インテリア

世界にひとつの茶箱で特別なティータイムを楽しみませんか?

ロイヤル コペンハーゲンが人間国宝・山下義人さんに託して生まれた
香川漆芸の極み「末代物の護り箱」

高度な彫りと色の多彩さで知られる香川漆芸は、江戸時代後期に高松藩の庇護のもと発展。芸術的な品々は将軍家や有力大名への進物の品としてしばしば用いられました。その中心となったのが香川漆芸の祖といわれる玉楮象谷(たまかじぞうこく)です。鞘塗(さやぬり)師の家に生まれた象谷は、中国や東南アジアの漆器に学び、「蒟醤(きんま)」「存清(ぞんせい)」「彫漆(ちょうしつ)」という三技法(詳細はこちら)を確立しました。


山下義人さん(やました・よしと)
1951年香川県生まれ。香川県立高松工芸高等学校漆芸科を卒業後、磯井正美氏、田口善国氏に師事。2007年紫綬褒章受章。2013年重要無形文化財「蒟醤」保持者(人間国宝)認定。

制作に込めた思いを伺った特別インタビュー動画はこちら>>


山下さん作、蒟醤箱「山滴(したた)る」。雨を集めて流れる四万十川を表現した作品。「新橋色というのかな。自分の心にある色を出せるのが香川漆器の強みの一つだと思っています」。

それから時を経て令和の今、蒟醤の技法で作品を作り続けているのが、重要無形文化財「蒟醤」保持者(人間国宝)の山下義人さんです。今回、その山下さんが若い漆工芸作家たちを率いて挑んだのが、洋食器を収める箱の制作。初の試みのパートナーとなったのは、デンマークの名窯、ロイヤル コペンハーゲンでした。同社の最高級シリーズ「フローラ ダニカ(ラテン語でデンマークの花の意)」の器に見合う箱として、山下さんが思い描いたのは子々孫々まで使える「末代物(まつだいもの)」の茶箱。「正倉院には、宝物を収め、持ち運ぶことのできる立派な漆の箱があります。中のものを護り、百年先、二百年先にも残そうという箱。そんなものが作れたらと思いながら取り組みました」。

制作にあたり、山下さんはまず、東京・有楽町のロイヤル コペンハーゲン本店へ。そこで目にしたのは現代的なデザインの新シリーズ「HAV(ハウ)」でした。「時代に合わせた挑戦をしているのだと感じ入りました。伝統工芸には不可欠なことだと思います」。

そして、白い磁器が黒いテーブルに映えているのを見た山下さんは、黒漆の作品にすることを決めました。「香川漆芸の特徴は何万色もの色があることですが、今回は磁器の白が最も引き立つ黒漆で格調高く仕上げることにしました。ドット模様は『フローラ ダニカ』の金彩のドットに想を得たもので、色は磁器の白にしました」。このドットの特筆すべき点は、茶櫃(ちゃびつ)は蒟醤、茶筒と小函(こばこ)は存清、小簞笥は彫漆と、異なる技法が用いられていること。「香川漆芸の三技法を生かして、喜んでもらえるものに仕上げたい」という山下さんの情熱が込められています。


「フローラ ダニカ 230周年記念 望  野点小箪笥」の小簞笥の模型。納得のゆく形を見出すまで、何度も微調整を繰り返したという。


右・漆は本来琥珀色。黒漆は古釘などで鉄分を加えて作る。左・「黒漆を10回塗りました。回が進むにつれ、肌合いが落ち着いてきます」と山下さん。写真は1回目の塗りを行っている様子。


小簞笥の蓋裏に蒔絵を施したところ。この後漆をかけ、研いで仕上げた。

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