〔連載〕栗原心平のおもてなしレシピ「心平レストラン」へようこそ ドラマ出演をきっかけに、能登の方々と交流を温め、能登半島地震の復興支援など常に現地に心を寄せる俳優の常盤貴子さん。現地の食材を主役にした料理を、栗原心平さんが披露します。・
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第3回(後編)
能登半島の食材でおもてなし
ゲスト・常盤貴子さん(俳優)

「めぎすの塩いり、いしりの炊き込みご飯と新しいおいしさを発見できました」(常盤さん)
「食材を通して能登への関心が高まりました」(栗原さん)
T いよいよ、人生二度めの「めぎす」をいただきます。能登では、当初、見た目が怖くて箸を伸ばせずでした。
K 深海魚らしい姿ですものね。
T 身が膨張していたためか余計に……でも口にすると、あまりにもおいしくて驚きました!
K 「めぎすいしり鍋」を試作したところ両者が大喧嘩して断念。
T なんと。「いしり」は原材料違いで数種類ありまして。いかの内臓を長期熟成したもの、さばの骨や内臓、いわしなどを用いたもの、そしてめぎすを使った「いしり」もあるそうですよ。
K もしかすると「めぎすいしり」ならハマったかも。
——めぎすというのは石川県特有の呼び方で、他県ではにぎす(似鱚)というそうです。K ああ、神奈川の三崎港や静岡の沼津港で水揚げされますね。
T 「めぎすの塩いり」は塩加減よく身もふっくらでおいしい。
K よかった。塩煮を北陸では塩いりと呼ぶことを知りました。では、最後の一品「いしりご飯」を。いかのいしりはめぎすとは喧嘩しましたが、ほたるいかとは相性よし。常盤さんがお持ちくださった輪島塗塗師の赤木明登さんのお椀に盛りつけますね。
T 朱の椀に中島菜の緑が映えて華やか。やはりいかはいか同士(笑)。新たな“いしり活用術”を知ることができて大満足です。
「次は私が能登をご案内しますね!」(常盤さん)
おもてなしコース④
めぎすの塩いり
材料(2人分)めぎす………4尾
水………1l
昆布………20グラム
酒………大さじ2
塩………大さじ1
青ねぎ………1本
しょうが(すりおろし)………ひとかけ分
オリーブ油………適量
作り方(1)めぎすはうろこを取り、腹を開いて内臓を取り除き、水洗いして水気をふく。
(2)鍋に水と昆布を入れ、中火にかける。煮立つ直前に弱火にし、そのまま30分ほど煮て、酒、塩を加える。

(3)青ねぎは縦半分に切り、斜め3ミリ幅に切る。氷水にさらしてぬめりを取り、ザルに上げて水気をきる。
(4)めぎすを加えてゆでる。火が通ったら取り出して水気をきり、器に盛りつける。
(5)青ねぎとしょうがのすりおろしを添え、オリーブ油を回しかける。
おもてなしコース⑤
ほたるいかと中島菜のいしりご飯
材料(2人分)米 2合
にんにく(みじん切り)………1かけ分
ごま油………大さじ1
ほたるいか(ボイル)………150グラム
中島菜(菜の花でも代用可)………1株(90グラム)
オリーブ油………大さじ1/2
塩………ひとつまみ
【A】
いしり………大さじ2
酒………大さじ1
みりん………大さじ1
かつおだし………適量
作り方(1)米は洗ってざるに上げる。ほたるいかは目を取る。中島菜は1センチ長さに切る。
(2)【A】とかつおだしを合わせ、360mlに計量する。
(3)フライパンにごま油を熱し、にんにくを中火で炒める。香りが出てきたら米を加え、全体に油が回るように炒める。
(4)米の表面に透明感が出てきたら、(2)を加える。底から混ぜながら煮立たせ、沸いたら火を止める。
(5)(4)を土鍋に移して強火にかける。再び沸いたら蓋をして弱火にし13分ほど炊く。
(6)別のフライパンにオリーブ油を熱し、中島菜を中火〜中強火で焼く。全面に軽く焼き色がついたら塩を加えて火を止める。
(7)ご飯が炊き上がったら、ほたるいか、中島菜をのせ、蓋をして10分ほど蒸らす。具材が温まったら、さっくりと混ぜて器によそう。
能登とつながり10年余り——能登に寄せる思いと被災地での活動
常盤さんと能登とのかかわりは十数年。ドラマ『まれ』で、主人公の母親役を演じたことに端を発します。
「『まれ』の撮影で能登に滞在。ベースは輪島でしたが、珠洲へもよく通いました。そこで珠洲焼作家の篠原 敬さんと懇意に。地元の方々とも仲よくなり、ドラマが終わっても通う大切な地になっていました。2年前の震災の前年にも地震があり、篠原さんの窯が壊れてしまったんです。でも、全国から有志が集って再建プロジェクトができました。新しい窯ができてようやく火入れという段で、能登半島地震に見舞われてしまった」
再び再建するべく有志が協力し合い、篠原さんの窯は昨年末完成。新しい作品も誕生しました。常盤さんは積極的に復興ボランティアに取り組むだけでは飽き足らず、防災士の資格も取得。
「被災地に足を運ぶうち、タレントが何度も行って大丈夫なの? と思う方もいらっしゃるのではと。ならば私自身が防災士として知識を持ち活動すれば、皆さん安心なさるかなと思って」
能登には大好きな人たちがたくさんいると常盤さん。一日も早く笑顔が戻るようにと活動を続けています。
常盤さんの“能登での活動の一部”


写真1枚目、2枚目・珠洲焼の陶芸家、篠原 敬さんの窯の前で。「崩れたものを壊し掃除をして何もない状態にする。レンガについたモルタルをすべて剥がし、レンガを一個一個積み重ねるのは繊細でとても難しい作業でした」。

福岡市で誕生した「一人一花運動」を能登に取り入れた。「ここに暮らす皆さんの当たり前の日常が震災で失われてしまった。お花の世話をしながら、なんでもない会話をして、なんでもない時間を作り出すという活動です」。
栗原心平(くりはら・しんぺい)1978年静岡県生まれ、神奈川県育ち。幼い頃から得意だった料理の腕を生かし、「ごちそうさまを通じて家族を幸せにする」をモットーにさまざまなレシピを提案。雑誌やテレビなどを中心に活動。著書多数。
常盤貴子(ときわ・たかこ)1991年の俳優デビュー以降、数多くのドラマや映画、舞台の第一線で活躍を続ける。俳優業のほか『おとな時間研究所』(NHK Eテレ)、『京都画報』(KBS京都、BS11)などにレギュラー出演中。著書のフォトエッセイ『小さな幸せで満たす日々』(主婦と生活社)が好評発売中。
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