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今森光彦さん、農家になる。山の神様からの贈り物

前回まで)里山を作る、という夢の実現のために農家になることを決意した今森さん。地域のかたから譲り受けた土地は、荒々しい竹に覆われ、その場所だけが、まるで季節を忘れてしまったかのようでした。ただひたすらに竹を伐り続ける日々が続きますが……。

今森光彦 環境農家への道 第5回
山の神様からの贈り物

(文・写真・切り絵/今森光彦)

水がぬるむと、どこからともなく土の匂 いが漂ってくる。田んぼの畝がほぐされ、 水や空気に泥がふれて、微生物が活動をし だしたときに放たれる生命の芳香だ。そん な頃、アトリエの庭では、一雨降るごとに アマガエルの鳴き声が数を増してくる。

荒れ果てた農地での仕事は、ひたすら竹 を切るという過酷なものだった。しかし、辛いことばかりではない。竹の伐採を開始 してから一か月くらい経過した頃から、神様が、ぽつりぽつりと、素晴らしいプレゼ ントをくれるようになった。

その贈り物と は、竹藪に埋もれていたさまざまな樹木。肉体的に疲労して、暗闇の中をさ迷っている 状態だったので、予期しない出会いは、私に大きな希望を与えてくれた。

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何本も見つかったのは、柿の古木。どれ もが、何十年間も、日当たりと風通しが悪い状況で生育していたので、幹は、どす黒く、葉のついた枝は、先端の方にしか広がっていない。どの木も、いかにも不健康そ う。「今日までよく生きていたなー」と、私は、思わず独り言をつぶやいた。

今森光彦 切り絵 ヤツガシラ
ヤツガシラは、春に見られる珍しい鳥。アトリエの近くでも何度か観察しているが、いつも予期しない出会いだ。農地が好きで、耕したあとの土の上にとまっていたりする。庭に咲いたラナンキュラスと、長年愛用している庭道具と一緒に撮ってみた。ヤツガシラの切り絵の大きさは長さ30㌢くらいで、ほぼ原寸大。

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