〔特集〕この夏、心と体を解きほぐす 「沖縄 癒やしの時間」 エメラルドグリーンの海を眺めながらの朝ヨガ、琉球ハーブの香りに包まれるスパトリートメント、そして島野菜たっぷりの滋味溢れる食事──。亜熱帯の楽園が、心身を優しく解きほぐし、内側から輝く美しさを呼び覚まします。この夏、島時間に身を委ねる極上のエネルギーチャージの旅へ出かけませんか。
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食で夏を健やかに

琉球薬膳料理研究家・宮國由紀江さんに習う琉球薬膳レシピ。写真の「塩ゆで豚野菜のせ」は体内に潤いを与えながら体の熱を冷ます、夏におすすめの逸品。
長寿の島・沖縄では、古来、食べ物を薬としてとらえる文化「くすいむん(医食同源)」が根づいています。そこで夏を健やかに乗り切る、島野菜、海藻、豚肉を巧みに組み合わせた、心身のバランスを整えるレシピをご紹介。また、この夏ぜひ訪れたいおいしくウェルネスなレストランをご案内いたします。
長寿の島・沖縄の食で体内から健やかに
左・宮國由紀江さん 右・ともこさん
「琉球薬膳」の知恵で食養生を
沖縄の島々を起点に「祈り・養生・暮らし」を探求し、発信している数秘研究家であり旅エッセイストである、ともこさん。琉球薬膳料理研究家・宮國由紀江さんに、夏の養生レシピを教わりました。
「塩ゆで豚野菜のせ」
効能・清熱滋陰(せいねつじいん)
〈体の熱を冷ましながら同時に慢性的な潤い不足を改善し、体内のバランスを整える〉塩をもみ込んだ豚バラ肉をボイルして、スライス。醬油、酢、砂糖、ナンプラーで味をつけたにんにく、しょうが、ピーマン、トマトをのせる。
「ぬちぐすい」で夏の不調を整える
ともこさん(以下、ともこ) 沖縄の「ぬちぐすい」という言葉にいつも感心しています。“命(ぬち)の薬(ぐすい)”、食べるもので心と体を養い、毎日の食事に感謝する。そんな価値観を表す言葉ですよね。
宮國由紀江さん(以下、宮國) 「くすいむん(薬になるもの)」という言葉もあります。くすいむんから得られる活力や癒やしが「ぬちぐすい」。琉球薬膳は、そういう食文化を指します。
琉球の食医学書で知った薬食同源の極意を食卓に
今回の料理に使われている食材の一部。薬草は、苦菜、からし菜、よもぎなど。夏の野菜として、トマト、冬瓜、へちま、ゴーヤーが並ぶ。
ともこ 沖縄には、身近に薬草が多くあるようにも思います。
宮國 沖縄の薬草は、中国伝来のものに加えて、南米のパパイアなど多彩な国の食材が融合して独自に発展しました。普段の暮らしに取り入れているのも沖縄ならでは。スーパーでふと手に取った食材に薬膳効果があるのも特徴ですね。野菜や海藻、豚肉など効能が高い食材が豊富。調理法とともに、日常に薬食同源がなじんでいます。
ともこ 沖縄は元祖・長寿の食文化の発祥地ですね。
宮國 薬食同源の考え方は琉球時代の食医学書『御膳本草(ぎょぜんほんぞう)』に残されています。暑い夏を乗り切るアイディアもたくさん記されているんですよ。
沖縄の「ぬちぐすい」の原点『御膳本草(ぎょぜんほんぞう)』。1832年、琉球国王の主治医を務めていた渡嘉敷親雲上通寛(とかしきペーちんつうかん)著。中医学の食養生に影響を受け、約300種の食材の効能や食べ合わせがまとめられている。
ともこ 今回は、どのような琉球の叡智が生かされているのでしょうか。
宮國 まず、薬膳は治療食ではなく、予防食。季節の特性を知って、対策を取る食材選びを行います。食欲不振や不眠の要因になる暑さを取るためにゴーヤーを食べるというような。苦味には体の外に熱を出す働きがあるんです。水分も、水気の多い野菜をとることでしっかり体に蓄積できる。トマトや、冬瓜などのウリ科がおすすめです。
ともこ 夏の野菜は体を冷やしてくれる効果もありますね。
宮國 はい。おなかを冷やしすぎないように、ほとんどの料理にしょうがを入れているのもポイントです。「夏のしょうがは医者知らず」ともいわれています。塩もミネラル補給に効果的。私は、地元のまろやかなうまみがある浜比嘉島と久高島の塩を使っています。
ともこ 大好きなもずくが使われたタコスがあるのが嬉しいですね。
宮國 もずくは沖縄県で全国の8割ほどがとれます。うるま市は日本一のもずくの産地。もずくは体内の熱を冷まします。さらに、タコスの皮に使われている小麦は、夏場のイライラや気持ちのたかぶりを鎮める効果が。最近、グルテンフリー志向が高まり、小麦をとらない人が増えていますが、小麦は精神を安定させたり、寝つきをよくするために使う漢方の生薬の一つです。
ともこ 宮國さんの料理は、彩りがきれいなところも魅力ですね。
宮國 ありがとうございます。薬膳の効果を最大限に引き出すには、環境も大切です。食材の色に加えて、器や花で華やかさを出すことで、副交感神経が優位になり、心身が整うからです。自分なりに、伝統的な薬膳の知識にアレンジを加えて工夫しています。
ともこ 「東道盆(とぅんだーぶん)」のようにみんなで「ゆんたく(おしゃべり)」しながら食事を囲むスタイルが沖縄らしいですね。大好きな「いちゃりばちょーでー(一度会えば皆きょうだい)」という言葉を思い出しました。人とのつながりも元気の源の一つではないでしょうか。
宮國 夏の養生食は、冬の体調まで左右します。家族や友人と楽しく、夏の食事を味わって体を整え、一年間、豊かな時間を過ごしてください。
●ここでご紹介している料理の詳しい作り方は
こちらから。
宮國由紀江さん(みやぐに・ゆきえ)琉球薬膳料理研究家、料理教室「薬膳琉花」主宰、栄養士、国際中医薬膳師。『御膳本草』の精神を伝える琉球薬膳を普及。Netflixのドキュメンタリー『100まで生きる:ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』の出演でも有名。
ともこさん数秘研究家、旅エッセイスト。著書である『日本の聖地を訪ねて』(世界文化社)は本誌の連載をまとめた一冊で、心に響く写真と文章で好評。沖縄の知られざる美しき聖地に癒やされる「美(ちゅ)ら絶景 沖縄聖地カレンダー2027」(世界文化社)も執筆。

(次回へ続く。
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