900隻を超える世界最大級の船隊を運航する総合海運企業グループ「商船三井」。世界中のさまざまな国や企業と取引している同社の役員秘書が、日々頭を悩ませているのが、取引先に持参する「手土産」です。そこで、同社が2025年9月に開催したのが、「手土産万博」なる社内イベント。秘書・総務部秘書チームが主導し、グループ会社を含む役員秘書約40人にアンケートを実施。「これを持参すれば間違いない!」という手土産の“頂点”を決め、日頃の手土産選びに役立てるというものです。この度、家庭画報編集部は特別に同イベントに潜入。いったいどのお店のどんな商品が挙がったのでしょうか。
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個々の秘書の“とっておき”を共有

140年以上にわたり資源、エネルギー、原材料、製品など多様な物資の運搬を担ってきた、日本を代表する総合海運グループ「商船三井」。
「当社の役員秘書の仕事は、担当役員のスケジュール管理以外にも、費用精算、慶弔関連、出張手配、手土産手配など、その内容は多岐にわたります」と、商船三井秘書・総務部秘書チームの窪田綾子さん。年々会社のビジネスが拡大していくにつれ、社内外の関係者も増え、比例して業務量も増加していく中で、同社ではこの2年ほどで秘書チームの人員を増強。秘書業務全体の効率化・円滑化に取り組んでいます。
一方で、秘書間のコミュニケーションには課題もあったといいます。「秘書・総務部の秘書チームは役員フロアに在席し、副社長以上の役員をサポートしています。一方で、専務以下の秘書は、各役員の担当セクションの人員が担っており、デスクも各フロアに分かれています(=「フロア秘書」)。このように、同じ秘書職であっても、部門ごとに在席しているフロアが違うという背景から、業務の進め方や対処法を質問・相談しづらいなど、各人が孤独感を抱えやすい環境が課題となっていました」(秘書チームマネージャー大加瀬さん)。
そこで、秘書の孤独感の解消やモチベーションアップ、グループやグローバルを含めた秘書同士の連携強化などを目的に、2024年秋頃より開始したプロジェクトが、「Secretaries’ Workshop」(以下、「SWS」)です。「フロア秘書を含めた役員秘書、グループ会社の社長秘書、海外拠点の役員秘書を対象に、新秘書に向けた入門講座や、アナウンサーを講師に招いてのエグゼクティブに伝わる話し方講座など、これまでさまざまなテーマでワークショップを開催してきました」(窪田さん)。
フリーアナウンサー藤井みりか氏を講師に招き開催した話し方講座の模様。
窪田さん自身も、一連のワークショップを通じて、それまでメールやチャットでしかやり取りをしたことがなかったメンバーとも直接交流する機会が生まれ、日頃から密に連携を取れるようになったと、その成果を語ります。
そんな秘書たちの雑談の中で多く出てきた悩みの一つが、「取引先などへの手土産選びに困っている」というものでした。「手土産選びは、担当役員のスケジュールに応じて、各秘書が適した商品を考え、手配する流れになっています。日頃から新店情報などをチェックし、気になるものは自費で購入して手土産にふさわしいか吟味するなど、リサーチは欠かさないのですが、やはり個人だと限界もあります。そこで一度、個々の秘書がよく利用している“とっておき”の手土産を共有すれば、日頃の手土産選びに大いに役立つのではないかと考えたのです」(窪田さん)。
老舗から気鋭の新店まで。
個性豊かな逸品がランクイン
そうして、SWSの一環として実施された「手土産万博」。25年6月頃より、役員秘書約40人を対象に「洋菓子部門」「和菓子部門」「お総菜部門」の3部門に分けておすすめの手土産を募集。さらにその回答に対して、特に興味を引くもの・食べてみたいものに投票してもらい、それぞれの部門で1位・2位を決定。最後に、ランクインした計6つの商品を実際に購入し、皆で試食するというものです。
左・部門別に一押しの手土産を募集し、さらに、その中から気になるものを投票し、上位2品を決定した。右・ランキングの発表および試食会は、虎ノ門の「商船三井ビル」大会議室にて開催された。
では、栄えある各部門のトップ2をご紹介しましょう。
「洋菓子部門」第1位は、2015年に鎌倉で誕生したアロマ生チョコレートブランド、メゾンカカオの姉妹ブランド「カカオハナレ」の「ハナレモナカ」(6票、10個入り6026円)。サクサク食感のモナカの中にコロンビア産のチョコレートクリームを挟んだ新食感の一品。
同率1位に挙がったのは、スイスの高級機械式腕時計ブランド「フランク ミュラー」が手がける、フランク ミュラー パティスリーの「バーチ ディ ダーマ」(同数、15個入り4860円)。香ばしいクッキー生地にキャラメルクリームをサンドした、イタリア伝統の素朴な焼き菓子です。
カカオハナレ「ハナレモナカ」(左)とフランク ミュラー パティスリー「バーチ ディ ダーマ」(右)。
「和菓子部門」第1位は、銀座の日本料理店から誕生したスイーツブランド、銀座へしれスイーツの「銀座わぐりへしれけーき」(15票、1本8424円)。最高級の和栗である丹波栗と、フランス中西部の伝統的な発酵バター、濃厚なフルーツエッグを贅沢に使用した品。
第2位は、1933年に広島県三原市で創業した和菓子店、旬果瞬菓 共楽堂の「ひとつぶのマスカット」(11票、20個入り7560円)。岡山県産「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を丸ごと一粒、薄い求肥で包んだ夏季限定のお菓子です。
銀座へしれスイーツ「銀座わぐりへしれけーき」(左)と旬果瞬菓 共楽堂「ひとつぶのマスカット」(右)。
「お総菜部門」第1位は、和光の「焼海苔・味付海苔詰合せ<B>」(12票、5940円)。遠赤外線を使った独自の焼き方でパリッと仕上げた和光の定番品。第2位は、大阪の老舗料亭、花錦戸の「まつのはこんぶ」(8票、2160円)。松の葉のように細かく刻んだ昆布をすっぽんのだしで炊き上げた、滋味深い逸品です。
和光「焼海苔・味付海苔詰合せ<B>」(左)と花錦戸「まつのはこんぶ」(右)
25年9月1日、東京・虎ノ門の「商船三井ビル」の大会議室にて開催された試食会では、大テーブルにこれらの商品が揃い踏み。アンケートに回答した秘書の方々が業務の合間を縫って入れ替わり立ち替わり訪れ、試食や懇談を楽しんでいました。
おいしさだけではなく、サイズ、重さ、個数などまで、それぞれ入念にチェックする様子はまさに手土産のプロフェッショナル。普段おつきあいのある方々に手土産を渡す機会も多い編集部一同としても、身が引き締まる思いでした。
秘書仲間でランクインした商品を試食しながら歓談。「さらに絆が深まった」と窪田さん(写真右)
そんな達人たちが「これぞ」と選んだ逸品はどれも間違いなし。読者の皆様も日頃の手土産選びのご参考にぜひ。