はいらないんですよね。ジステンパーがないんだから。それと同じようなことをやっているんじゃないかということです。

自分の子どもにならしないことをよかれと思ってやっていないか

最近の犬の飼い主の部屋には必ずケージがあるんですね。ペットショップが買わせるから、使わなきゃいけないものだと思っているんです。そうやって犬をウサギみたいな飼い方をしてる人が多い。給水ボトル設置して自分は出かけて、自分が遊ばないときは檻に入れておくという。とんでもない話で、「じゃあそれを人間の子どもにやってごらんなさい」ということですね。

犬は人間の子どもだと思って育てたほうがいいです。言葉も教えてください。赤ちゃんに赤ちゃん言葉を使うと言葉への意欲が増すというデータがありますが、犬もまさにそうです。赤ちゃん言葉は飼い主の感情が入りやすく、犬もまた自分に向けての言葉であると認識してよく聞くようになり、意味を覚えます。

撮影/本誌・坂本正行 取材・構成・文/三宅 暁

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