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美味手帖

ルイナール シャンパーニュ 個性豊かなワイナリーを巡る旅へ

2025.12.10

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古代ローマ時代から続くぶどう栽培の地、フランス・シャンパーニュ。瓶内二次発酵、長期熟成により造られる発泡性のワインは、王侯貴族に愛され、今も世界を魅了し続けています。2015年のユネスコ世界遺産登録により、自然と人の営みが生み出す無二の文化の価値が、あらためて世界に証明されました。個性的な造り手を訪ねながら、その魅力を探ります。

最古のメゾンが時代を超えて磨いた、伝統と革新の美学
Ruinart ルイナール

ランスの丘に佇む1729年創業の「ルイナール」は、現存する最古のシャンパーニュメゾンです。創業者ニコラ・ルイナールは、叔父で修道士だったドン・ティエリー・ルイナールから受け継いだ知識をもとに瓶の中で生まれる発泡の原理を体系化し、その哲学は最上級キュヴェ「ドン・ルイナール(Dom Ruinart)」に今も息づいています。シャルドネを核としたスタイルは、白い花や柑橘を思わせる爽やかさと澄んだ酸が特徴で、ブラン・ド・ブランはその象徴的存在です。

世界遺産の価値 カーヴ Cave シャンパーニュ地方に広がる白亜土壌。古代ローマ時代には石切り場だったこの地下空間は、総延長100km以上に及ぶ。地下のカーヴは、長期の瓶内熟成、保管、澱抜きなど、シャンパーニュ造りに欠かせない場所となっている。

世界遺産の価値 カーヴ Cave
シャンパーニュ地方に広がる白亜土壌。古代ローマ時代には石切り場だったこの地下空間は、総延長100km以上に及ぶ。地下のカーヴは、長期の瓶内熟成、保管、澱抜きなど、シャンパーニュ造りに欠かせない場所となっている。


熟成は、ユネスコ世界遺産に登録された石灰岩層の地下セラー「クレイエル(Crayères)」で行われます。一定の温度と湿度を保つ環境で、シャンパーニュは時間とともに穏やかに深みを増していきます。メゾンは古くから芸術との関わりも深く、19世紀にはアールヌーヴォーの巨匠エミール・ガレに広告ポスターを依頼しました。自然の曲線と光を取り入れたその作品は、ルイナールの美意識を象徴するものとして今も語り継がれています。


新パビリオン「4 RUE DES CRAYÈRES」は、大阪・関西万博の大屋根リングを手がけたことで知られる建築家・藤本壮介氏による設計。建物には主に地元ランス産の素材が使われ、太陽光、地熱、雨水を利用したサステナブルな造り。

新パビリオン「4 RUE DES CRAYÈRES」は、大阪・関西万博の大屋根リングを手がけたことで知られる建築家・藤本壮介氏による設計。建物には主に地元ランス産の素材が使われ、太陽光、地熱、雨水を利用したサステナブルな造り。


2029年の創業300周年を前に、新たな拠点として完成したのが「クレイエル通り4番(4 RUE DES CRAYÈRES)」です。約3年をかけて建設されたパビリオンは、伝統と現代性、自然との調和を主題に設計され、広いガラス窓から入る光が美しい開放的な空間が特徴です。建築は藤本壮介氏、インテリアはグエナエル・ニコラ氏、庭園はクリストフ・ゴートラン氏が手がけ、日本とフランスの美意識が同じ空間の中で溶け合っています。館内には限定ボトルを扱うブティックやプライベートサロン、多言語に対応したアンバサダーが案内する地下セラーを巡るツアー(要予約)も用意されています。

パビリオン内のレストランで味わえるアミューズ・ブーシュは、繊細な味覚と美しい彩りでシャンパーニュの個性を引き立てる。きゅうり、フェンネル、セロリを細かく刻み、シーアスパラガスとオイスターリーフを加えた前菜は「ルイナール ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)」とともに爽やかに。鯛とカリフラワー、海苔を重ねた小さなタルトは「ドン・ルイナール  2013(Dom Ruinart)」と響き合い、海と大地の余韻を感じさせる、端正で洗練された味わい。庭園内には現代アートが点在し、散策するのも楽しい。

パビリオン内のレストランで味わえるアミューズ・ブーシュは、繊細な味覚と美しい彩りでシャンパーニュの個性を引き立てる。きゅうり、フェンネル、セロリを細かく刻み、シーアスパラガスとオイスターリーフを加えた前菜は「ルイナール ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)」とともに爽やかに。鯛とカリフラワー、海苔を重ねた小さなタルトは「ドン・ルイナール 2013(Dom Ruinart)」と響き合い、海と大地の余韻を感じさせる、端正で洗練された味わい。庭園内には現代アートが点在し、散策するのも楽しい。


敷地内のカフェやレストランでは、専属シェフのヴァレリー・ラドゥさんが作る、地元産の食材を用いた週末限定ランチやテイスティングに寄り添う料理、三つ星シェフのアルノー・ドンケルさんによる特別ディナーなど、多彩な食体験が用意されています。それぞれの料理がメゾンのキュヴェとの相性を考えて作られ、訪れる人に新たなペアリングの楽しさを提案しています。

2026年1月に最高醸造責任者となる、カロリーヌ・フィオさん。

2026年1月に最高醸造責任者となる、カロリーヌ・フィオさん。


2026年1月には、カロリーヌ・フィオさんが最高醸造責任者に就任します。シャルドネに精通した彼女は、前任のフレデリック・パナイオティスの理念を継ぎながら、環境への配慮と持続可能な醸造を重視し、次代に向けた味わいの方向性を、これから描いていきます。3世紀を超える歴史の先にあっても、ドン・ルイナールの精神はメゾンの未来に確かに、確実に受け継がれていきます。

左・パビリオンのショップ。歴史的建造物と新しい建物が対面し、メゾンの理念である伝統と革新の共存を体現している。

左・パビリオンのショップ。歴史的建造物と新しい建物が対面し、メゾンの理念である伝統と革新の共存を体現している。


データ:4 Rue des Crayères, 51100 Reims
TEL:+33(0)3 26 77 51 51
飲食・試飲・購入・見学可
https://www.ruinart.com

お問い合わせ
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
https://www.mhdkk.com/enquiry

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年01月号

家庭画報 2026年01月号

撮影/小野祐次 取材・文/石黒かおり 取材協力/シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会

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