レストラン
2022/05/16
初夏の「行楽昼膳」 第16回(全18回) 首都圏や関西各地から日帰り遠足気分で訪ねられる距離にありながら、別世界を味わえる、個性豊かなレストランにご案内します。前回の記事はこちら>>
目の前の畑やガーデンから収穫したばかりの自然の恵みを、アートのような一皿で楽しむ。今、新しい才能によるユニークなスタイルのレストランが都市近郊に増えています。
自然との共存、これからの農業や食の在り方にも意識を寄せる姿勢は、レストランシーンにおいて見逃せないムーブメントです。話題の店を訪ねます。
「マルタ」のある日のコースから「自生の菜の花とサワラのスモーク生ハム」。香りの深いかやとさわらのだしを合わせたソース、水辺で摘んだばかりのすずめのえんどうをさっと揚げてトッピングに。
菜の花やゆきのした、すずめのえんどう──、近隣の水辺を含む自然区は野草の宝庫。「マルタ」のスタッフは日々足を運び、使う分だけの食材を摘み取る。南房総産のれんこんと合わせ、料理の構想を練る。
武蔵野の面影が残る神代植物公園の近く。整然と並べられた薪と大きな煙突が目印の「マルタ」は、料理ももてなしも空間もすべてが自然と大地に根差しています。
高い天井に薪のくべられた暖炉、カウンターや大きな木のテーブルが並ぶさまは、モダンな山小屋のよう。スタッフが収穫したハーブや実が保存されたガラス瓶も、これからのガストロノミックな時間への期待を高めます。
下ごしらえをしたれんこんに牛脂を少しまとわせてじか火で焼く「レンコンの薪焼き」。発酵れんこんとホエーのソースで。
ドアオープンからコースが始まるまでは、ハーブやベリーの畑、そして薪窯もある庭やテラスで過ごせるのもゲストの特権です。
「ゲストが庭で摘んだハーブをその場で使ったり、アミューズを薪窯で焼いてもらうこともあります。食と自然がこれほど身近だと気づくきっかけになれば」と石松一樹シェフ。
植生を知ると料理の幅が広がる、と石松シェフ。
おまかせのコースは10品前後。最もプリミティブな手法である“薪火”の力をフルに活用した、フレンチベースの個性的な料理が次々とお目見えします。手にした食材は徹底的に使いきることもシェフが大切にするテーマの一つ。
「畑や水辺で自分が収穫したものは思い入れも深くなり、料理のイメージも膨らみやすいんですよ」とにっこり。
東京都調布市深大寺北町1-20-1
TEL | 042(444)3511 |
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営業時間 | 土曜・日曜のみの営業でランチ11時30分~、ディナー日没~(いずれも一斉スタート) |
木曜・金曜は8名~であれば予約可。10日前までに要予約 昼・夜ともに1万8000円(ドリンク別) 3日前までに要予約。電話予約は水曜~金曜の11時~18時に受け付け ホームページからの予約がおすすめ
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料理内容や食材、産地、営業時間、定休日等は変更になる場合があります。予めご確認のうえ、お出かけください。掲載の料金は税込み価格です。別途サービス料がかかる場合があります。
撮影/大泉省吾 取材・文/露木朋子
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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