広島の“バラ名人”が作る、美しい「バラ」の贈り花。秋のハロウィンアレンジも

お部屋に飾るハロウィンのアレンジのオーダーをいただき、すぐに神田さんのバラ‘マンゴーリーバ’を主役にしようと決めました。オレンジ色より少し優しい印象の花色はまさにマンゴーの色。波打つ花弁の重なりが見事な美しさです。マイクロポンポンダリアとチョコレートコスモスを合わせ、紅葉ヒペリカムでさらに季節感を出してみました。

男爵と貴公子。広島にはバラ作りの名人が２人います

1年を通して何かしらの品種が出回るバラは、どう挿しても存在感があり、贈り花には欠かせない花です。私が知るだけでも全国にすばらしいスキルとセンスをもつ栽培農家さんがいて、1回では紹介しきれないと悩みました。そこで、今回は地元・広島のバラ作りの名手、お２人を取りあげます。


まずは竹原市にある「京果園 神田」の神田昌紀さん。ダンディーなその風貌から「バラ男爵」と呼ばせていただいています。早くからオランダの栽培技術を取り入れ、先進的な設備を導入した神田さんのバラは、花が大きく、茎がしっかりして花もちもよく、常にすばらしいクオリティです。とくにすごいのは高温多湿な夏場でもクオリティの高さが変わらないことです。クオリティの高さにおいて、1年を通して絶対的な信頼を置いています。

もうお1人は廿日市市にある「とくなが園芸」の徳永和宏さん。優しくロマンチックな方なので「バラの貴公子」とお呼びしています。



‘レディファンタジー’‘ディアリー’‘プチボヌール’。｢とくなが園芸｣を代表する3種のスプレーバラを3層にしてケーキのようなアレンジに。東京から広島に住むお友達へ、誕生日の贈り花です。秋のアジサイやピンクの実がかわいらしいシンフォリカルポス、緑色のスカビオサを添えて。

徳永さんはスプレー咲きのバラをメインに生産するだけでなく、育種も手がけています。年に生産する約50品種のうち、約20品種がオリジナルの品種です。今年はどんな新作が登場するか、いつもわくわくさせてもらっています。ニュアンスの異なるピンク系のバラは、いずれも花姿が美しくエレガント。さすが貴公子が生みだすバラだと感心しています。

距離的に近いことから鮮度抜群のバラを入手できるだけでなく、異なるタイプの名手が2人いらっしゃることは、贈り花を制作するうえで、これ以上ない幸運だと感じています。お2人が作りだす美しいバラの中から、この時期に出回る品種、そしてこれからの時期に可能な花合わせの贈り花を紹介します。悩みに悩んで絞り込んだのですが、それでもいつにも増して写真が多くなりました。どうぞ、最後までお楽しみください。