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美味手帖

300年守り継がれてきた「庄分酢」の酢造り。先祖とともに迎える家族のお正月

2021.12.28

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寿ぎのしつらいと料理にみる「味の名家」のお正月物語 最終回(全4回) 日本人は昔から、飲食するものを神饌として神に奉げ、感謝し、祈るという風習を大切に守ってきました。お正月のおせち料理やお雑煮はその代表的なものといえます。今回ご紹介するのは『家庭画報』1997年1月号に掲載した「味の名家」のお正月迎え。伝承の技術、伝来の味を守る家の新年のしつらいや料理に息づく新たな年を迎える祝いの形、厳粛ながらも晴れがましい心。日本人がいつまでも大切にしたいお正月の風景をお届けします。前回の記事はこちら>>

「味の名家」のお正月物語
高橋家(庄分酢・しょうぶんす)
福岡県大川市


幸せが重なるように。おかずはすべて2切れずつ

大川市指定有形文化財の高橋家住宅。


「高橋家のお正月迎え」前回の記事はこちら>>

幸せが重なるように。おかずはすべて2切れずつ


庄分酢では年に2回、春と秋の彼岸の頃に酢を仕込みます。仕込み水を入れた大甕に蒸した有機玄米と麴米を混ぜ、職人が手入れをしながら約3か月発酵、熟成させて造られる天然酢は、まろやかでこくのある味わいです。

高橋家の年末年始は、仕込みも一段落し、しばし心やすめの時期。「酢の神様へのお鏡餅は31日から3日までお供えし、4日目の朝ひいてかき餅のようにはさみで切って、もろ蓋に広げ、日陰で干します。最盛期の6月にそれを水にもどして蒸し直し、砂糖をかけていただきます。直会(なおらい)なんでしょうね」。

有機玄米くろ酢や米酢、りんご酢など、酢それぞれの特性を生かした酢味の正月料理はすべてお手製。夕食のお膳はご飯とくじらの味噌汁と煮物で、煮物の具は朝と同様に二盛りです。幸せが重なるようにと、正月に多い盛り方です。

酢のものいろいろ


幸せが重なるように。おかずはすべて2切れずつ

酢の家らしく、自家製酢を使った料理は多種多様で、年ごとに各種作られる。手前から時計回りに、有機玄米くろ酢で漬けた酢ごぼうと酢ぶり、中央は生のしょうが。りんご酢使用の春雨、きゅうり、卵のあえ物。純米酢使用の巨峰の大根おろしあえ、小鯛の南蛮漬け、酢れんこんと酢かぶ。

「うちの酢は甕や樽により仕上がりが異なり、手入れにより違う酢ができます。それが怖くもあり魅力でもある仕事です」。日本に酢の製造技術が渡来したのは応神天皇の頃といわれます。その後、醸造法による米酢が造られ始めたのは、高橋家の創業と同時期です。

取材当時小学生だった長男の清太朗さんは、現在15代目を継がれました。300年守り継がれてきた酢造り、そして先祖とともに迎える家族のお正月は、今後も続いていくことでしょう。

幸せが重なるように。おかずはすべて2切れずつ

庄分酢を代表する「有機玄米くろ酢」 720ml 3024円。「有機純米酢」 300ml 594円は使いやすいサイズ。

下のフォトギャラリーから詳しく見る>>

Information

庄分酢

福岡県大川市榎津548

    撮影/古市和義 取材・文/萬 眞智子
    『家庭画報』2022年1月号掲載。
    この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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