〔特集〕人気シェフのアイディアレシピ 秋を楽しむ、小粋な「オープンサンド」パン × 具材。組み合わせ次第で、その楽しみは無限大の「オープンサンド」。フレンチ、イタリアン、和食、スパニッシュ。各ジャンルのシェフたちが秋の味覚と遊び心をたっぷり盛り込んだ、家庭で作れるオリジナルレシピを考案してくださいました。
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和食の技とパンのマリアージュ
今宵はオープンサンドで一献
──上野直哉さん(「玄斎」主人)
王道に新しさを取り入れた和食とお酒のペアリングで食通を魅了する「玄斎」の上野直哉さん。和のおかずと地元の人気ベーカリーのパンを組み合わせたオープンサンドは、どれもおつまみにもなる一品です。
里いも煮っころがしは濃厚なペーストにして、もっちり食感の米粉パンと。酢じめいわしは酢味噌をかけてライ麦パンと合わせ、甘辛味の牛肉はすぐき漬けとマヨネーズの酸味がプラスされました。
「コツは具に香ばしさやうまみを重ねて普段の和食よりもパンチのある味に仕上げること。お酒とともにお楽しみください」。
牛肉とすぐきの甘辛炒めとコッペパン

パンは神戸の「パン・カリテ」のはちみつやヨーグルト入りのコッペパン。優しい甘みのミード(はちみつのワイン)とペアリング。
材料(2人分)と作り方(1)牛肉の切り落とし80グラムを適当な大きさに切り、片栗粉小さじ2をまぶしておく。
(2)酒大さじ1/2、砂糖小さじ1、醬油小さじ2、みりん小さじ1弱、おろししょうが・いりごま各少々を混ぜ合わせておく。
(3)熱したフライパンに太白ごま油大さじ1を入れて火にかけ、(1)を強火で炒め、片栗粉が固まってきたら刻みすぐき漬け30グラムを加え、さらに炒める。火を弱めて(2)を加え、煮汁をからめる。
(4)パンにからしマヨネーズ少々を塗り、ちぎった春菊と(3)を盛り、ポーチドエッグをのせ、からしマヨネーズをかける。
酢じめいわしの柚子こしょう酢味噌とライ麦全粒粉パン

北欧風オープンサンドを和に見立てて。芦屋の「ベッカライビオブロート」のラントブロートを薄く切って使用。熱燗やハイボールと好相性。
材料(2人分)と作り方(1)うろこ、頭、内臓を取って水洗いした中羽いわし2尾を手開きにし、塩をたっぷりふって15分おく。さっと洗って水気をきり、酢に5分浸して拭き、ラップに包み冷蔵庫に2~3時間おく。
(2)みょうが2個を薄切りにして薄塩をして3分おき、水気を拭いて酢大さじ2、水大さじ1、砂糖小さじ2を合わせた甘酢に15分浸ける。
(3)白味噌40グラム、砂糖大さじ1、酢大さじ1、レモン汁小さじ1/2、柚子こしょう少々を混ぜ合わせる。
(4)黒パンに発酵バターをたっぷり塗り、さらし玉ねぎ、尾ひれと腹骨を外した(1)を並べ、(3)の柚子こしょう酢味噌をかけ、(2)と紅たで、ペリーラ(大葉のベビーリーフ)を添える。
里いも煮っころがしとまいたけのペーストと米粉パン

濃厚な里いもペーストに香ばしく焼いた海老をのせて。神戸の米粉パン専門店「Lル リeRiz」の食パンを使用。熟成感のある日本酒と。
材料(2人分)と作り方(1)里いも200グラムの皮を厚めにむき、塩でもんで水で洗う。鍋に里いもとだし300mlを入れて落とし蓋をし、あくを取りながら中火で約15分煮る。砂糖大さじ1を加えて5分炊き、醬油小さじ1を加えて転がすように煮詰め、バター5グラムを混ぜ合わせる。熱いうちにへらでつぶしてペースト状にする。
(2)フライパンにごま油(非焙煎)小さじ2を入れて火にかけ、刻んだまいたけ80グラムと海老6尾を炒め、火が通ったら塩少々で味をつける。海老は取り置き、まいたけは1に混ぜる。
(3)軽くトーストした米粉パンに(2)を塗り、海老を並べ、薄くスライスして水にさらしたカリフラワーと芽ねぎを各少々散らす。
(4)仕上げに粗塩と山椒オイル(なければ非焙煎のごま油と粉山椒を合わせる)を各少々かける。
上野直哉さん(うえの・なおや)浪速割烹の礎を築いた上野修三氏の次男として生まれ、「菊乃井」の村田吉弘氏に師事。独立後、神戸の生産者や料理人と繫がり、地元の食材を使った新しいスタイルの和食を追求。近著に『おいしいの「ものさし」』がある。
玄斎(げんさい) 住所:兵庫県神戸市中央区中山手通4-16-14
電話:078(221)8851
(次回へ続く。
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