自分で作るクリスマス飾り&お正月アレンジ 第1回(全4回)
01 モミのふんわりリース(この記事)
02 モミで作る簡単スワッグ
03 生花のテーブルリース
04 お正月のテーブル&壁飾り
人気フローリストにならう「モミのふんわりリース」の作り方
東京・世田谷の花店「宙花(そらはな)」のオーナーフローリスト戸部秀介(とべ しゅうすけ)さんに、素敵なクリスマスリースの作り方とコツを教えていただきました。

クリスマスの定番、モミのリースはちょっとした工夫で繊細な印象に!
クリスマスらしさを演出したいなら、リースの花材はモミが定番。モミだけで作ると素朴な雰囲気になりますが、少し粗い印象になりがちです。全体をふんわりと、しかも繊細な印象に仕上げるポイントをご紹介します。
Point1
葉が繊細なほかの花材を加えてミックスする
まずは利用する花材選び。コニファー(針葉樹)には、モミより葉が繊細で優しい印象の種類もあります。そんな種類をモミとミックスすると、印象はぐっと優しくなります。
今回はヒムロスギやサワラの人気品種「ブルーバード」など、この時季に花屋さんで手軽に入手できる種類を選びました。アクセントになる実やつるを加えて作ります。
1 モミ(40cm×2本) 2 ネズ(1本) 3 サワラ「ブルーバード」(1本) 4 ヒムロスギ(2本) 5 サンキライ(実つき、1本) 6 マツボックリ(5個くらい) 7 ユーカリのベルガムナッツ(1本) 8 アカヅル(2本) 9 バーゼリア(2本)。本数は花屋さんで一般的に販売されている単位です。適宜調整してください。
Point 2
枝を短めにカットして重ねるとふんわりボリュームアップ!
リースをふんわりと立体的に仕上げるコツが、枝を短めにカットすること。
短い枝を種類を替えながら少しずつ重ねていくことで、リースベースの円の形を描きやすくなり、ふんわりとした、しかも密度感のある仕上がりになります。
長いまま利用するのではなく、10cm以下と短めにカットすると重ねやすくなります。
Point 3
上面だけでなく、側面もバランスよく覆う
今回はヒゲヅルと呼ばれるサンキライのつるを巻いたリースベースを利用します。自然素材なので、つるをあえて見せるデザインもありますが、ボリューム感を出したいときにはきれいに隠したほうがベター。
その際に気をつけたいのが側面です。どうしても上面に花材を重ねていきがちですが、上面にひとかたまり重ねたら、そのつど内側と外側にも花材を添えてリースベースが見えないようにしていくのがポイントです。
リースベースの内側と外側にモミなどを沿わせるようにして隠していきます。
「モミのリース」の制作プロセス
では、ふんわりエレガントなモミのリース、その作り方を詳しくご紹介していきましょう。下のフォトギャラリーを右にスクロールしてご覧ください。
材料説明「リースベース」
左・サンキライのつるのリースベース。ヒゲヅルの名前で市販されています。直径約20cmのベースで、仕上がりは直径約30cmくらいになります。
材料説明「リースワイヤー」
右・花材の固定にはリースワイヤーを巻きのまま使います。リースワイヤーは1巻きで約38mあり、リース約2個を作れます。麻ひもやたこ糸でもできますが、途中で切らずにすむように十分な長さで巻いてある状態のものを利用してください。
花材説明
1 モミ(40cm×2本) 2 ネズ(1本) 3 サワラ「ブルーバード」(1本) 4 ヒムロスギ(2本) 5 サンキライ(実つき、1本) 6 マツボックリ(5個くらい) 7 ユーカリのベルガムナッツ(1本) 8 アカヅル(2本) 9 バーゼリア(2本)。
〈ポイント〉本数は花屋さんで一般的に販売されている単位です。適宜調整してください。
植物を切り分ける(1)
モミは一枝ずつハサミで切り分けます。長さは10cm以下に。
植物を切り分ける(2)
手前がヒムロスギ、その後ろがネズ、いちばん後ろが「ブルーバード」。すべて10cm以下に切り分けます。
マツボックリの下準備(1)
マツボックリはフローラルワイヤー(No.26くらい)でくるりと巻いてリースベースに挿せるようにします。
マツボックリの下準備(2)
わかりやすく太い白のワイヤーで巻いています。マツボックリのお尻の部分にワイヤーを巻きつけ、ねじってしっかり固定します。
ワイヤーをベースに固定する(1)
リースベースにリースワイヤーを通します。
ワイヤーをベースに固定する(2)
リースワイヤーをねじって固定します。ここがスタート位置です。
植物をベースに固定する(1)
ヒムロスギと「ブルーバード」を1本ずつリースベースの上面にのせ、根元部分にリースワイヤーをひと巻きして固定します。
植物をベースに固定する(2)
さらにヒムロスギを重ね、リースワイヤーを巻きます。重ねていく花材はバランスを見ながら決めていきます。少しずつリースベースの下方向にずらしながら重ねていく。
〈ポイント〉時計と反対回りに重ね進めると作業しやすくなります。
植物をベースに固定する(3)
リースワイヤーで根元を固定する際は、枝を指で押さえ、ワイヤーがたるまないようにしっかり巻きます。
〈ポイント〉リースを持ち上げず、テーブルに置いたまま作業したほうが固定しやすくなります。
ワイヤー植物をベースに固定する(4)
モミとバーゼリアを加えます。花材をひとつ加えるたびに、リースワイヤーをくるりと巻きます。上面はこれくらいのボリュームを目安にひとかたまりとするとよいでしょう。
〈ポイント〉裏側を見ると、リースワイヤーが花材をしっかり固定しています。リースワイヤーは途中で切らず、最後まで1本で巻いていきます。
植物をベースに固定する(5)
側面(外側と内側)を作ります。
マツボックリとネズをアクセントとして上面に加えたら、少し下の外側面にモミを沿わせ、リースワイヤーを巻いて固定します。
植物をベースに固定する(6)
内側にもモミを沿わせてリースワイヤーを巻きます。
植物をベースに固定する(7)
アクセントになる植物を固定します。
いちばん目立つ赤いサンキライの実を加えます。
〈ポイント〉ヒムロスギを重ねてサンキライの実の間から葉が出るように加えると、赤い実が目立ちすぎず、ほかの葉となじんでナチュラルな仕上がりになります。
ヒムロスギの中に赤い実がなっているような見た目に。
植物をベースに固定する(8)
アカヅルの端をリースワイヤーで固定します。反対の端はつるの自然な流れを生かしてリースの中に挿し入れて固定します。
〈ポイント〉アカヅルは柔軟性があるので、たとえばこのように輪にしてもおもしろい!
サンキライの実で全体のバランスを調整する
続いて加えていく前に、全体のバランスをとるために、いちばん目立つサンキライの実をこのあと、どのあたりに加えるかを決めておきます。
次の実までを1ブロックと考えて、前述のプロセスをくり返し行います。
完成
すべてが埋まったら、リースワイヤーをベースの裏側でねじり、カットします。壁掛け用のフックを麻ひもやリボンなどで作ったら完成です。
戸部秀介(とべ しゅうすけ)
「宙花(そらはな)」オーナー兼フローリスト。
大手生花店、フランス人のフラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に「宙花」をオープン。リースやスワッグ、生花のブーケなどを得意とし、甘さの中にクールさも秘めたエレガントな作品が人気に。淡いピンクに白やシルバーの組み合わせが大好き。ワークショップにも力を注ぎ、年間での開催数も多い。ショップでのプライベートなグループレッスンも受け付けている。