伝統工芸

髙田賢三さんが出会った「香川漆芸」最後の作品。暮らしの美を極めたテーブルウェア「夢」

髙田賢三のデザインが人間国宝・山下義人監修の作品に。春爛漫の宴を彩る麗しき用の美

「KENZO」というブランドは知っていても、髙田賢三という人のことはよくわからない。山下義人さんは当初、遠い国に住むカリスマデザイナーとの仕事に一抹の不安を抱いていました。

それが安堵と喜びに変わったのは、髙田さんの顔写真を目にしたとき。「ひと目で、他者を尊重する心を持つ素晴らしいかただとわかりました」

「夢」漆プレート4枚セットを用いた春のおもてなしのテーブルセッティング。直径60㎝の特大プレートはサイドテーブル代わりにも。写真右から、「マッセナ」ワイングラス各2万5000円、リキュールグラス コフレ(6点セット)15万円、「マッセナ」シャンパンフルート(2客セット)各5万円、「ミルニュイ」キャンドルホルダー各2万2000円/すべてバカラショップ 丸の内。

髙田さんから届いたデザイン画の第一印象を「菊が惑星のように宇宙を漂っている。日本的でヨーロッパの人に喜ばれそうだと思いました」と話す山下さん。追悼の意味も込めて、一切のアレンジを加えず、純金の薄片一枚一枚の位置まで忠実に作ったといいます。

一方で、香川漆芸のこだわりから徹底的に追求したのが、使い心地。高台を絶妙な幅と角度に仕上げたプレートは、持ちやすさ、肌触りのよさが感動的ですらあります。「工芸品の神髄は用の美。生活の中で使ってもらってこそ生きるものです。髙田さんにも触れてみてほしかったです」

サイズ違いのプレートは重ね使いするとテーブルに立体感が生まれ、華やぎが増す。お花見団子風クリームチーズなど、一口サイズのカラフルな料理は、大輪の菊が咲き誇る黒漆のプレートと対照的で、互いを引き立て合う。

人生を共にしたい宝物。歳月が味わいを育てる

2つの作品に共通するのが、鑑賞に堪えうる芸術性を持ちながら、実用性にも優れている点です。

重箱の中には色とりどりのフルーツを挟んだサンドイッチがぎっしり。ティーパーティにおすすめの演出。

配色によっては絢爛豪華にもなるデザインを、黒、白、金の3色で表現したことで、器やインテリアと合わせやすく、料理が映えるものになりました。

ときには重箱を花器に見立てても。ポイントは上段と下段を少しずらすこと。蓋は花留めの役目をしてくれる。

もう1つ、漆器ならではの楽しみが、歳月とともに色が変化し、味わいが増すところ。色漆の部分だけでなく、蒔絵の部分も鮮やかになり、金本来の輝きのある色になります。

完成したときが美しさの頂点ではなく、使う人とともに成長していく漆器。人生に寄り添う逸品です。

トレースタンドに直径60㎝のプレートを載せれば洒落たテーブルに早変わり。「セレスト」ランプ27万円、「ラッキーバタフライ(ブラック)」3万2000円/ともにバカラショップ 丸の内、椅子「ディーバ」各32万7273円/IDC OTSUKA、トレースタンド1万3000円/アトリエジュンコ。

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