阿佐ヶ谷・ブネイコーヒー店主 渡邊絵美子さんのドリップポットと、正木春藏さんのカップでコーヒーを

日々を豊かにする日本の工芸「コーヒーとお茶の道具」（コーヒー編）

──機能性の高い逸品を長く、大切に使いたい

コーヒーやお茶は、その味わいのみならず、淹れる時間やその行為にも癒やされます。そのためには、お気に入りの道具を手もとに置きたいもの。ドリップポットや南部鉄瓶は、大切に使えば一生寄り添う道具になってくれます。

道具を愛でながらドリップするコーヒータイム

ミルク入れ 8800円、砂糖入れ 1万3200円、スプーン4180円／富貴堂　盆・錫黒塗分板　松﨑 修 作 4万4000円／工藝 器と道具 SML

起き抜けにゆっくりコーヒーを淹れて、味と香りを楽しむ。そんな生活スタイルを始めたくなるとびきりの道具が、新潟県燕市で作られた鎚起銅器のドリップポットです。

銅板をひたすら叩いたりなまし（焼い）たりしながら作り上げる銅器で、鎚目の表情が美しく、何よりフォルムが洗練されています。この細くて流れるような注ぎ口は、実用性を追求して辿り着いた形なのです。

ポットは、東京・阿佐ヶ谷の「ブネイコーヒー」店主渡邊絵美子さんとのコラボレーションにより誕生。

おいしいコーヒーを淹れるためには注ぎ口の形が大事なので、プロの視点でその細さや角度、位置、持ち手や蓋のつまみまで注文をつけたのだとか。試作品を数度作り替えてもらい、その都度、試用を繰り返して1年半をかけて完成。

鎚起銅器を選んだきっかけは、「初めて使ったときに、湯ぎれがとてもいいので感心したのです」と渡邊さん。保温性があるので、やかんで沸騰させたお湯をポットに移すことで、コーヒーを淹れる適温の90度を保ってくれます。

洒落たマイカップにコーヒーをたっぷり注いで香りを楽しみながら、贅沢なひとときを。

1年半かけて開発。鎚起銅器のドリップポット

フィルターに粉をセットしたら、十円玉大の「の」の字を2～3回書くようにお湯を注ぎ、まず粉を蒸らす。細くて長い口は、湯を均等に細く注いで湿らせ、フィルターに当たらず入れることができる。持ち手は、藤つる巻き。



「鎚起銅器ドリップポット」（生地色）0.7リットル（胴径10×高さ16センチ） 7万7000円

正木春藏さんのマグカップ

日々の歓びを伝える伸びやかな正木春藏さんのマグカップでコーヒーを飲めば、味わいもひときわ深くなるはず。


右から「色絵染付唐草文マグカップ」（径10×高さ8センチ）1万6500円、「色絵染付花文マグカップ」（径9×高さ7.5センチ） 1万1000円

経年変化を楽しめるコーヒーの保存容器

コーヒーも一粒の果実から生まれたもの。焙煎することで、焦げ茶色の豆になる。コーヒーを選ぶうえで、いちばん大事なことは豆の鮮度。

できるだけ焙煎したてのものを豆のまま買って、飲む直前にミルで挽くと味も香りも逃さない。焙煎した豆は1週間で飲みきることがおすすめ。保存容器は、いずれも使ううちに経年変化を楽しめるものばかり。

保存容器の詳細は、下のフォトギャラリーからご覧ください。