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マリ共和国出身、日本の大学で学長も務めたウスビ・サコさんの原動力とは?

2022.04.22

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毎日を心豊かに生きるヒント「私の小さな幸せ」  マリ共和国で生まれ、中国留学ののち日本で暮らし始めて早30年以上。バンバラ語、マリンケ語、ソニンケ語、フランス語、英語、中国語、そして関西弁を流暢にあやつるウスビ・サコさんは空間人類学が専門の研究者。2022年3月に京都精華大学の学長任期を終え、「より広いフィールドで日本、アジアとアフリカをつなぐ活動を始めたい」と語ります。“世界のどこでも生きていける” サコさんの行動の原動力は何か。その心持ちを伺いました。一覧はこちら>>

第13回 ウスビ・サコ (学者)


ウスビ・サコさん

2018年から22年3月まで務めた京都精華大学学長室にて。2年ぶりにゼミを開講予定。現在は奥さまが中国勤務、息子さん2人が独立して一人暮らし。(写真提供/京都精華大学)

ウスビ・サコ

1966年マリ共和国の首都バマコ生まれ。学者・教育者。旅行を機に日本に興味を抱き、91年9月京都大学研究室へ。99年京都大学大学院工学研究科博士課程取修了、2000年博士号取得。01年京都精華大学人文学部教員着任。

「皆で語らい、ともに過ごす時間が私のエネルギー源。仕事が忙しくても会えばええやん。その時間が人生をかけがえのないものにしてくれるんやから」


私の人生において最も大事なのは、周りの人と時間を共有しているときです。みんな忙しいから会えないというけれど、会えばええやん。ホームパーティをよく開くわが家には、家族以外の誰かがいるのが当たり前。

たわいないお喋りに大笑いすることもありますが、時には真面目なドキュメンタリーを見ながら議論したり、気になる話題について話し合ったり。無駄な時間に思えるかもしれませんが、いろいろな人たちとの交流は個性を磨くためにも必要な、大切な時間なのです。

京都大学研究室のメンバーとウスビ・サコさん。

京都大学研究室のメンバーと。京都大学で建築計画学の教授を務めていた巽 和夫先生と面接し、無事研究生に。「何者かもわからない私を受け入れてくれた京都大学から、すべてが始まりました。今までの人生で最も幸せな出来事の一つが巽先生が手を差し伸べてくれた瞬間。無償の愛に感動しました」。(写真提供/ウスビ・サコさん)

マリのわが家は首都バマコにあり、国家公務員の父と専業主婦の母、2歳違いの妹と13歳離れた弟の5人家族でしたが、そのほか30人ほどが同居していました。祖母に父の姉、姉のところに居候していた人たち、母方の親戚……。

マリの実家にてお母さま、弟のサリフ・サコさんと。

2018年マリの実家にてお母さま、弟のサリフ・サコさんと。(写真提供/ウスビ・サコさん)

マリでは子どもたちは夫婦だけのものではなく、地域の子でありみんなの子。悪いことをしたり成績が下がると、同居している大人たちみんなから怒られるのですから、たまりません。

でも、この時期にさまざまな個性、属性の人たちとかかわったことで多くの学びがあり、どんな人をも受け入れる寛容さを持てたのだと思います。

2018年から務めてきた京都精華大学の学長の任期をこの3月に終えました。その間、トップであることの孤独も味わいましたが、全力で駆け抜け、思い描いていたことの70パーセントは達成できた自負があります。

オランダ・ライデン市にて第11回アジア研究国際大会(ICAS11)でのスピーチ。

2019年7月オランダ・ライデン市にて第11回アジア研究国際大会(ICAS11)でのスピーチ。(写真提供/ウスビ・サコさん)

今後はこの濃密な4年間の経験を生かして、日本、そしてアジアとアフリカの若者をつなぐ活動などにも力を入れていきたい。学ぶことも多いでしょうし、楽しみです。

人生の目的と手段を分けて考えれば立ち直りやすい


私の行動の原動力は、人生の目的と手段を明確に分けることから生まれています。大学での研究や仕事には情熱を込めて全力で向き合いますが、これはあくまでも手段。人生の目的は、自分と家族、マリに暮らす家族、周りにいる人たちが幸せになることです。

家族旅行で訪れたアメリカ・カリフォルニア

2019年家族旅行で訪れたアメリカ・カリフォルニア。普段は中国で勤務している奥さまの千賀子さんも合流。(写真提供/ウスビ・サコさん)

私は大切な人たちが身を寄せられる木陰になりたい。その木陰にいる人たちが幸せに過ごせるなら、強い日差しを浴びたり、雨に濡れても私は立ち上がれます。それが自分の幸せにつながるからです。

ウスビ・サコさんの書

仕事で落ち込むこともあります。でも自分のためには力が出なくても、誰かのために何かのために進もうと切り替えられるので、立ち直りが早いのでしょう。人生の目的は何か。自分自身と向き合って見えてくれば、きっと生きる力になるはずです。
取材・文/小松庸子

『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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