宮本亞門さん(演出家)
(1)うなぎ藤田
浜名湖産を中心とした上質なうなぎを使用。最後の晩餐がうなぎだったぐらい、うなぎがいちばん好きな亡き父と通ったお店。最後は足が悪くなりながらも「あのうなぎが食べたい」というので、車椅子を押して行きました。
江戸っ子の父なので、蒸し焼きをする関東風が好みですが、ここは醤油を繰り返しつけて焼く関西風味でもあり、その塩梅が好み。年なので量は食べられませんから、いちばん小さなうな重を頼みます。蓋を開けると香ばしく、表面はわずかにカリッとして、中はふうわり柔らかく、脂がのっています。甘辛いたれはしつこくなくて上品。
昼から日本酒をちびちびと交わし、本当に嬉しそうにしている父を見るのが楽しみなお店でした。
東京都港区白金台4-19-21 IGAXビル3階
TEL:03(6432)5636
(2)6シス
これぞ、まさしく演出! 食のエンターテインメント! 第六感まで感じさせてくれるという意味を込めて「6シス」と名づけたそのお店は、小さな島に行く長い橋を渡る道中からして高揚感。
皿というよりも造形物のような器に、ジュエリーのようなイノベーティブなお料理がなんと20皿以上も出てきて、驚きの連続。これでもかというデザートのオンパレードは、最後まで工夫が凝らされている。アイディアと美しさの感性を磨くために行きますが、気さくなシェフとマダムからは本当に元気をもらえます。
沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利499-1
TEL:0980(56)3733
山口 遼さん(宝石史研究家)
(1)銀座 みかわや/「かきフライ」
洋食文化の礎を築いた老舗のエレガントな店内。撮影/本誌・大見謝星斗もう社会人になってから60年を超えますが、奇妙なことに転勤というものを一切してこなかった。まあ、2年間のニューヨーク駐在を除けば、東京都中央区にずっといたのです。ですから、銀座、神田界隈は随分と食べ歩いたのですが、渋谷とか六本木とか麻布などは全く知らない、そうした中で、40年以上も行っているのは、銀座三越裏のみかわやさんですかね。
和風洋食というのがピッタリの店。毎年絶対に食べに行くのは秋の頃のかきフライですか、味もサービスも満点。年とともに重いものがダメになっても大丈夫、誰を連れて行っても文句はいわれない。まあ、中央区では最高の店じゃないでしょうか。
東京都中央区銀座4-7-12
TEL:03(3561)2006
(2)神田まつや
どっと疲れたとき、特に家庭画報から原稿で追いまくられるときなど、そば屋を数軒放浪します。そばを食べたいというよりも、独りで誰もいないところで、ぼんやりしたいだけですが……。たとえば「神田まつや」。もちろんそばですが、そばがきも大好きです。これはお店によって当たり外れが大きい。ご褒美などとはいえませんが、少しは元気になります。
東京都千代田区神田須田町1-13
TEL:03(3251)1556