ライフスタイル

ダウントン・アビーの舞台「ハイクレア城」から届いた、初夏の香り

ハイクレア城に暮らす〔特別編〕 ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家のライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。連載一覧はこちら>>

ハイクレア城に今年も、爽やかな季節が訪れました。庭には様々な種類の薔薇が咲き揃い、下草の陰には英国の青空よりも澄んだ、水色の忘れな草の花々が群生しています。シャクナゲの蕾がぷっくりと膨らんで今にも咲きそうです。

5月下旬から6月にかけては春に別れを告げるとともに、夏の訪れを徐々に伝えてくれる月でもあります。それは少年が、いつの間にか青年に脱皮していくのを目の当たりにするかのような青い季節です。

敷地内に咲き誇る春の便り、初夏の贈り物を摘みにグリーン・ガーデンへ向かうレディ・フィオーナ。

ちょうど1年ほど前、レディ・フィオーナは「この喜びに満ちた季節の薫りを瓶に詰めてとっておきたい」と、ふと思いました。そのきっかけを与えてくれたのは近所に住む香水作り専門家(パフューマー&調香師)ルーシー・アクハーストさん。

彼女は、ハイクレア城の敷地内に香水スタジオ「ラ・メゾン・ヘドニック」を構え、ロンドンやパリなどにビスポーク セント ソサエティの香りを届けているパフューマーです。

「ルーシーのすすめで、香水作りを試してみたい」と思ったレディ・フィオーナは、「アロマを扱うのは、とても楽しい時間でした」と心を弾ませていました。

モンク・ガーデンの古いレンガ塀に高貴な香りを奏でるマスクローズ。

レディ・フィオーナとルーシーさんとの「アロマ遊び」からは、2種類のオリジナル・フラグランスが誕生しました。

「一つは大切にしている、敷地内のつる薔薇の香りをベースにしたもの」。マスク・ローズと言われる種の蔓薔薇は毎年、春の終わりから秋にかけて、「モンク・ガーデンの古いレンガ塀に、まるで滝の流れのように咲き誇り、甘い香りをあたり一面に放ってくれます」とレディ・フィオーナ。

彼女は、この薔薇尽くしの香水を、カナーヴォン家が伯爵の称号を得た年号に因んで「1973」と名づけました。「この香水をつけると、高貴な薔薇の香りが1日中、自分を守ってくれるかのよう」と微笑みます。

完成したハイクレア城オリジナルの香水「1973」。品格のあるボトルデザインも美しい。

ハイクレア城内に香水スタジオ「ラ・メゾン・ヘドニック」で、構想を練るルーシー・アクハーストさん。

もう一つのフラグランスは「ロラート」と名づけました。アフリカはボツワナ共和国の公用語ツワナ語で「愛」という意味です。こちらは「夏向けの新鮮な香り」で、ルーシーさんとのコラボブランドとなりました。

インスピレーションはハイクレアの果物栽培用のグラスハウス。ライムのような香りがするベルガモット、すずらん、きゅうり、若草、オレンジの花を清廉な水の流れに掛け合わせたようなフラグランスです。

レディ・フィオーナは、どうやら文字どおり、夏の輝きをボトルに閉じ込めてしまったようです。「これをつけると若草の上を裸足で駆けまわるような、大地に近い気持ちが込み上げる」と笑いました。

ハイクレア城のグラスハウスに漂うフレッシュな初夏の香りを凝縮した「ロラート」。

「1973」も「ロラート」も限定版。ハイクレア城のショップで買うことが可能です。「これからも、同じ香水を作り続けるかは、まだ決めていない」と彼女は言いますが、是非とも続けてほしいフラグランスです。
ハイクレア城のオリジナルのグッズなどを扱うショップ「コーチハウス」。

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