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美味手帖

京の暮らしに息づくおもてなしの心「仕出し」

2021.03.30

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京都の食文化を巡る 第2回

お客さまより注文を受け、料理を作って届ける「仕出し業」は、日々の暮らしや年中行事を大切にする京都独特の食文化です。近年はめっきり少なくなってきましたが、ここ「菱岩」は200年近く続く仕出し専門の老舗として現在もその伝統を守っています。お店を訪ね、仕出しの歴史や料理の特徴、おもてなしの心を伺いました。前回の記事はこちら>>

“町衆の台所”から発展した仕出し文化


「昔は町ごとに仕出し屋があって、家庭のもう一つの台所みたいな存在でした。菱岩も開業の頃は朝仕入れた魚を天秤棒で担いでご近所の大店を御用聞きに回り、ご主人の好みの料理を作り、同じ料理でもお家ごとの味に変えてお届けしていました」と話すのは「菱岩」の5代目主人、川村岩松さん。



初代、菱屋岩吉の名前をとって「菱岩」を名乗るようになった天保初年(1829)創業の仕出しの専門店。5代目主人の川村岩松さんは花街・祇園の仕出しを中心に、観劇や行楽の折詰弁当を手がける。京都の食文化への貢献から、京都和食文化賞を受賞。


注文の仕方や料理は時代とともに変化し、次第に気の張る来客のもてなしやお祭り、慶弔事の料理の注文を受けるように。普段は慎ましく、その一方、おもてなしを大事とする町衆の台所として発展します。



切溜(きりだめ。料理を入れて運ぶための箱)を担いでお茶屋さんに料理を配達する白衣姿のスタッフ。そのさまは昔から変わらず、祇園の風物詩となっている。

花街・祇園の宴席を裏方として支える


「菱岩」では代々の主人が料理の研讃を重ね、3代目主人、松之助は漆塗りの半月型のお弁当箱や深さのある折箱を考案。5代目の岩松さんは祇園のお茶屋さんへの仕出しを始め、会席、松花堂、半月、折詰弁当など、用途に応じた料理を充実させました。



「松花堂弁当」は5000円~。写真は一例。春のお弁当の中は、だし巻き、鶏松風、サーモン山椒焼き、筍・小芋・飯蛸などの炊き合わせ、白魚、鮑柔らか煮、帆立焼き霜、豆ご飯、鯛桜葉寿司など。お造りは鯛、お椀は海老しんじょう。(仕入れによって内容が変わる)

「私が店を継いだ頃は晩の注文は受けておらず、お茶屋さんから夜の料理をしてみはったらと言われ、会席やお弁当をお届けするようになりました。花街の宴席は料理屋さんと違って芸舞妓さんが主役。料理はおいしく、でも華美にならないように気をつけています」と、“お茶屋さんの台所”として裏方に徹しています。



お茶屋さんへの仕出しは、会席や「松花堂弁当」が多い。お椀のだしは配達先で温め、熱々が供される。(撮影協力/かとう)
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