〔特集〕富山・北九州・宮城 ── 世界が憧れる 新しい “鮨の聖地” へ 「鮨のメジャーリーグ」といえば、東京・銀座。ですが、ここのところ美食家の間では、日本各地をホッピングし、職人渾身の鮨を味わい、その土地ならではの風土や物語に触れるという旅への関心が一気に高まっています。地元の旬魚と、それを生かす職人の技、そして地域の未来を見据えたチームの取り組み──。「鮨」を通して、日本の食文化の現在と未来をたどる、豊かな旅へとご案内します。
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[宮城県]
最高の地魚を地元で楽しむ「伊達前鮨」、いざ出陣
仲卸と鮨職人、料理人が手を組む「伊達前鮨プロジェクト」が本格始動した宮城。魅力的なメンバーが揃うなか、今回はプロジェクトを牽引する注目の3軒を訪ねました。
「山野河海」を鮨で表現。注目のデスティネーション
【笠聖(りゅうせい)】(加美町)
気持ちのいい田園風景が眺められる店内。地元の農業高校の学生が育てたしょうがで作るがり、箸休めの自家製の漬け物にも遠方からわざわざ訪れるお客様へのもてなしの心がうかがえる。
「宮城のものをひととおり召し上がっていただけるように、“山野河海(さんやかかい)”すべての食材を置きたいと考えました。地元で店をやるなら、ここでしかできないものをと思ったんです」と、ご主人の笠原聖太さん。
ご主人の笠原聖太さんは35歳。東京の「鮨さいとう」系などで10年修業後に帰郷し、2024年に開業。
実家の老舗鮮魚店を継ぐべく、東京の鮨店で10年研鑽を積んだ後、2022年に加美町にUターン。「伊達前鮨プロジェクト」を立ち上げた石巻の仲卸・大森 圭さんとがっちり手を組み、伊達前鮨を牽引する若手鮨職人の一人です。
地のものをふんだんに取り入れたつまみやにぎりには、宮城の海の豊饒さを物語る魚介だけでなく、近くを流れる川で育つ山女魚や岩魚、鮎を揃えて。さらには旬の地場野菜、地元醸造の醬油やみりん、宮城の伝統工芸品・切込焼の盃で供される日本酒までこまやかに気を配ります。
切込焼の大皿に盛られた、地元・加美町の川魚のにぎり3種。右から、2日ねかせて仕込む鮎の酢じめ、岩魚のヅケ、天然の鰻。鰻には実家の老舗鮮魚店「かさ松」のたれを使用。
手前中央から、天然石垣貝(石巻)、こち(東松島)、ぶどうえびの昆布じめ(石巻)、揚げて南蛮地に漬けたぬまえび(伊豆沼)、あなご(石巻)。「魚はしめたものがすぐに手に入る、東京ではあり得ない鮮度です」とご主人。水産と鮨職人のタッグが、「伊達前鮨」をさらに磨き上げる。
酢飯もまた、米どころである加美町のササニシキとササシグレのブレンド。食感と香り、温度を大切に丁寧に仕込んだ鮨だねと渾然一体となって口に優しく解けます。
手前から宮城の郷土料理「蒸し鮑の味噌漬け」、「ぎはぎ(うまづらはぎ)の肝和え」、酒浸しにして一夜干し風に仕立てた「山女魚の焼き物」には、海苔のソースを添えて。地元の酒蔵で造る特別純米酒「天上夢幻」が華を添える。
この日の巻きものは、まぐろとろと加美町のきゅうりの塩もみを中巻きで。
笠聖宮城県加美郡加美町字町屋敷二番19-1
TEL:070-1140-1572
営業時間:12時~14時、18時~21時
定休日:不定休
おまかせ1万6500円、2万2000円 要予約
(次回へ続く。
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