きじま家三代、旬のおかずレシピ(1)前編 親子三代にわたる料理家、杵島直美(きじまなおみ)さんときじまりゅうたさん。本連載では、お二人の母であり、祖母である家庭料理研究家の第一人者、故・村上昭子さんの思い出とともに、長く愛されてきたきじま家のレシピをご紹介します。第1回は杵島直美さんによる、春の食材・たけのこを使った「たけのこと鶏肉のあっさり煮」のレシピを2日にわたってお届けします。
※村上昭子さんについては記事末尾でご紹介
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たけのこの風味を生かしたあっさり煮物を、メインの一皿に
杵島直美さん(以下直美)&きじまりゅうたさん(以下りゅうた) こんにちは!
直美 母・村上昭子の思い出の味やエピソードをお話しながら、我が家で作り続けている料理をご紹介する連載です。うれしいわね。こんなふうに昭子さんの料理を振り返ることができるのって。
りゅうた 昔ながらの料理といっても特別なものじゃないよね。旬の食材を生かした料理ばかりで、昔の人こそ、家事は手がかかるから無駄を省きたかっただろうし。明治時代の料理本にも“時短系”の料理が紹介されていたくらいだから、基本的にいつの時代も忙しいんだろうね。
直美 そうね。私もりゅうたが小さいころは手間をかけない料理だったかも。今は時間に余裕があるから、当時とは少し違うかもしれないけれど。
りゅうた 第一回、春といえばやっぱり「たけのこ」。
直美 春ですね。昭子さんはたっぷりのだし汁で煮ることが多かったわ。春ならではの食材、わかめで若竹煮にするほか、ふきやうどと煮ることもあったわね。木の芽もたっぷり天盛りにして。
りゅうた うちに山椒の木があるから、いつもたっぷり使うよね。
約30年前、村上家で食卓を囲むきじまりゅうたさん、杵島直美さん、村上昭子さん
直美 たけのこ一口に対して必ず木の芽をのせたいの。たけのこと木の芽は本当に相性がいいわね、香りがよくてたけのこの上品な風味を引き立ててくれて。最初に取り合わせた先人に感謝したいくらい。ああ春が来たわって毎年思うのよね。木の芽は手のひらにのせてパンとたたくと、ふわっと香りが立って幸せな気分になれるの。
直美 昔の『家庭画報』で昭子さんは「たけのこと豚バラ肉の味噌煮」を紹介していたらしいわよ。でも、うちではあまりなじみのない料理よね。
『家庭画報』1979年4月号に掲載された、村上昭子さんの「たけのこと豚バラ肉の味噌煮」
りゅうた きっと当時、編集部からおかずになるようなレシピを頼まれたんじゃないかな。でも肉と合わせるとボリュームが出て主菜になるし、ふだんの食卓ではそんな手法の料理がたくさんあったよね。若竹煮の感覚で肉を加えるのもいいんじゃない。
直美 そうなのよ。だから今回は鶏肉といっしょにあっさりと煮ることにしたの。生のたけのこはこの時期だけしか手に入らないから、ぜひ下ゆでから挑戦してほしいわ。ちょっと時間はかかるけど、生ならではのおいしさがあるから。
りゅうた 忙しいときはゆでたけのこでもいいよね。
直美 もちろんいいわよ。ゆでたけのこを使うなら、切り分けてから熱湯でさっとゆでるとすっきりと仕上がるわよ。そして生のたけのこにはお楽しみがあるのよ⋯⋯そのお話はまたあとでね。
直美さんの「生のたけのこで紹介したい!」を叶えるため、りゅうたさんが奔走。小さいながらも鮮度抜群のたけのこが手に入りました