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お酢を使った料理で正月迎え。味の「名家」に受け継がれる“お正月物語”

2021.12.27

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寿ぎのしつらいと料理にみる「味の名家」のお正月物語 第3回(全4回) 日本人は昔から、飲食するものを神饌として神に奉げ、感謝し、祈るという風習を大切に守ってきました。お正月のおせち料理やお雑煮はその代表的なものといえます。今回ご紹介するのは『家庭画報』1997年1月号に掲載した「味の名家」のお正月迎え。伝承の技術、伝来の味を守る家の新年のしつらいや料理に息づく新たな年を迎える祝いの形、厳粛ながらも晴れがましい心。日本人がいつまでも大切にしたいお正月の風景をお届けします。前回の記事はこちら>>

まろやかな「天然醸造酢」を使った料理で正月迎え
高橋家(庄分酢・しょうぶんす)
福岡県大川市


まろやかな天然醸造酢を使った料理で正月迎え

左の重箱2つには福岡の郷土料理である鶏肉入りのがめ煮や、有明海と筑後川の幸が美しく詰められている。三段の上には170年の歴史を誇る「志岐」のかまぼこ。高橋家の正月の祝膳には欠かせない品。

先祖の肖像と家訓の軸が掛かるお座敷で正月迎え


筑後川が有明海に注ぎ込む河口のデルタ地帯に位置する大川市は、約450年前から家具の町として知られてきました。江戸時代は柳河藩、久留米藩の藩境だったこともあり、多様な哲学、文化が混在する地です。

筑後川の水に恵まれ、豊かな大地を持つこの地は米どころであり、米どころは美酒の産地でした。そして酢は酒の発酵から生まれるもの。

「庄分酢」もこの流れに沿うように、2代目の高橋四郎兵衛が酒造りを始め、その技術をもとに4代目の高橋清右衛門が酢を造り始めました。以来約300年、伝統的な酢造りを続けています。

まろやかな天然醸造酢を使った料理で正月迎え

後列、13代目の故・高橋清悟さんと故・満代さんご夫妻、14代目で社長の一精さんと陽子さんご夫婦。前列左より、長男の清太朗さん、次男の宏樹さん、三男の健司さん。清太朗さんは現在15代目を継いでいる。

「私たちが現在こうしていられるのも先祖のおかげであり、酢のおかげです。酢の神様にはちゃんとお供えをして、先祖の肖像と家訓の軸の掛かる、先祖が残してくれた江戸時代の座敷で新年を迎えます」と14代目の高橋一精さん。

お座敷でいただく元旦の朝膳には、酢の家らしく酢ぶりと酢ごぼう、生のしょうが。そして生のいわしが置かれるのも特徴です。昔、後水尾天皇の元日の朝のお膳にいわし一尾がのせられていた故事からか、田作りの祝い肴、あるいは魔除けか、その縁起は定かではありませんが、この形は、今は亡き13代目が子どもの頃から変わらないものだったといいます。

家族一同で迎える正月行事の伝統は、次世代にも自然と受け継がれていきました。3人のお子さんが成長した現在も同じ形で大切に行われています。

下のフォトギャラリーから「元旦の朝膳」などを詳しく見る>>

撮影/古市和義 取材・文/萬 眞智子
『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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