〔特集〕富山・北九州・宮城 ── 世界が憧れる 新しい “鮨の聖地” へ 「鮨のメジャーリーグ」といえば、東京・銀座。ですが、ここのところ美食家の間では、日本各地をホッピングし、職人渾身の鮨を味わい、その土地ならではの風土や物語に触れるという旅への関心が一気に高まっています。地元の旬魚と、それを生かす職人の技、そして地域の未来を見据えたチームの取り組み──。「鮨」を通して、日本の食文化の現在と未来をたどる、豊かな旅へとご案内します。
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[宮城県]
最高の地魚を地元で楽しむ「伊達前鮨」、いざ出陣
仲卸と鮨職人、料理人が手を組む「伊達前鮨プロジェクト」が本格始動した宮城。魅力的なメンバーが揃うなか、今回はプロジェクトを牽引する注目の3軒を訪ねました。
宮城の海の価値を上げ次世代に繫ぎたい
── 大森 圭さん(「伊達前鮨プロジェクト」代表)
宮城の鮨文化を再構築しようと立ち上がった、石巻「大森式流通」代表の大森 圭さん(右)は、10年ほど前から“量より質”に重きを置き、流通の現場で仲卸のあり方を変えてきた。左は伊達前鮨の名づけ親でもある「氏金寿し」の氏家光浩さん。
かつて伊達藩と呼ばれた宮城で、「江戸前」ならぬ「伊達前」として、県内の漁師、仲卸、各地で研鑽を積んだ実力ある鮨職人、料理人が連携し、宮城でしか味わえない新たな鮨文化を創り上げ、活動しているのが「伊達前鮨プロジェクト」です。
「宮城の最高級の魚と、鮨の名店で修業して戻ってきた鮨職人が集まれば、地元で世界と戦えるのではないかと思いました」
そう話すのは、伊達前鮨プロジェクトの発起人である石巻の仲卸・大森 圭さん。それまでは宮城の高品質な魚のほとんどは東京の豊洲市場に運ばれ、地元の店では味わえない状況にジレンマを抱えていたという大森さんと、登米市にある「
氏金寿し」の氏家光浩さんの思いが一致し、江戸前鮨の研鑽を積んだUターン組と、地元の生え抜きの職人が集結しました。
メンバーは大森さんと氏家さんをはじめ、仙台市の「鮨いわ貴」岩井貴之さん、「
鮨德」岩沼德太郎さん、「鮨ゆたか」伏見 悠さん、加美町の「
笠聖」笠原聖太さん、そして塩釜の和食職人「和み処男山」佐藤 強さんの全7名。
海からカウンターまでを一つに繫げ、宮城の海産物を地元で究極の鮨へと昇華させる。その取り組みが評価され、今年、世界的なレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ2026」でイノベーション賞を受賞しました。
「魚は素材ではなく、料理の一部。地の利を生かし、鮮度抜群の魚をあえて未完成に近い状態で届けることで、各々が自分の鮨に仕立てる余白が生まれます」と大森さん。ますます磨きがかかり、面白くなる伊達前鮨から目が離せません。
(次回へ続く。
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