きじま家三代、旬のおかずレシピ(2)前編 親子三代にわたる料理家、杵島直美(きじま なおみ)さんときじまりゅうたさん。本連載では、お二人の母であり、祖母である家庭料理研究家の第一人者、故・村上昭子さんの思い出とともに、長く愛されてきたきじま家のレシピをご紹介します。第2回はきじまりゅうたさんによる、春の食材・新じゃがを使った「新じゃがと豚バラ肉の蒸し焼き煮」のレシピを2日にわたってお届けします。
※村上昭子さんについては記事末尾でご紹介
・【後編】詳しいレシピはこちら>>・連載「きじま家三代、旬のおかずレシピ」の記事一覧はこちら>>
照りとコクでおかず感アップ。
新じゃがのフレッシュなおいしさに感動!

杵島直美さん(以下直美)&きじまりゅうたさん(以下りゅうた) こんにちは!
直美 新年度がはじまったわね。この連載も2回目、昭子さんも喜んでるかしら。わが家の味があらためて紹介されて。
りゅうた そうだといいけどね。今回はボクが担当だから「そんなやり方で作るの!?」とかいってそう(笑)。
直美 生活環境が変わる時期だから、料理も生活に合わせて変えたほうがうまくいくと思うの。だからいろいろなやり方があっていいんじゃないかしら。
直美 今回のテーマは「新じゃが」ね。昭子さんはよく、大きな深鍋にたっぷり油を入れて素揚げしてたのを覚えてるわ。揚げると、りゅうたはたくさん食べたわねえ。
『家庭画報』1979年6月号に掲載された、村上昭子さんの「新じゃがと豚肉の揚げ煮」
りゅうた 揚げた新じゃがは子どもの頃から大好きだった!新じゃがって水分が多いんだけど、揚げると水分が抜けてねっとり感が出るんだよね。素揚げしてからこっくりと煮ると、コクも加わってまたおいしいよね。おかずっぽくなるし。
直美 そうそう。私も揚げてから煮るのが好き。新じゃがをゆっくり揚げてからじっくり煮ると、こってりとした味で秋冬のジャガイモとはちがう特有のねっとりとしたおいしさになると思うのよ。最近みなさん揚げるのを敬遠されるけど、やっぱり揚げるとおいしいもの。
りゅうた 揚げると油の始末がね⋯⋯。ゆっくり料理できる日ならいいけど、忙しい平日にはなかなか。今日は、揚げずにコクを出す方法で作るよ。
直美 もしかして最近よく見かける「揚げ焼き」かしら? 私はやったことないけど気になっていたのよ。
りゅうた 少ない油で揚げるように焼く「揚げ焼き」も良いんだけど、少量の油をからめて蓋をして「蒸し焼き」にすることで、もっと短時間で火が通るんだよね。
【りゅうたさんのひと工夫】
油をからめてコールドスタート&蒸し焼きでねっとり

火をつける前に多めの油をからめ、蓋をしてじっくり蒸し焼きにします。まわりはしっかり油でコーティングされ、中はねっとり。揚げたようなおいしさに仕上がります。コールドスタートなので油はねせず安心です。
直美 なるほどね、確かにねっとりしてるわ。蒸し焼きにしてるときに甘い香りが立ちこめていたから、余分な水分がうまく抜けて旨みが凝縮されてるってことね。揚げたようなこんがり具合もいいわね。
りゅうた 旬の素材はそれだけで食感や風味が際立つから、シンプルにおいしさを引き出したいよね。でも揚げるとなると大仕事(笑)、とすると手間をかけずにどうしたらいいのか⋯⋯ちょっとした工夫を伝えたいなと思って。
直美 大さじ1の油でこんな風に仕上がるなんてびっくり。昭子さんもあの世で食べたがってるわよ。でも私は揚げちゃうな(笑)。ほかにも今日は横で見ていて、「へえ~」と思うことがいろいろあったわ。例えばね⋯⋯。