1974年、銀座4丁目に開業。以来50年以上日本のフランス料理界を牽引してきた「銀座レカン」がリニューアル。才能あふれる若きシェフを中心に生まれ変わった名店がふたたび注目を集めています。
銀座の中心、中央通りに控えめに佇むワインレッドの扉。その奥にあるエレベーターで地下2階へ下りると、重厚なアール・ヌーボー調のウエイティングルームが目の前に現れます。その非日常感に心躍りながら、ワンフロア上にあるダイニングルームへ。ムードはガラリと変わり、こちらはオフホワイトとシャンパンゴールドを基調とした洗練された空間。ベテランスタッフのエレガントな接客、美しいカトラリーやテーブルウエア、すべてが相まって、早くも"これぞ、グランメゾン"の品格を実感。内容を一新したという料理への期待が膨らみます。
暗めの空間に豪奢なシャンデリアとワインレッドの内装がドラマティックなウエイティングルームは以前のまま。ゲストのみ利用できるバーもある。
地下1階のダイニングルーム。シャンパンの泡のようなガラスボールのシャンデリアも軽やか。生花の鮮やかさがシックなムードに彩りを添えます。

新しいロゴが印刷された白い封筒の中にはカードが2枚。「上編」には料理のコース、「下編」にはデザートのコースメニューが記された面白い趣向。
フランス料理の伝統とレカンの歴史を紡いできた先人に敬意を払いつつ、未来を創造していきたい、という精神から生みだされる料理は、軽やかでモダンなプロローグから、後半はクラシックなフレンチらしいメニューへ。まさに"革新と伝統"を楽しめる構成となっていて、随所に驚きがあり、皿数が多くても飽きることがありません。ほとんどのメニューには素材の産地や生産者名が記され、日本の豊かな自然への感謝、生産者への敬意が表されています。ここではお料理の一部をご紹介します(料理写真は編集部撮影)。
「レバーパテ」
愛知県豊橋市、岡本 恵氏が飼育する最高品質の三河の「恵鴨」を使ったレバーパテ。料理に合わせて特注したというアーティスティックな器に乗せて。
「東京白カビ ブラマンジェ」
東京の食材を使いたい、と杉田シェフが選んだ「CHEESE STAND」の「東京白カビチーズ」を使用。瑞々しいトマトウォーターのジュレとオリーブオイル、ローストアーモンド、ハーブでチャーミングな演出。
「ヒラスズキ グラチネ 柚子」
フレンチの王道の魚料理、ボンファムをバターやクリームを控えめにして、軽やかなグラチネに。和歌山県産のヒラスズキがふわふわで本当に美味です。柚子の風味を加えて新鮮な味わいに。
「恵鴨 モリーユ ヴァンジョーヌ 八丁味噌」
最初のレバーパテと同じく、杉田料理長が惚れ込んだという愛知県豊橋の「恵鴨」を1週間寝かせてから、甘みと酸味のあるガストリックソースと八丁味噌を部分ごとに塗り分けて、丁寧に焼き上げて。テーブルにはこちらをカットして、八丁味噌とヴァンジョーヌを使った泡のクリームと、恵鴨のレバーを使ったサルミソースと一緒に供されます。モリーユ茸の中にもレバーやモモ肉が詰められていて、鴨の美味しさを丸ごと味わえる、フランス料理ならではのひと皿。
「冬熟きたあかり 西尾抹茶」
じゃがいものアイスクリームは初体験。さっぱりとした甘みながら舌触りはねっとり。抹茶の苦みといいバランスです。
「柑橘 ピーカンナッツ」
濃厚なピーカンナッツアイスクリームとキャラメルと、柑橘の爽やかさが絶妙。
29歳でシェフソムリエに就任、2025年からチーフ ブランディング オフィサー兼総支配人を務める近藤佑哉氏が、次の100年を見据えて第9代料理長に選んだ杉田周人氏と副料理長長澤瑠衣氏。杉田氏は、「タテルヨシノ」やフォーシーズンズホテル丸の内 東京の 「セザン」などで研鑽を積んできました。この2名に加え、パティシェ部門のエグゼクティブアドバイザーに自身のスイーツブランド「レアリゼ」を持つ竹内理恵氏が就任。3名ともまだ30代前半、近藤氏の「若い才能あるひとが活躍するレストランにしたい」という熱意を受け取り、新生レカンを担っていきます。
総料理長 杉田周人氏(左)と副料理長 長澤瑠衣氏(右)。 和のエッセンスも生かし、軽やかかつ滋味溢れた料理、プレゼンテーションにも工夫を凝らした新作と、時間と手間をかけたフランス料理ならではの醍醐味。まさに革新と伝統が見事に共存している料理と、セラーに並ぶ約2万本の中から、料理に合わせて選び抜かれたシャンパンやワイン、そして心地よい時間を演出してくれる一流のサービス。すべてがスペシャルな美食体験でした。大切な方との日にぜひ訪れたい特別なレストランです。