〔特集〕駅弁発売140年 ふるさと自慢が勢揃い 47都道府県「駅弁」博覧会 地域を象徴する食材や独自の調理法で作られた料理が詰められた駅弁は、旅の高揚感とともに郷愁も誘う何とも魅力的なアイテムです。47都道府県、美味なる旅のお供が大集合。編集部が厳選した「駅弁」博覧会の開幕です。
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世界で唯一の駅弁王国ニッポン
駅弁の始まりは諸説ありますが、1885年、日本鉄道会社(現在のJR東北本線)が宇都宮まで開通した際に、同地で旅館を営んでいた「白木屋」が宇都宮駅でにぎりめしを販売したことが始まりだといわれています。
以来140年、持ち運びしやすく、冷めてもおいしく、車中で過剰ににおわない配慮と技術が詰まった「駅弁」は、日本独特の食文化として人気を誇る存在であり続けています。
地域の名物が個性豊かに盛り込まれた駅弁は、ついメインディッシュに目がいきがちですが、「お米、ご飯にも注目を」と話すのは、全国の駅弁を食べ歩く駅弁ライターで放送作家の望月崇史さん。「地域イチ推しのお米を選んだり、ブレンドや炊き方に工夫を重ねたり、おいしいお弁当にはご飯にも矜持が感じられます」。
「掛け紙に心惹かれるお弁当は、味も合格点のものが多い」とは、鉄道写真家で近年は人気漫画『駅弁ひとり旅』の監修にも携わる櫻井 寛さん。「調製元の熱い思いが伝わる貴重な情報源です。駅弁をとりまく時代の変遷を掛け紙から見て取るのも面白いですね」。
楽しみ方は多種多彩。作り手のまごころを感じながら味わう豊かな時間をもたらす駅弁は、これからも大切にしたい美味遺産です。
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【新潟県】厚焼き卵に隠れた海鮮の宝石箱
えび千両ちらし
えびおぼろがのった厚焼き卵の下にはうなぎ、こはだ、いか、えびが現れ、その奥ゆかしさに人気沸騰。すし飯は自家製くるみペーストが隠し味です。地酒「菊水 一番しぼり」とどうぞ。絵はがきになる掛け紙も遊び心たっぷりです。
●新潟駅ほか 1690円/新発田三新軒 電話:0250(21)6220
母のまごころ

大切な家族には、とびきりおいしくて、安全・安心なものを食べさせたい。そんなお母さんの思いが形になった駅弁たち。丁寧に作られた、心の贅沢も詰められています。
【北海道】店主の家族に人気の炊き込みご飯が駅弁に駅弁 母恋めしほっき貝の炊き込みご飯のおにぎりが主役。室蘭の景勝地・地球岬沖から採取した海水から作る、鉄分・ミネラルたっぷりの塩が味の原点です。地元近郊の安心・安全な食材を使い、化学調味料や添加物は不使用。手作業で燻製する味つけ卵とチーズも栄養たっぷりで欠かせない品です。
●JR母恋駅 1500円/母恋めし本舗 電話:0143(27)2777
【福島県】シンプルこそが贅沢の極み海苔のりべん郡山産「あさか舞」コシヒカリのご飯の間にはさまれるのは「みちのく寒流のり」と手作りおかか。手焼きのだし巻き卵とともに心和む味。女将さんのお母様が作るのり弁当から誕生したという、まさに“おふくろの味”。
●JR郡山駅ほか 1300円/福豆屋 電話:024(943)0528
【鹿児島県】情緒たっぷりの駅舎で販売する手作りの味百年の旅物語 かれい川国の登録文化財、築122年の駅舎にふさわしいお弁当を、と地元で弁当店を営む山田まゆみさんが家族で開発。竹皮製の弁当箱に詰めた料理はすべて手作りで、食材も地元・霧島産。原木しいたけの煮物や、さつまいも・紅はるかで作る郷土料理「がね」は特に自慢の品。駅舎にて土曜・日曜・祝日の10時頃から販売。
●JR嘉例川駅 1800円/森の弁当 やまだ屋 電話:090-2085-0020
揺るぎなき「定番」

