〔連載〕栗原心平のおもてなしレシピ「心平レストラン」へようこそ “発酵の世界”を旅し、菌と人を繫ぐ語り手である小倉ヒラクさんをお迎えし、暑さで鈍った心身を立て直す「発酵メニュー」を栗原心平さんが披露します。
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第4回(前編)
発酵の力で元気に夏を乗り切る
ゲスト・小倉ヒラクさん(発酵デザイナー)

「トマトと麴の相性、すごくいいですよね」(小倉さん)
「山梨のワイン文化の原点に関心が湧きます」(栗原さん)
——醬油や味噌、酢、漬け物といった発酵の知恵は、高温多湿な風土のなかで育まれ、私たちの暮らしを支えてきました。発酵デザイナーとして世界のあちらこちらを旅する小倉ヒラクさんと栗原心平さんはこの日が初対面。小倉(以下O) “夏を乗り切る発酵メニュー”と聞き、楽しみにおじゃましました。
自身のオリジナルバッグに、セレクトした発酵食品を詰めて登場したヒラクさん。
栗原(以下K) “発酵の伝道師”であるヒラクさんにちょっと緊張です(笑)。まずは、読者のみなさんもトライしやすい「野菜醬油麴のあえ麺」を。醬油麴は米麴と醬油、そしてペースト状にした野菜も合わせて発酵させました。中華麺とよーく混ぜ合わせてどうぞ。
豚ひき肉は、肉から脂が出るため、油をひかずに火にかける。焼き色がついてからほぐしはじめると香ばしい。
O 醤油麴にトマトが入っているんですね。トマトのアミノ酸は麴と相性がいいんです。程よい酸味が出てさっぱりとしておいしい! これを肉味噌のようにして中華麺とあえるのいいですね。白いご飯にも合うはず。
K よかった。醬油麴はどんな野菜を入れてもよさそうで、パクチーでも試作中。発酵に適した環境をキープできるヨーグルトメーカーを使っています。
O では、うち(発酵デパートメント)のオリジナルワインをどうぞ。150年前に、山梨の農家の人たちがつくっていたワインの製法を復活させて、ぶどうを皮や種ごと搾り……。
K オレンジワインの手法ですね。色合いも風味も、風土の力強さが感じられます。やさしくておいしいなぁ。
野菜醬油麴

麴づくりはヨーグルトメーカーを使うと、短時間で失敗なく完成できる。
材料【A】
トマト………大2個
玉ねぎ………100グラム
にんじん………80グラム
セロリ………60グラム
にんにく………大ひとかけ
米麴(乾燥)………200グラム
醬油………200ml
作り方(1)トマト、玉ねぎ、にんじん、セロリはざく切りにする。フードプロセッサーに【A】を入れ、なめらかになるまで攪拌する。
(2)ヨーグルトメーカーに(1)、米麴、醬油を入れてよく混ぜ、55度で8時間加熱する。
(3)野菜がしんなりし、全体がなじんだらでき上がり。冷蔵庫で保存する。
おもてなしコース①
野菜醬油麴のあえ麺
トマトや野菜とともに発酵させた、軽やかな醬油麴。野菜とひき肉のうまみが重なり合う、夏にうれしいひと皿です。
材料(2人分)豚ひき肉……200グラム
赤唐辛子(小口切り)………小さじ1/2
しょうが(みじん切り)……小ひとかけ分
にんにく(みじん切り)………1/2かけ分
【A】
醬油………大さじ1 1/2
酒………大さじ1
みりん………大さじ1
砂糖………小さじ1
オイスターソース………小さじ1
水溶き片栗粉………小さじ1/2
中華麺(太麺)………2玉
青ねぎ(小口切り)………適量
作り方(1)【A】は混ぜ合わせる。
(2)フライパンを熱し、豚ひき肉、赤唐辛子、しょうが、にんにくを入れ、強火でほぐしながら炒める。肉に8割ほど火が入ったら【A】を加え、炒め煮にする。
(3)水溶き片栗粉を回し入れ、混ぜながらとろみがついたら火を止める。
(4)中華麺は袋の表示どおりにゆで、ざるに上げて水気をしっかりきる。
(5)器に麺を盛り、(3)の半量をのせる。【野菜醬油麴】(上参照)を大さじ2かけて、青ねぎを散らす。もうひと皿作る。
栗原心平(くりはら・しんぺい)1978年静岡県生まれ、神奈川県育ち。幼い頃から得意だった料理の腕を生かし、「ごちそうさまを通じて家族を幸せにする」をモットーにさまざまなレシピを提案。雑誌やテレビなどを中心に活動。著書多数。
小倉ヒラク(おぐら・ひらく)1983年東京都生まれ。早稲田大学で文化人類学を学ぶ。在学中に絵の勉強のためフランスへ留学。卒業後、企業へ入社するも独立。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだのち、山梨県甲州市の山の上に「発酵ラボ」をつくり、日々菌を育てながら微生物 の世界を探求している。東京・下北沢「発酵デパートメント」を主宰。 著書多数。最新刊に『僕たちは伝統とどう生きるか』(講談社現代新書)がある。
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後編へ続く。
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