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危うく不法滞在者に!? 大人気エッセイ「40代のフランス移住」シーズン2が始まりました!

意外となんとかなる!? 40代のフランス移住 Season2

ファッションライターとして『家庭画報』をはじめ、大人の女性に向けた雑誌で活動してきた河島裕子、改め、ルロワ河島裕子が、夫の故郷であるフランスに家族3人で移住することを決意。42歳で初の海外移住を遂げ、初心者ならではの目線で、移住ライフの模様をお届けする、エッセイ連載第2弾が今週からスタートします。フランス北部の田舎での生活、そして伝統行事や子供のこと、フランスの地方を旅した模様などをリポートしていきます! フランス移住シーズン1はこちら>>>

第6回 ついに正式にフランス移住者となりました!

移住者として認められるまでの道のり

初めての海外移住を前に、フランス長期滞在ビザ取得のための書類(長期ビザ申請書、フランス婚姻証書謄本、家族手帳、数種の夫の証明書など)をかき集めていた1年前が、遠い昔のことのように感じられる今日この頃。昨年9月から住み始めた人口約600人というフランス北部の田舎での生活にも、だいぶ慣れてきたように思います。

さて、私にとって海外に長期滞在するのは、大学時代の2か月間のフランスでのホームステイ以来。その時はすべてを代理店に一任していたため、海外に住むための手続きを自分で行う大変さなど想像もつきませんでした。

私が渡仏前にすべきだったのは、在日フランス大使館での配偶者ビザ取得。これは日本語のホームページがあるので、夫の助けを借りながら必要書類を集め、拍子抜けするくらいあっという間に、わずか2週間半後にはビザが発給されました。
さあ、これでフランスに行く書類上の準備は整いました!

大事な書類を放置! 危うく不法滞在者に……

そうして無事フランス上陸を果たし、すっかり安心しきっていた私。ところが、入国後すぐに地域の移民局に送らなくてはいけなかった書類を、3週間以上も気づかずパスポートに挟んで寝かせていたことが発覚(パスポートを提示する必要があった際、横にいた夫が発見しました)。

そのまま放置して、3か月以内に移民局の承認をもらえずビザを有効化できなければ、危うく不法滞在者に!! いやはや、本気で焦りました。この時ほどチェック魔の夫を頼もしく思ったことはありません(2019年2月より、この用紙を送付する制度はなくなりインターネットでの登録になったそうで、私のようなうっかりさんも少なからずいたに違いないと推測するのでした)。

またもやうっかり! 度重なる自らの失態に失望……

さて、すぐに提出フォームをパスポートのコピーと一緒に簡易書留で送付。その1週間半後に移民局から「受領証明書」が届き、書類が無事受け取られたことを確認しました。

実はこの「受領証明書」、正式な承認を受け取るまでの仮の証明書類になるようで、大切に保管しなくてはいけないのですが、単なる受領のお知らせだと思った私は、うっかり破棄……。何もなかったからよいものの、もし警官に職務質問でもされることがあったら事件になっていたかもしれません。後日その事実を知ったとき、さすがに自らの重ね重ねの失態と天性のいい加減さを呪い、サーッと血の気が引いたのを覚えています。

そんなすったもんだがありながらも、2週間後くらいには移民局から召喚状が届き、11月後半の指定日に承認手続きのため移民局に赴くことになったのです。


移民局から届いた召喚状。召喚日には健康診断や語学テスト、職員との面接があるとのことで、この日をドキドキしながら待ちました。(シワシワですみません!)

フランスではお役所スタッフもマイペース?

フランス移住者の皆さんのブログを拝見するに、移住初年度の移民局での対応は、地域によって少々差がありそうです。私が住むピカルディの移民局は、我が家から車で約1時間。マクロン大統領夫妻の出身地としても知られるアミアンという地方都市にあります。

指定時間の15分前に移民局オフィスの前につくと、ようやくドアが開けられたところでしたが、控え室で待機し40分を過ぎても、なかなか名前が呼ばれない……。不安に思って隣のモロッコ出身の女性に聞いてみると、彼女は私よりも1時間早く召喚されていたにもかかわらず、オフィスのドアが開いたのがその約1時間後……。気温0℃の寒空の下、ひたすら待っていたそうです。さすがフランス!

思わぬところで「移民」同士の会話に花が咲く

ちなみに私以外のほとんどが、アラブ系アフリカ系の方々で、すでにフランス語が流暢に話せる人たちばかり。私のドキドキがさらに高まります。しかし、アラブ系の方たちはとてもフレンドリーで、少々言葉に不自由があってもやたら話しかけてくれ、とても楽しく移民局での時間を過ごしました。

その後、胸部レントゲン検査、医師による問診があり、午前中の部が終了。個々に昼食を取り、午後の語学力テスト&OFII(移民局)職員との面接へと続きます。


移民局の診察室前の移動レントゲン車内で、胸部X線写真を撮影。健康診断好きの私はなんだかワクワク。

移住後最初の試練、移民局での面接に挑む!

