連載

なぜ京都に利尻昆布が? 名物「木の芽煮」誕生秘話

随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ
第7回「くらま辻井」店主 辻井浩志さん、大女将 辻井康江さん

かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。彼女の生誕100年となる今年、書き残された足跡を訪ねて、生粋の京女が認めた京都の名店や名所をご紹介します。

大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。(写真提供/鈴木靖峯さん)

京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちはなにを拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家、大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女の愛した名店を辿ります。

大村しげの記憶を辿って私だけの京都へ「くらま辻井」

鞍馬寺門前に漂う匂いの正体は?

繰り返し京都観光に出かけたなら、鞍馬へ足を延ばした方も多いのではないでしょうか? 京都駅から鞍馬駅までは鉄道を乗り継いで約1時間。北へ進むにつれて徐々に山中の景色へと変わっていく様は、いつもの京都旅行とは違った気分にさせてくれます。下車後、1200余年の歴史を持つ鞍馬寺の門前から道沿いに5~6分歩くと見えてくるのが、木の芽煮(きのめだき)の名店「くらま辻井」です。

鞍馬に着くと周囲にはしょう油の美味しそうな匂いが漂っています。これが鞍馬名物、木の芽煮の匂い。木の芽とは山椒の若葉のことで、山椒の葉と昆布を合わせ、佃煮にしたのが木の芽煮です。大村しげさんは著書『京の食べもの歳時記』(中央公論社)、『京都 火と水と』(冬樹社)、『ほっこり京ぐらし』(淡交社)などで、くらま辻井の木の芽煮について、何度も記述しています。

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