新しい駅弁も数多く誕生する中、「やっぱり、これだよね」とつい手に取りたくなる、おかずにもお米にも容器にもこだわりのあるロングセラーたち。駅だけでなく、今やご当地を代表する名物です。
【群馬県】土釜容器は持ち帰って炊飯にも活躍峠の釜めし信越本線・高崎~横川間が開通した1885年、横川駅で構内営業を開始した「荻野屋」は現存する日本最古の駅弁店。1958年から発売の「峠の釜めし」は益子焼の土釜に9種の山の幸がぎっしり。保温性が高く、買い求めたときにほんのり感じる温かさも心に残ります。
●JR横川駅ほか 1400円/荻野屋 電話:027(395)2311
【静岡県】1897年に誕生、静岡のソウルフード元祖 鯛めし3日間かけていり上げる、ふんわり甘い鯛そぼろが主役。128年の歴史を誇る駅弁です。ご飯は毎年新米の時期に社内のお米会議で使用する銘柄を決定。2025年は福島産「つきあかり」、「天のつぶ」、「ひとめぼれ」の3銘柄をブレンド。鯛そぼろとの絶妙なコンビネーションで魅了します。
●JR静岡駅 880円/東海軒 電話:054(287)5171
【神奈川県】食べる順番は十人十色。横浜名物の代名詞シウマイ弁当豚肉と干し帆立貝柱が絶妙なコンビネーションの「シウマイ」と、蒸気で炊き上げたもちもちのご飯、甘辛いたけのこ煮、まぐろの漬け焼き、かまぼこ、卵焼き、鶏のから揚げ、あんず......構成するすべてが味も見た目も黄金バランス。経木の弁当箱が適度に水分を調整するため「冷めてもおいしい」を実現します。1954年に誕生以来、トップランナーとして駅弁界を牽引しています。
●JR横浜駅ほか 1070円/崎陽軒 FAX:0120-882-380
弁当箱もエンターテイナー

主役の食材や郷土の人気者をそのままパッケージにした個性派弁当。明快なコンセプトは、見た目だけでなく味わいでも一貫しています。食べ終わった後のパッケージの自由な使い道もまた、お楽しみです。
【三重県】目に舌に耳に! 究極のインパクト松阪名物黒毛和牛 モー太郎弁当黒牛の顔形の蓋を開けると、童謡「ふるさと」のメロディとともに、黒毛和牛のすき焼きがボリュームたっぷりに現れます。1895年創業の老舗弁当店が「駅弁界のNo.1エンターテイナー」を目指して生み出したお弁当は、お肉の聖地を旅する喜びを最高潮に導きます。
●JR松阪駅 1700円/駅弁のあら竹 電話:0598(21)4350
【岡山県】桃形の容器も具材も賑やか。ハレの日のご馳走を弁当に桃太郎の祭ずし江戸時代、倹約令のもとで庶民の知恵から生まれた祭りずしは、お祭り時のご馳走として愛されている郷土料理。そして岡山といえば、桃から生まれた「桃太郎」。桃形の弁当箱にはさわらやままかりの酢漬け、貝煮など郷土の味がちりばめられた、おすしがぎゅっと詰め込まれています。
●JR岡山駅ほか 1200円/三好野本店 電話:086(200)1717
【熊本県】栗形の器に詰まった手作りの味栗めし1966年発売の名物駅弁。刻んだかんぴょうをちらした味つきご飯の上に、大きな人吉球磨栗がごろりと5個、圧倒的な存在感を放ちます。卵焼き、鶏肉や高野豆腐、ひじきの煮物は手作り。2020年の豪雨で肥薩線の八代・吉松間は運休中ですが、駅前の売店で販売中。要予約。
●JR人吉駅前の店舗ほか 1250円/人吉駅弁やまぐち 電話:0966(22)5235
【福井県】炊き込みご飯にたっぷりの身。直球勝負のかに弁当越前かにめし福井県米「あきさかり」に雌ずわいがにの卵巣とみそをほぐして炊き込んだご飯を、紅ずわいがにのほぐし身ところっとしたずわいがにの身がおおいます。真っ赤なかにの弁当箱と相まって、かにを食べた!という満足感もたっぷりです。ご自宅では温めても美味。
●JR福井駅ほか 1550円/番匠本店 電話:0776(57)0849
(次回へ続く。
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