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薄焼き煎餅を使った野菜のカナッペ。辛子の効いた、スパイシーな味わいです

2022.06.05

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

ブロッコリーとカリフラワーのミルフィーユ


ブロッコリーとカリフラワーのミルフィーユ

ピリッと辛みを効かせたブロッコリーとカリフラワーを、薄焼き煎餅のミルフィーユ仕立てにしました。ビールにもワインにもよく合い、オードブルとしても洒落た一品になります。

ブロッコリーのやたら漬け、辛子黄身酢かけ」でお話ししたように、ブロッコリーとカリフラワーは同じ進化・発達を経た近縁の野菜です。本来の旬は11月~3月ですが、品種改良により全国で多様な作型(さくがた)で栽培できるようになったため、一年を通して出回っています。


他の一部の野菜についても言えることですが、作型によって旬が変わると、料理する際には注意が必要になります。カリフラワーを例に挙げれば、一般的な旬の走りから盛りはポリポリした歯ごたえがあり、生食(「ブロッコリーのやたら漬け」)や歯ごたえが残るくらいの火の通し方(「ブロッコリーのわさび海苔和え」)がおいしく、名残になると水分が減ってボソボソになりやすいので、しっかりと火を通すことが重要です。

通年、産地を替えて、あるいは輸入されて店頭に並んでいる野菜は、必ずしも旬のものではありません。一般的な旬の料理法ではなく、それぞれの状態に適した料理法、加熱法を選択する必要があるのです。

ブロッコリーのやたら漬け、辛子黄身酢かけ
カリフラワーであれば、つぼみの一粒一粒の大小をよく見て、手に取って柔らかさを確認して、火の通し具合を歯ごたえが残るくらいにするか、柔らかくなるまで加熱するかを決めます。しっかり火を通す場合は旨みと風味が溶出しないようにまるごと茹でます。

旬が多様化しただけでなく、技術の進化による食材の変化もあります。今日の料理にも「ふくめん」でお教えしたおからの酢炒りを添えていますが、おからがまさにそうです。現在、豆乳搾り機の性能が向上したため、おいしい豆腐が作れるようになりましたが、半面、おからは旨みと水分量が減少し、昔に比べてパサパサになっておいしくなくなりました。

そこで登場したのが乾燥おから(おからパウダー)です。おからの水分量が少ないのなら、さらに水分を抜いて出汁や調味料を含みやすくしようと考案されました。従来のおからであれば手間がかかった酢炒りも簡単にでき、他の食材と和えたり、ふりかけることで程よい酸味を加えることができます。

いろんな分野で多様性、多様化ということが言われますが、それを選択するのは自分自身。自分のビジョン、経験、五感、心で感じ取って選択したいものです。難しく考え過ぎずに、まずは料理から始めましょうか(笑)。野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「ブロッコリーとカリフラワーのミルフィーユ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

ブロッコリーとカリフラワーは、つぼみが小さく柔らかければ走りのもの、大きめで堅ければ名残。その状態によって加熱の具合を決める。

ブロッコリーは炒めた後に日本酒を加え、蒸気で一気に火を入れると栄養素が溶け出しにくく、味も濃く感じられる。普通に茹でると、ビタミンなど水溶性の栄養素が茹で汁に溶け出して減少する。

カリフラワーは油を吸いにくいので、油で炒めて旨みを閉じ込めた後、日本酒を加えて蒸気で一気に火を入れる。ゴリゴリとした食感が消える。

・油分を加えることでブロッコリーとカリフラワーの旨みが増す。

・おからは、生や冷凍よりも、乾燥おからを使ったほうがきめ細かく、仕上がりが早い

・乾燥おからにアーモンドプードル(アーモンドパウダー)を加えると旨みが増す。







ブロッコリーとカリフラワーのミルフィーユ

「ブロッコリーとカリフラワーのミルフィーユ」


【材料(2人分)】
・ブロッコリー 60〜70g

・カリフラワー 60〜70g

・サラダ油 適量

・日本酒 大さじ3と1/2~4

・加減酢 大さじ1と1/2
出汁6:みりん1.5:濃口醤油0.5:薄口醤油1.5:酢1.5:柑橘酢0.5の割合

・練り辛子 3.5g

・塩・こしょう 各適量

・甘長唐辛子(ししとうでもよい) 適量

・おからの酢炒り 適量
作りやすい分量:乾燥おから(市販品)50g、アーモンドプードル(アーモンドパウダー)50g、甘酢20cc(作りやすい分量:昆布出汁(水1L 昆布10g)450cc、酢300cc、砂糖100g)、 酢20cc、砂糖小さじ1/4 「ふくめん」参照

・薄焼き煎餅(市販品。直径5〜5.5cmのなるべく薄いもの) 6枚

・アーモンドスライス(ローストしたもの) 適量

・みょうが甘酢漬け 1個分 「みょうがの切り方、甘酢漬け」参照

・ブロッコリースプラウト(好みで) 適量

【作り方】
1.ブロッコリーとカリフラワーは茎側から切り込みを途中まで入れ、手で裂いてから包丁で3〜3.5cm程度の小房に分ける。

2.ボウルに加減酢を入れて練り辛子を溶かす。

3.フライパンを火にかけ、サラダ油をひいてブロッコリーを入れ、強火で炒める。油がなじんだら日本酒大さじ1と1/2〜2を加え、蓋をして中火で1分30秒ほど加熱する。蓋を開けてフライパンに残っている日本酒をすべて蒸発させ、塩少々と多めのこしょうをふって火からおろす。1.5cm程度の小房に切る。

4.フライパンを火にかけ、サラダ油をひいてカリフラワーを入れ、強火で表面に焦げ目がつくくらいに炒める。日本酒大さじ2を加え、蓋をして中火で2分30秒ほど加熱する。蓋を開けてフライパンに残っている日本酒をすべて蒸発させ、火からおろし、1.5cm程度の小房に切る。2のボウルに入れて和える。

5.甘長唐辛子は種を抜いて4mm幅に切る。フライパンを火にかけ、サラダ油をひいたらさっと炒め、塩・こしょうして火からおろす。

6.ブロッコリースプラウトは2cm長さに切る。

7.薄焼き煎餅にブロッコリーとカリフラワー、甘長唐辛子をのせ、アーモンドスライスとブロッコリースプラウトを散らしたものを6つ作る。2つを積み重ねて1組として器に盛り、全体におからの酢炒りをふりかける。縦に4つに切ったみょうがの甘酢漬けを添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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