〔特集〕東京・京都・大阪&全国各地から厳選 いま訪ねたい “鮨” の新名店 世界中の美食家たちが、鮨を楽しむ旅の目的地としてこぞって日本を訪ねる時代。職人の技が冴える鮨を私たちが本当に心地よく味わえる、新たな名店を厳選してご案内します。
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技に価格に “良心” が宿る精鋭店へ
味よし、人よし、雰囲気よし。そして価格も良心的。鮨を味わう本来の「喜び」をもたらす東西の佳店へ、春から初夏の旬を味わいに出かけましょう。
鮨 ゆうき (東京・広尾)
横浜から東京へ。洗練の酢飯で魅了
左から千葉・勝浦の本まぐろの中とろ、天草のこはだ、明石のひらめ。コースのにぎりは全部で12、13かんほど。魚介は豊洲市場が中心ながらも、白甘鯛やさわら、真鯛などは愛媛の漁師・藤本純一さんから取り寄せている。修業先の「鮨 水谷」を彷彿とさせるにぎり鮨の流線型が美しい。
広尾商店街を一本入った横道にひっそりとした佇まいを見せる「鮨 ゆうき」。ご主人の林ノ内勇樹さんは、伝説の名店「鮨 水谷」で7年間修業。その後、実家の横浜「常盤鮨」の3代目として9年にわたり腕をふるった実力の持ち主です。2024年3月、75年続いた暖簾をおろし広尾に移転。自らの名前を店名に掲げ、新たなスタートを切りました。
「すしの主役は米」と語るご主人の言葉どおり、一粒一粒が立ったシャープな酢飯が身上です。浸水時間を最大限に長くした後、羽釜で炊き上げる酢飯は、口中でほろりとほどけ、味わうほどに米の甘みが広がります。人肌の温度感も上々。それに合わせてきんめ鯛はやや温めて、まぐろは常温でと、鮨だねの温度への細やかな配慮も美味のポイントです。
6、7品が出るコースのつまみから。右・白甘鯛をさっと酒蒸しにしたもの。左・ゆでたやりいかにきんめ鯛のあらでとっただしの餡をかけたひと皿。手をかけすぎず、シンプルな仕立てもお鮨屋さんのつまみらしい。
その鮨だねも毎朝通う豊洲市場をはじめ、愛媛のカリスマ漁師・藤本純一さんの魚介を取り寄せるなど、こだわりが光ります。
対馬産のあなごもご主人おすすめの1かん。出す前に蒸し器で軽く温めてにぎるのがこの店のスタイル。人肌の温度の酢飯と口中で一体となり、ほわっととろける。
取材日、コースのにぎりはさっと塩じめにした旬のさよりから。軽やかな味わいがシャンパンとよく合う。ほか、日本酒も豊富に揃える。
林ノ内勇樹(はやしのうち・ゆうき)1981年生まれ 射手座 A型 横浜市出身 座右の銘/一期一会 学生時代の部活/野球部
8席のカウンターのほか、個室も1室備える。
鮨 ゆうき住所:東京都渋谷区広尾5-17-4 1階
TEL:03(6277)0468
営業時間:12時~(火曜・土曜・日曜・祝日のみ)、17時~
定休日:不定休
予算:昼1万7600円。夜2万8600円。要予約。
(次回に続く。
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