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海と山の絶景に囲まれて。五感のすべてを満足させる別荘ライフを拝見

2020.05.27

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人生を楽しむライフスタイルの拠点「豪邸拝見」 第2回(全10回) 人生で成功を収め、社会的な立場が上がっていくと、住まいは、「家族の器」としての本来の機能から拡大し、「社交の場」としての役割も求められるようになってきます。住まいという最も私的な場所にゲストを招くという行為は、それだけでもろ手をあげた最大限の友好の表明。それゆえにゲストとの親密度は一気に増します。心を開き、共通の友人を招いて、家族ぐるみのおつきあいをする──そのことで人生はよりいっそう潤いを増します。住まいを拠点に人生を貪欲に楽しむ人々を追いかけました。ここで養う英気が、次の幸運を引き寄せます。前回の記事はこちら>>

波の音でおもてなし
──I邸(千葉・房総)


波の音でおもてなし──I邸(千葉・房総)

海を望む砂丘に建つI邸。3方ガラス張りの別荘からは、四季の変化を感じさせる美しい山並みも見渡せる。

「海の向こうに夕陽が沈むと、月明かりの道ができ、満天の星が広がります」



海の向こうに夕陽が沈むと、月明かりの道ができ、満天の星が広がります

寄せては返す波の音が心地よい、浜辺の砂丘に建つ邸宅。内部は、地表の起伏をそのままなぞるように高低差がつけられている。漂着した流木やシーグラス、丸太の防砂柵などを取り入れているので、この土地ならではの環境が屋内でも感じられる。写真/新建築社

海と山の絶景を前に五感のすべてを満足させる


海と山の絶景を前に五感のすべてを満足させる

インフィニティプールが外の景色をつなげるため、ドラマティックに変化する自然を室内でも楽しめる。いつまでも眺めていたい海面の煌めき。

都内の自宅から、車で約90分。太平洋に面した南外房の砂丘の上に建つのが、Iさんご夫妻が毎週のように訪れる別荘です。

エントランスホールを抜けてダイニングに入ると、まず目を奪われるのが3方向に大きく開いた窓からの絶景。インフィニティプールの向こうに広がる大海原の先には、遠く大島や式根島、新島などが望めます。

15年前からトライアスロンを趣味とするご主人にとって、ここは練習の好適地。さらに、海辺の土地をいくつか見た中で、景色が広々しているところが気に入ったと話します。

Iさんご夫婦

右・「80歳までトライアスロンをしたい」と話すIさん。左・暮らしに花を欠かさないご夫妻。海を望むキッチンは大人数での作業にも対応できる広さ。

この別荘にはトライアスロン仲間をはじめ、会社スタッフらが気軽に訪れます。その際のおもてなしは、もっぱらテラスのアウトドアダイニングで、波の音を聞きながらの食事です。

「館山の新鮮な海産物や野菜を、備長炭を使った七輪で焼いて食べるとすごくおいしいんです」と奥さま。

夫婦2人のときも、海を望むオープンキッチンで作った料理をテラスに運んで食べることが多いといいます。

バーカウンター

上・アイラ島のシングルモルトなどお気に入りの銘柄を揃えたバーコーナー。下・山を望む展望風呂では、寝そべりながら本が読めるよう、浴槽内にIさんのボディラインに合わせて採寸した御影石のカウチを設置。自然と対峙できる空間にした。景観との調和を図り、天井は曲線仕上げに。

「慌ただしい東京とは違い、ここで海と空を眺めていると心の底からリラックスできるんです」と奥さま。Iさんも「気温は東京と同じでも光と影が濃い気がしますね」と別荘での暮らしを絶賛します。

館山では晴耕雨読で過ごすというご夫妻は、この家には直線的なものがあまりないと話します。

「都会の景色は直線的ですが、本来、自然の中に直線はありません。そのため、壁や階段などに自然な曲面をつけました」。

室内やエントランスに段差を設けているのも、地形のアンジュレーション(起伏)に対応するためだとIさん。

「そのために、部屋ごとにサッシや天井の高さも変えているんです。おかげで家の中にいても外の自然との調和を感じられて気に入っていますね」。

和室

山並みを見渡せる和室には、雪見障子ならぬ上部が開く山見障子を設置。天井には、周辺の竹林と合わせ、煤竹を使用。

誰もが楽しめるよう30センチから2メートルまでの水深をもつインフィニティプールも、地形に合わせてゆるやかにカーブを描き、水中には海岸でとれたシーグラス(丸みを帯びたガラス片)をちりばめて海底に見立てています。

ほかにも、海風で運ばれる砂をさほど気にしなくてもいいように1階は靴履きとし、床もモルタルの洗い出し仕上げにするなど、まわりの自然と共生するための工夫が随所に。

「海を眺め、波の音を聞き、潮の香りをかいで、おいしいものを食べ、水に触れる。五感のすべてを満足させることがリラックスにつながることを、この家で実感しました。その感覚を遊びに来た人たちと共有することで、新しいビジネスにもつなげたいと思っています」

Iさんの言葉に、別荘のあるべき姿を見た気がします。

ベットルーム

右・主寝室のベッドからは海と空だけが目に入るよう、窓の位置や大きさを工夫。左・1階の床はモルタルに小石を混ぜた洗い出し仕上げで、砂丘とのつながり感を演出。

太陽の動きで季節や時間を知る。ここにいると、一日がゆったりと過ぎていきます

太陽の動きで季節や時間を知る。ここにいると、1日がゆったりと過ぎていきます
天井には合計355本にも及ぶ国産杉の垂木と梁材を使用。接合部は寺社仏閣でみられる「ひかりつけ加工」を使用。消えつつある職人の手仕事を大切にしている。地形のアンジュレーションに沿った段差もこの別荘の特徴だ。

中村拓志&NAP建築設計事務所
広島のリゾートホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」など自然を生かした建築を得意とする。代表の中村拓志さんは隈研吾建築都市設計事務所出身で、2002年に独立。戸建住宅のほか、礼拝堂やホテル、集合住宅など幅広く手がける。
撮影/西山 航 取材・文/冨部志保子 スタイリング協力/山田喜美子

『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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