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この水羊羹をご存じならば、かなりの京都通です

2018.03.30

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随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ
第3回「田丸弥」当主 吉田達生さん

「田丸弥」当主の吉田達生さん
かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。生誕100年となる今年、彼女の記憶を辿り、生粋の京女が認めた京都の名店や名所をご紹介します。

大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。(写真提供/鈴木靖峯さん)



おばんざい「大村しげ」を辿る 田丸弥 吉田達生さん

丹波の旅籠がルーツの名店


京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちは何を拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家・大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女が愛した名店を訪ねます。

上品な甘さを特徴とする京都の煎餅で、特に知られた名店が「田丸弥(たまるや)」です。こちらは江戸時代まで丹波で旅籠を営んでおり、自家製のお菓子で旅人をもてなしていたといいます。その後、時代が明治、大正へと変わるなか、京都に移り、お菓子作りが本業となりました。

本店は昔ながらの京都の商店様式を残した築90年ほどの建物。趣のある店内に入ると、手前と奥の2部屋にたくさん並んだお菓子がお客様をお出迎えしてくれます。と、店員さんの優しい「おこしやす」の声。続いて、お茶やお菓子がふるまわれ、京都らしいおもてなしに、思わずほっこりしてしまいます。きっと、江戸時代までの田丸弥でも、こうして旅人の疲れを癒していたに違いありません。

さて、大村しげさんは、田丸弥のお菓子が大のお気に入りだったとみえて、何度も著書や雑誌でこちらの名物について書き残しています。今回は、特に彼女が愛した3種類のお菓子をご紹介します。

おばんざい「大村しげ」を辿る 田丸弥 吉田達生さん田丸弥本店。写真右手の障子の向こうは表通り。外の格子を外すと、道行く人が商品を覗き見ることができたため、こうしたお部屋を見せの間と呼んでいたそうです。正面は大正時代の御殿雛。季節に応じて建具を入れ替えるなど、店の設えを楽しみにして訪れるお客様も多くいます。

おばんざい「大村しげ」を辿る 田丸弥 吉田達生さん奥の間にもお菓子とともに貴重なお雛様が飾られていました。上段は江戸時代、下段は明治時代のもの。「男女の顔の位置の高さを見比べてください。高さの差が少なくなっているのは、時代の変化による女性の地位向上を表していると思います(笑)」と吉田さん。雛飾りは4月初旬まで飾られています(京都では月後れと称して4月3日を雛祭りとする商店、家庭が少なくありません)。
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