1729年創業、世界最古のシャンパーニュメゾンとして知られるルイナール(Ruinart)。約300年にわたり、シャルドネの繊細な個性を生かしたシャンパーニュ造りを続けていることから、“シャルドネ ハウス”とも呼ばれています。ルイナールは近年、価値観やビジョンを共有するアーティストともに、アートプログラム「Conversations with Nature(カンバセーションズ・ウィズ・ネイチャー)」に継続的に取り組んでいます。2026年には、日本を代表する現代美術家・川俣 正氏とコラボレーションすることを発表しました。
歴史あるメゾンの建物の前で、試作品を手にする川俣 正氏。
ルイナールは、単にシャンパーニュを造るだけではなく、テロワールへの敬意や自然との共生、そして文化を未来へつないでいくことをブランドの価値として掲げています。その考えを象徴するのが、「Conversations with Nature」です。世界各地で活躍するアーティストを迎え、自然や土地との関係を作品として表現するこのプロジェクトは、ワイン造りの背景にある環境や風景にも目を向けてもらうことを目的としています。ルイナールにとってアートは、ブランドを華やかに演出するためのものではありません。自然を観察し、その価値を新たな視点で伝えるためのもう一つの表現手段でもあるのです。
メゾンの地下にあるセラー「クレイエル」へと続く階段には、広告ポスターに採用されたアルフォンス・ミュシャの絵が描かれている。
実は、ルイナールとアートの関わりは100年以上前にさかのぼります。1896年には、アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ミュシャに広告ポスターの制作を依頼。これはシャンパーニュメゾンとして初めてアーティストを起用した広告とされ、以来、ブランドは芸術との交流を続けてきました。近年も世界的な現代アーティストと協働し、環境や生物多様性をテーマにした作品を発表しています。

朝靄に包まれたブドウ畑を歩きながら作品の着想を得て、その後ドローイングを重ねた。
2026年、その新たなパートナーに選ばれた川俣 正氏は、木材や古材、家具など再利用素材を使ったインスタレーションで国際的に高い評価を受け、自然と人との関係、ものの永続性を問い続けてきました。シャンパーニュの地を訪れた際には、朝霧に包まれたブドウ畑や鳥、昆虫が息づく風景の中を歩き、そこで受けた第一印象をベースにして、一連の作品を生み出したといいます。

パリのアトリエにて、「NEST」の試作品を見る川俣氏。下は「Observatory」の試作品。
完成したのは、「Tree Hut」「Nest」「Observatory」と名付けられた3つの大型インスタレーション。シャンパーニュ地方ランスにあるルイナールの本拠地「4 RUE DES CRAYÈRES」に設置され、訪れた人が作品の中を歩きながら、風や光、気候、生物多様性といった自然の営みを体感できる空間となっています。シャンパーニュの地の風土を尊重するルイナールのワイン造りの姿勢は、環境への配慮を制作の根底に据える川俣氏の活動とも響き合います。
右が、藤本壮介氏の設計によるパビリオン「4 RUE DES CRAYÈRES」。ショップやレストランが併設されている。
この「4 RUE DES CRAYÈRES」もまた、ルイナールの思想を象徴する場所です。2024年には、日本人建築家・藤本壮介氏が設計したパビリオンが建ち、歴史ある建造物や現代アートが点在する庭園や小道、ユネスコ世界遺産にも登録された地下セラー「クレイエル」と調和しています。ここではシャンパーニュを味わうだけでなく、20点以上のアート作品や建築、ランドスケープを巡りながら、ブランドが約300年かけて育んできた文化に触れることができます。
シャルドネ100%で造られるブラン・ド・ブランは、メゾンを象徴する1本。
一本のシャンパーニュの背景には、畑や地下セラーだけではなく、その土地に息づく文化や芸術までもがある──。今回のコラボレーションは、ルイナールが大切にしてきたブランドの哲学を、アートという表現を通して伝える試みといえそうです。

川俣 正(かわまた ただし)
1953年北海道生まれ。東京とパリを拠点に活動。木材や家具のパーツで作る現地制作のインスタレーションで知られる。世界各地のギャラリーや美術館で作品を発表する。
●お問い合わせ
モエ ヘネシー ジャパン
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https://www.moethennessyjapan.com/brands/ruinart/history