大学時代学んだフランス語の記憶を手繰り寄せながらなんとか終えた筆記テストを経て、いよいよ面接へ。語学力のない人にとっては、この面接が今後の滞在を左右するカギになるようです。というのも生活に必要な語学力がない人は、強制的に語学レッスンに通わなくてはならないから。嫌がる人も多いようですが、私はタダで学校に通わせてもらえるなら是が非でも!と期待を抱いておりました。

面接では、移住者がフランスで自分の力で生活していくだけのスキルを持っているか、ということをチェックしているようです。だから仕事をする予定がなかったり(収入がない)、意思を伝えるだけの語学力がなかったり、田舎では死活問題となる車の運転ができなかったり、という人はかなり厳しい反応をされるとか。

そこで、フランスでも細々と日本のメディアと仕事を続けていること、自分で車の運転をし息子の学校の送迎をこなしていることを一生懸命説明。かつ「できれば語学レッスンに通わせてもらいたい」と必死でアピールしました。

が、「あれは本当に初歩的なレッスンだから、あなたには全く必要がないわ」とあっさり却下され、無料レッスンの道は絶たれてしまい、がっくり。しかし、こうしてフランス上陸から約2か月半後に無事“滞在許可証”を手に入れたのでした。


マクロン大統領夫妻の出身地アミアンの中心部にある、ブリジット夫人の実家のショコラトリー「Jean Trogneux」。11月後半という時期でもあり、店内はクリスマスムードに包まれていました。

“自立”と“平等”を重んじる国、フランスは「移民」にも手厚く、手厳しい

実は、前述の語学レベルの十分でない人を対象とした無料語学レッスンに加え、後日、働く権利を持っている移住者全員に2回の市民講座受講が義務づけられています(私が体験した2018年末時点)。市民講座では、フランスの歴史や文化、社会制度、雇用のことなどを学びます。後半は私の語学力ではかなり難しかった……(冷や汗)。

移住者たちに対して、お金、時間、労力をかけて、フランスで暮らしていくための最低ラインの能力を身につけさせるフランス政府のこの姿勢は、個人的には好意的に受け止めています。

たとえ「移民」であっても、フランス市民として自立して積極的に社会活動に関わるべき、という考えは、「自由、平等、友愛」を掲げるフランスという国の精神を表しているような気がします。また、健康保険に加入する権利も与えられ、保険料も医療費もタダ! 税金は日本に比べるとたまげるほど圧倒的に高いですが、その分、社会保障は充実しているのです。

夫が日本で配偶者ビザを取得した際の経験と比べてみると、日本では書類審査のみで、語学力はもちろん、その人の生活を保証する配偶者などがいれば、移住者本人の生活力は問われないようです。無料の語学レッスン(地域によっては希望者に無料レッスンを提供するところもあるようです)も、日本に対する知識を共有する講座などもなし。条件さえ満たせば寛容ですが、それ以外は個人の責任に委ねるといった姿勢を感じました。

北フランスは名ゴシック建築の宝庫

私が訪れた移民局のあるアミアン、市民講座を受けたボーヴェ、そして我が家から1時間ほどのノルマンディの街ルーアンなど、北フランスには名ゴシック建築と呼ばれるカテドラル(大聖堂)がいくつかあります。

歴史や建築の知識がなかったとしても、ただただ圧倒される美しさです。パリやその周辺は何度も訪れたという方は、テーマを決めて地方都市を訪れてみても面白いかもしれません。

そう、フランスは地域によって、息づく文化も人のメンタリティも個性豊か! 次回は、ヨーロッパ出張の合間にフランスを訪れた友人とともに、2泊3日という短い日数ながら車をフル活用し、ノルマンディ&ブルゴーニュを訪れた旅の模様をお届けします。

大人気エッセイ フランス移住シーズン1>>>

01 40代、仕事を辞めて家族でフランスに移住しちゃいました!
02 フランスへ移住して1か月。刺激と美食を求め、パリへ1泊2日のグルメ旅行
03 フランス移住で見えた、大人もハッとする子供の教育事情についてリポート!
04 移住生活で見た! フランス人の“美オタク”ぶりが発揮される庭づくり
05 フランス移住生活1年目の締めくくりは、コテコテ王道のクリスマス体験

ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy

ファッションライター

『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年9月より、家族とともに、生活拠点をフランス北部の田舎に移す。夢はワインの聖地・ブルゴーニュでB&Bを営むこと。パリで道ゆくおしゃれな人に体当たり取材する「パリ、大人のおしゃれの見本帳」を家庭画報.comで連載中。

「40代のフランス移住」 シーズン1はこちら>>>

フランス移住こぼれ話

近年日本でもよく見るイースターエッグのチョコレート。この存在は知っていたのですが、私は今年までイースター(復活祭、フランス語で「Pâques(パック)」)を体験したことがありませんでした。このイエス・キリストの復活を祝う日は、フランス人にとっては、キリスト教のお祭りとしてはクリスマス以上に重要な意味合いを持つそうです。

3月後半から、スーパーマーケットやショコラトリーでも、誕生を意味する卵や多産で復活&繁栄の象徴であるウサギなどをかたどったチョコレートが並び始めます。その可愛さに引かれ、いくつか買ってウキウキ気分で帰りました。そうしてほかの食材と一緒に片づけていたところに、夫と息子が帰宅。目ざとい息子にすぐに見つけられてしまいました。

しかし、それを見ていた夫と義母が横で青ざめており……。ご存じの方も多いでしょうが、このチョコレートはイースターの日に、ウサギがこっそり届けてくれた卵を探す(ということに我が家ではなっています)「エッグハント」をするためのものだそうです(お恥ずかしながら、この時初めて「エッグハント」の内容を理解しました)。しかし、その事件を覚えていなかったのか、忘れたふりをしてくれたのか、当日、息子は大はしゃぎで庭中を駆け回って卵を探し、母の無知による失態をカバーしてくれたのでした。

写真・イラスト・文/ルロワ 河島 裕子

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