• TOP
  • 美味手帖
  • 2026年「チャールズ3世国王陛下誕生祝賀会」で出合う“英国流のおもてなし”の今

美味手帖

2026年「チャールズ3世国王陛下誕生祝賀会」で出合う“英国流のおもてなし”の今

2026.06.23

  • facebook
  • line
  • twitter

驚きと発見がいっぱいの、英国の本当においしい食材

英国を旅するとしたら、どんな食体験をしてみたいでしょうか。アフタヌーンティーやパブ料理、スコットランドのウィスキー醸造所巡りなどはよく知られていますが、英国にはほかにもまだまだ魅力的な料理や食材が待っています。4つの国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)から成る自然豊かな英国は、品質の高い、美味なる食材の宝庫です。

6月9日に駐日英国大使館が開催した「チャールズ3世国王陛下誕生祝賀会」では、英国の多彩な食材が使われた料理が、カナッペのスタイルでゲストに振る舞われ、会場は大きく盛り上がりました。「英国の食の今」について駐日英国大使館のジュリア・ロングボトム大使が語ります。

ジュリア・ロングボトム駐日英国大使のスピーチにより、第4回目「チャールズ3世国王陛下誕生祝賀会」が開幕。政界、文化、エネルギー、教育などの幅広い分野の関係者約500名が招かれ、活気溢れる交流の場となった。

ジュリア・ロングボトム駐日英国大使のスピーチにより、2026年「チャールズ3世国王陛下誕生祝賀会」が開幕。政界、文化、エネルギー、教育などの幅広い分野の関係者約500名が招かれ、活気溢れる交流の場となった。

祝賀会は、4つの国の最高の食材を使って用意された、英国流のおもてなしによる立食パーティ。

祝賀会は、4つの国の最高の食材を使って用意された、英国流のおもてなしによる立食パーティ。

英国各地の地ビールやエルダーフラワー・ワイン、ウイスキーなどのお酒やソフトドリンクが味わえるコーナー。

英国各地の地ビールやエルダーフラワー・ワイン、ウイスキーなどのお酒やソフトドリンクが味わえるコーナー。


英国の伝統料理といえば、多くの人はフィッシュ&チップスやローストビーフなどを思い浮かべるかもしれませんが、英国各地には古くから地域に根差した多様な料理が数多くあり、近年では食材をより生かした、洗練された新しいスタイルの料理が注目を浴びています。ロンドンには80を超えるミシュラン星つきのレストランがあり、世界有数の美食都市として知られています。それを支えているのは、国内各地で作られている、品質の高い食材だとロングボトム大使は語ります。


2021年、駐日英国大使として着任。初の女性駐日英国大使。

2021年、駐日英国大使として着任。初の女性駐日英国大使。


「本当においしい食べ物とは何か──。私たちはここ約20年にわたり、一つ一つの食材の品質に目を向けてきました。産地や生産者が明確で、環境に配慮した方法で生産されているか? 野菜や果物を育てている土壌の質は? 魚はどこの海で漁獲され、それは持続可能な方法で生産されたものか? そういった意識の高い基準をクリアした食材や食品、そしてそれらを使った料理が、今の英国の食文化を象徴しています。英国の食は、伝統的な料理だけで言い表せるものではなく、『高い基準のもとで生産された、本当に良質な食材を使った料理』といえるでしょう。

日本でも産地や生産者に対する注目が高まっているように、英国のスーパーマーケットでも、まだすべての食品ではありませんが、産地名や生産者名に加えて、持続可能な生産方法かといったことが食品のラベルに記されています。製造者は、できるだけ保存料などの食品添加物を減らし、最先端の技術を使って食材の鮮度を維持する努力をしています。

ここ15~20年の間で英国の食のシーンは大きく変わりました。約30年前の英国を知っている私の日本の友人や関係者が、最近英国に行くと『レストランやカフェの料理の質が以前より各段に上がっていて、本当においしい!』と驚かれますが、それは生産者や消費者が、ひとつひとつの食材の品質に目を向けているからなのです。今、食べ物や飲み物の品質が、健康に及ぼす影響について大きな関心が寄せられていて、オーガニック食品はとても大きな盛り上がりを見せています」

祝賀会のパーティ・メニュー全17種類のカナッペの一部。

祝賀会のパーティ・メニュー全17種類のカナッペの一部。一口サイズでありながら、それぞれの料理の魅力がぎゅっと詰められた感動の品々。下から時計回りに、鴨肉のプレステリーヌ フルーツチャツネ添え(バッキンガム宮殿のレシピ)、スティルトンブルーチーズ入りドーナツ(バッキンガム宮殿のレシピ)、ヘブリディーズ産スモークペッパーさばのコロッケ、ヨークシャープディング 英国産ローストビーフとホースラディッシュのムース添え、ウェールズ産スパイシーラム肉のソーセージロール ごま風味。中央は、北アイルランド産ポークベリーのギネス煮込み パリパリの皮つき ライ麦パンにのせて。

4つの国の伝統と自然に育まれた唯一無二の食材

それでは、英国の品質の高い食材や料理とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から成る連合王国。それゆえ、各々の歴史、地理的環境、気候、伝統に育まれた、独自の文化とアイデンティティを誇ります。食についても異なる独自の文化があり、英国の食のシーンを色鮮やかにしていると、ロングボトム大使は語ります。

祝賀会でクラッカーと一緒に供された3種のチーズ。「WYKE」のイングランド産チェダー(奥)、「カロン ウェン」のウェールズ産「メロー・チェダー・ビオ」(左)、イングランド産「ブルー スティルトン」。

