古代ローマ時代から続くぶどう栽培の地、フランス・シャンパーニュ。瓶内二次発酵、長期熟成により造られる発泡性のワインは、王侯貴族に愛され、今も世界を魅了し続けています。2015年のユネスコ世界遺産登録により、自然と人の営みが生み出す無二の文化の価値が、あらためて世界に証明されました。個性的な造り手を訪ねながら、その魅力を探ります。
選び抜かれた3つの年が奏でる、究極のアンサンブル
Laurent-Perrier ローラン・ペリエ
1812年、シャンパーニュ地方の穏やかな村に一つのメゾンが誕生しました。戦火に見舞われた20世紀半ば、このメゾンを守り抜いたのは一人の女性、マリー・ルイーズ・ドゥ・ノナンクールでした。彼女の揺るぎない意志はやがて息子ベルナール・ドゥ・ノナンクールに受け継がれ、「ローラン・ペリエ」を世界が憧れるシャンパーニュへと羽ばたかせました。
トゥール・シュル・マルヌ村にある本社の外観。歴史を感じさせる端正な石造り。
ベルナールは「シャンパーニュの革新者」と謳われます。彼は醸造において樽に依存せず、ステンレスタンクを主体とするという当時としては斬新な発想を導入しました。その結果、シャルドネの透明感がまっすぐに表現され、果実の清冽な香りがグラスに立ちのぼるスタイルが確立されたのです。「フレッシュさ」、「エレガントさ」、「ピュアさ」、ベルナールが掲げた三つの理念は、今もメゾンの魂として息づいています。
ローラン・ペリエ本社敷地内にあるレ・プレザンス区画。すべてシャルドネが植えられ、メゾンを象徴する気品とピュアさを湛えるぶどうを生み出している特別な畑。
1971年、鮮やかな赤果実の香りと繊細な余韻をもつ「ローラン・ペリエ ロゼ」が誕生しました。白ワインに赤ワインをブレンドするのが主流だった時代に、あえて果皮を漬け込むマセラシオン法を採用。半世紀以上の時を経て、今やロゼ・シャンパーニュの代名詞と呼ばれる存在となりました。
ピノ・ノワールの華やかな果実香を湛える「ローラン・ペリエ ロゼ（Cuvée Rosé）」と、シャルドネ100％のみずみずしい「ローラン・ペリエ ブラン ド ブラン ブリュット ナチュール（Blanc de Blancs Brut Nature）」。メゾンに息づくエレガンスと純粋さを映し出す。
そしてローラン・ペリエの真髄を示すのが、プレステージ・キュヴェ「ローラン・ペリエ グラン シエクル（Grand Siècle）」です。単一年で最高を目指すのではなく、3つの偉大なヴィンテージを重ね合わせて、自然が成し得なかった理想の年「パーフェクトヴィンテージ」を生み出しました。最新のNo.26には、2012年、2008年、2007年のワインが絶妙なバランスで響き合い、蜂蜜やレモン、クレモンティーヌ（みかんの一種）、ヘーゼルナッツの香りが幾重にも折り重なりながら、シルクのようにしなやかな口当たりをもたらします。その魅力を世界に語りかけるのは、4世代目のルーシー・ペレイル・ドゥ・ノナンクールさん。曾祖母の時代から現代まで続く家族の物語を胸に、次の未来を開いています。
3つの偉大なヴィンテージを10年以上かけてひとつに重ね合わせ、“自然が成し得なかった理想の年”を創造した、「ローラン ・ペリエ グラン シエクル（Grand Siècle）」。2025年12月以降に発売となる最新のNo.26は、2012年、2008年、2007年をアッサンブラージュ。地下カーヴには、特別な試飲空間がある。
メゾンの近くにあり、1989年に取得した「シャトー・ド・ルヴォワ（Château de Louvois）」は、メゾンを象徴する存在です。13世紀起源の館はルヴォワ侯爵により17世紀に再建され、かつては噴水やオランジュリーを備えた庭園に囲まれていました。今も残る建築と庭園が「ローラン・ペリエ グラン シエクル」の世界観と共鳴しています。
ワイン醸造家・広報担当のコンスタンス・ドレールさん。シャトー・ド・ルヴォワにて。
「ローラン・ペリエ」のシャンパーニュは世界150カ国を超える饗宴の場でグラスに注がれています。それは、女性たちの感性、ベルナールの革新、そして未来を見据える姿勢が結晶した賜物なのです。
20世紀初頭に整備された、本社の伝統的な石造りのカーヴ。
データ： 32 Avenue de Champagne, Tours-sur-Marne
TEL：＋33（0）3 26 58 91 22
試飲・購入・見学不可
https://www.laurent-perrier.com/ja/お問い合わせ
サントリーお客様センター
TEL：0120-139-380
