〔特集〕富山・北九州・宮城 ── 世界が憧れる 新しい “鮨の聖地” へ 「鮨のメジャーリーグ」といえば、東京・銀座。ですが、ここのところ美食家の間では、日本各地をホッピングし、職人渾身の鮨を味わい、その土地ならではの風土や物語に触れるという旅への関心が一気に高まっています。地元の旬魚と、それを生かす職人の技、そして地域の未来を見据えたチームの取り組み──。「鮨」を通して、日本の食文化の現在と未来をたどる、豊かな旅へとご案内します。
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[富山県]
きら星の才能が集結する「すし県」の現在地
3年前から始まった「寿司といえば、富山」プロジェクトが浸透し、日本中から鮨好きが訪れる富山県。天然のいけすといわれる富山湾の海の幸に洗練の技を施して魅了する、わざわざ訪ねる価値のある注目の3軒にご案内します。
港町で向き合うからこその、極みを求めて
【橋場】(新湊)
世界中の鮨愛好家が待ちに待っていた鮨オーベルジュが2026年5月に完成。場所は射水市内川エリア、「日本のベニス」と呼ばれる風光明媚な場所に位置します。
美食家、最注目の「鮨オーベルジュ」が誕生 ── 橋場奥様の彩子さんの郷里である富山の魚に惚れ込み、念願叶ってオーベルジュを開業。近くの内川沿いは港町らしい風情もたっぷり。

魚が最も輝く一瞬を一かんに込めるがモットーの橋場俊治さん。
ご主人の橋場俊治さんは、ミシュラン3つ星の常連として知られた名店「鮨さいとう」で二番手を務め、2020年には東京・元麻布に「鮨しゅんじ」を開業。ご自身は東京都神津島出身ですが、奥様の彩子さんの故郷である富山に帰郷するたびにこの土地に魅了され、3年前には早くも建設予定地を購入していました。
カウンターから見えるオープンキッチン。左には本格的なピザ窯も備えられているが、これは別ジャンルのシェフとのコラボレーションなども想定しているため。
庄川上流で産出される金屋石や富山の栃の木の一枚板のカウンターなど、地元愛たっぷりなしつらいで、1階には鮨カウンターに加え、ピザ窯を備えた厨房やブルゴーニュワイン中心のバー、ラウンジを設け、2階には3室の客室とサウナ、青森ヒバの大浴場を備えます。
奥様の彩子さんが経営していた店の名を取ったワインルーム「またたび」。シャンパーニュとブルゴーニュの揃えが素晴らしい。
2階から望むラウンジ。食事のあとは食後酒や会話を楽しむスペースとなる。
客室は3室。リビングの窓から富山湾が見える。
青森ヒバの大浴場。サウナにもこだわった。
「鮨だけでなく、富山の海や港町の文化、土地に根付くものすべてを体験してほしくて、オーベルジュというスタイルを考えました」と橋場さん。
とはいえ核となるのは、鮨と富山の魚。市場に通ううち、その魅力にのめり込んだといいます。
一品料理より。朝どれのいんげんは軽く茹でておひたしに。さざえはおろしたかぶでみぞれ和えに。地元のいちじくはごまあえに。酒は南砺市の「三笑楽」の純米酒。
「朝、市場で出合った魚を昼に使える。その鮮度があるからこそ、熟成ではなく手当てや切り方を工夫するようになりました。雄と雌で味わいが違うことや、高価な魚が必ずしも使いたい魚ではないことにも気づきました」。
後列左上から甘えび、いさき、べにずわいがに、玉子。前列は富山えび、のどぐろ、あじ、赤いか。のどぐろは富山の楢の木で燻してから、山で摘んだ木の芽で拵えた佃煮を添える。いさきは雄が橋場さんの好み。いずれも新湊もしくは氷見の漁港からの朝どれ。
今はスタッフ全員で東京と行き来し、次回の富山営業は2026年10月からを予定。
「富山で知った “熟成させない魚のおいしさ” を東京でもどう生かせるか。自分自身、その変化を楽しみにしています」。
隠れ家の趣もある玄関。
橋場富山県射水市港町5-1
1泊2食付き1名15万円~
IN15時~17時/ OUT11時
予約は3か月前からウェブサイトにて。
現在「鮨オーベルジュ」は夏季休業中で2026年10月から再開予定。
URL:
https://www.sushi-shunji.tokyo/auberge(次回へ続く。
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