美味手帖

お月見に食べたい。うさぎを愛でる和スイーツ3品

2025.09.16

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エッセイ連載「和菓子とわたし」

「和菓子とわたし」をテーマに家庭画報ゆかりの方々による書き下ろしのエッセイ企画を連載中。今回は『家庭画報』2025年10月号に掲載された第45回、山崎怜奈さんによるエッセイをお楽しみください。
和菓子とわたしロゴ

vol. 45 うちの望月
文・山崎怜奈

夜空に美しい満月がうかんでいると、心まで満ちてゆく気がする。どう頑張っても目で見たままの輝きをスマホに収められないのが悔しくて、脳裏に焼き付けようと上を見ながら歩いてみる。あまりの美しさを誰かに伝えたくなる感動屋の自分と、「夏目漱石が“I love you.”を『月がきれいですね』と訳した」なんて典拠不明の逸話を妙に気にしてしまう天邪鬼な自分が拮抗した結果、いつも誰とも分かち合わずに終わっていく。


三方に飾られた月見団子と芒をお供えする、昔ながらのハレの日のしつらい。現代にそこまで本格的に用意する人はほとんどいないだろうに、スマホで「月見」と検索するとそのまんまの風景が絵文字で出てくる。

十五夜が近づくとスーパーには特設コーナーが登場するし、色気のないプラ容器に入った月見団子は意外とよく売れるらしい。大して華美な食べ物でもないのに、何でもない平皿にピラミッドのごとく積み上げるだけで少し得した気分に。四季折々のすばらしい情景を寿ぐ、というよりも、手軽にやれる範囲で楽しんでいる感じがして良い。全然関係ないみたらし団子の容器にまで「中秋の名月」と書かれたシールを貼る店の商売っ気も、私は嫌いじゃない。

2年前の9月、まさに中秋の名月が待たれる頃、我が家に猫を迎えた。一日に何度も抱き上げ、お腹に顔をうずめたり耳を甘噛みしたりしているからか、ヒトとの距離感がネコというよりイヌっぽい。馴染みの和菓子店で買ったおはぎを食べながら原稿を書いている今も、太ももの上で丸まっている彼女の背中に粒あんをこぼしそうでヒヤヒヤ。

蒸し暑く寝苦しい夜でも私の足にひっついて眠るのがお決まりだが、彼女は時折どこかへ姿をくらます。うっかり浴室やクローゼットに閉じ込めてしまっていたら申し訳ないので、心配になって家の真ん中から名前を呼ぶと、彼女は大体いつもカーテンと床の隙間からヌッと顔を出す。

私も窓辺に座り込み、同じような位置まで屈んで外を眺めてみると、静まり返った街を月明かりがやさしく照らしていた。たまに人通りもあったりして、たしかにこれはずっと見ていられる。納得し、顔を引っ込めて立ち上がろうとしても、変な姿勢でしばらく月に見惚れていたせいで、足が痺れてうまく立てない。よろける私をまあるい目で見つめ返す彼女もまた、その名をツキという。

山崎怜奈
タレント。1997年生まれ。乃木坂46を卒業し、現在は情報番組のMCやラジオパーソナリティなど多岐にわたって活躍中。歴史好きとしても知られ、2021年に初の著書『歴史のじかん』を出版。23年にフォトエッセイ『山崎怜奈の言葉のおすそわけ』を発売。


宗家 源 吉兆庵
TEL 0120-277-327
https://www.kitchoan.co.jp/
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