祝賀会でクラッカーと一緒に供された3種のチーズ。「WYKE」のイングランド産チェダー(奥)、「カロン ウェン」のウェールズ産「メロー・チェダー・ビオ」(左)、イングランド産「ブルー スティルトン」。


「例えば、イングランドが誇る食材の一つにチーズがあります。イングランドではチーズの生産が盛んで、英国全体のチーズの種類は、フランスより多いということをご存じでしょうか。今では世界各地で生産されているチェダーチーズですが、実はイングランドのサマセット州のチェダーが発祥の地です。

また、私はイングランドのヨークシャー州の出身で、地元には『ウェンズリーデール』というチーズがあります。ちょっぴり甘味があるほろほろとした食感で、クリスマスケーキと一緒にいただくのが好きです。今日の祝賀会では、イングランド名産の、マイルドなブルーチーズの『スティルトンチーズ』をお楽しみいただきます。このように、英国では各地方や、各村々でその土地ならではのチーズがあります。

イングランドの南部では、気候変動によりぶどうの栽培が盛んになり、土壌が適していることも相まって、イングリッシュ・スパークリング・ワインが脚光を浴びています。日本はノルウェーに次いで2番目の輸出先国です」

ここ10~20年で評価を高めている、南イングランド産のイングリッシュ・スパークリング・ワイン。左から、「Black Chalk」、「Gusbourne」、「Rathfinny」。

ここ10~20年で評価を高めている、南イングランド産のイングリッシュ・スパークリング・ワイン。左から、「Black Chalk」、「Gusbourne」、「Rathfinny」。


「スコットランドに目を向けてみると、北の海の幸に恵まれ、サーモンなどの良質なシーフードがあります。伝統的なウイスキー造りのように、シーフードもまた、ヒースという原野に育つ植物が長年かけて炭化した『ピート』を利用し、燻製加工されています。ピートは繊維質が多く、スポンジ状なので水分を多く含み、火にかけると煙がたくさん出るので、ウイスキーの製造過程や、魚の燻製に利用されてきました。燻製加工されたサーモンやさばは日本にも多く輸出されていますし、今晩のメニューにもあるのでぜひお楽しみください」

ピートで燻製されたスコットランド産のサーモン。フランスの農水省が定める最高品質の基準「ラベル・ルージュ」をも取得。

スコットランドのヘブリディーズ諸島にある「Hebridean Smokehouse」による、ピートで燻製されたサーモン。フランスの農水省が定める最高品質の基準「ラベル・ルージュ」をも取得。

うずら卵のエッグベネディクト ヘブリディーズ産スモークサーモンとトリュフ サクサクのブリオッシュケースで。

うずら卵のエッグベネディクト ヘブリディーズ産スモークサーモンとトリュフ サクサクのブリオッシュケースで。


「ウェールズは、緑豊かな丘陵地帯の田園風景が広がり、良質なラム肉と乳製品で知られています。伝統料理の『カウル』は、ラム肉と野菜を煮込んだシチューで、地元の人のソウルフード。日本人にとってのお味噌汁のような、なくてはならない食べ物です。そのほか、地元の伝統的なウイスキーも多くありますし、ジンやラムなど多種多様なスピリッツを生産しています。

北アイルランドでも豊かな農業の伝統があり、豚肉をはじめとした肉類、乳製品、アイリッシュ・ウィスキーなど、さまざまな土地固有の食品や料理があります。

ウイスキーは左から、スコットランド産「Arbikie 1794」、ウェールズ産「Penderyn」、北アイルランド産「Hinch」。

ウイスキーは左から、スコットランド産「Arbikie 1794」、ウェールズ産「Penderyn」、北アイルランド産「Hinch」。


そして英国の食をさらに色彩豊かにしているのは、コモンウェルス諸国との繋がりです。例えば、インドやパキスタン、バングラデシュとの深い関係から、さまざまな種類のカレーが身近になりました。近隣の欧州諸国やコモンウェルスの国々からも影響を受け、彼らの食材や料理のエッセンスを柔軟に取り入れることにより、新しい食文化を生み出しています。それこそが英国の食文化といえると思います。

本日のメニューでは、日本と英国の繋がりを表す料理として、北海道産のウニのカスタードとスコットランド産サーモンと野菜のにぎり寿司をご用意しました」。

手前は「ウニのカスタード 殻付き提供 マラッソルキャビア添え」。奥は、スコットランド産のサーモン、大根やオクラ、水菜、みょうが、きゅうりのお寿司。

手前は「ウニのカスタード 殻付き提供 マラッソルキャビア添え」。奥は、スコットランド産のサーモン、大根やオクラ、水菜、みょうが、きゅうりのお寿司。

イングランド産の「Haywood & Padgett」のスコーンと「Wilkin & Son」のジャムにウェールズ産のクロテッドクリームをつけて。

イングランド産の「Haywood & Padgett」のスコーンと「Tiptree」のジャムにウェールズ産のクロテッドクリームをつけて。


チーズなどの乳製品をはじめ、シーフード、小麦製品、ウイスキーなどの蒸留酒、ビールといった伝統的な食品を、時代の流れに合わせて品質向上させてきた英国。近隣のEU諸国やコモンウェルスの国々の食文化も巧みに、柔軟に取り入れて、唯一無二の食文化を生み出しているようです。こういった食品は日本国内でも入手可能になりつつあります。次回、ご自宅でのおもてなしの一品に取り入れてみてはいかがでしょうか。

祝賀会にてチャールズ3世国王が最も好まれる花、デルフィニウムが飾られた英国大使館のホール。

祝賀会にてチャールズ3世国王が最も好まれる花、デルフィニウムが飾られた英国大使館のホール。

撮影/本誌・伏見早織

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 06 / 23

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 06 / 23

他の星座を見る