「豪邸マンション」第2回(全7回) セキュリティやホスピタリティ、立地のよさゆえ、富裕層向けマンションの人気は衰え知らず。海外体験などから、ホテルのように美しく洗練された空間に住みたいというかたも増えています。IT時代、ウィズ コロナを踏まえ、機能性と利便性を兼ね備えたリノベーションの最前線を紹介します。前回の記事はこちら>>
空間デザイナー池貝知子さんが指南する、今どきの「豪邸マンション」設計術

池貝知子
建築設計事務所を経て、2006年アイケイジーを設立。「代官山 T-SITE」のクリエイティブ・ディレクションをはじめ「二子玉川 蔦屋家電」「B&BITALIA TOKYO」などの商業施設や住宅設計デザインを手がける。国内外での受賞歴多数。
富裕層のための上質な住まいを数多く設計していることで知られる池貝知子さん。ここでは、空間の広がりを感じさせる手法をはじめ、最新設備の活用、生活感を感じさせない工夫、ラグジュアリー感の演出など、マンションに採用することが多い独自の設計術についてうかがいました。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。
今どきの「豪邸マンション」設計術
Point 1「IT駆使」~ホームコントローラー~
窓辺のシェードの開閉、照明・空調・AV機器などの操作がすべてタブレットで行え、「おはよう」「おやすみ」など、シーンごとに複数の機器を制御するモードも。
Point 1「IT駆使」~ホームコントローラー~
バルコニーの植物も自動で灌水するので、長期の旅行時も安心。
Point 2「引き戸」~空間をつなげる~
LDKに隣接する寝室やパウダールームは引き戸で仕切られており、扉を開け放つと全体がつながった一室空間に。写真はダイニングから見通したところ。左奧に寝室が続く。
Point 2「引き戸」~空間をつなげる~
リビングダイニングから見た寝室。
Point 3「曲線」~ラグジュアリー感の創出~
コンテンポラリーでありつつラグジュアリー感を演出するには曲線を生かすのが効果的だと池貝さん。写真のトイレも柔らかなカーブを描いた壁や洗面台が美しい。筒状のブラケット照明は石を上下からくりぬいてつくった労作。
Point 4「衛生」~ウィズ コロナ~
玄関→シューズクローク→クロゼット→寝室の裏動線を確保し、新型コロナウイルス感染症対策として、帰宅後すぐ手が洗えるよう、シューズクローク手前に手洗いシンクを設置。ペーパータオルやごみ箱もスマートに収納。
Point 5「ミラー効果」~開放感~
キッチンの奧にパントリーを配置。扉と間仕切り壁が全面鏡張りなので、面積以上の広がりが感じられる。キッチンはイタリアのトップブランド「ボッフィ」。冷蔵庫や冷凍庫もすべて、重厚な木製扉の奥に収納されている。
Point 6「仕掛け」~格納ベッド、アイロン台~
上は来客用の格納ベッドのある予備室。下は格納した状態。普段は部屋が広々と使える。写真/ナカサアンドパートナーズ
Point 6「仕掛け」~格納ベッド、アイロン台~
左はパウダールームの一角に設けたアイロン台。洗濯乾燥後の衣類にすぐアイロンがかけられ、扉を閉めれば壁同然に(右)。
Point 7「調色調光」~クロゼット~
玄関と寝室の間にあるウォークスルークロゼットは「B&B Italia」の製品。内部はホテルのドレッシングルームのような上質な空間で、照明は明るさだけでなく色合いも調節可。黒と紺など見分けにくい衣類もわかりやすい。
〔特集〕ホテルライクな究極の空間「豪邸マンション」
『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。