レシピ

炒めてから出汁で煮る。淡泊な冬瓜をおいしく食べる調理法を教えます

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

冬瓜のあんかけ、梅煮

冬瓜のあんかけ、梅煮

早いもので昨年の7月から始まりましたこの連載も、おかげさまで10か月半を過ぎ、小かぶ、なす(「小かぶの浅漬け、水なすの浅漬け・昆布押し」)、新生姜、みょうが(「生姜飯、みょうが飯、みょうが味噌」)、長いも(「春若いもと春菜・ラズベリーの酢のもの、みたらし、実山椒味噌かけ」)など、食材が一巡し始めました。昨夏にお教えした冬瓜(とうがん)料理(「冬瓜の揚げ煮」、「冬瓜の種の周りの葛煮」、「冬瓜のふろふき2種」)に続けて、これから出始めるはしりの冬瓜を使った料理を2品紹介しましょう。

冬瓜のあんかけ、梅煮小冬瓜。

冬瓜はインド、東南アジア原産で、日本には5世紀頃に伝来したとされます。奈良時代の『正倉院文書』や平安時代の『本草和名(ほんぞうわみょう)』などにも記載があります。円筒形の「長冬瓜」や、表面に白く粉を吹いた丸形の「大丸冬瓜」、現在主流となっている表面につやがある縦長の「沖縄冬瓜」などがあります。サイズも10kgを超える大型のものから、1〜2kgの小型(「小冬瓜」、「姫冬瓜」)と様々です。

通常、熟するにつれて表面に生えていたうぶ毛が落ち、完熟すると全体が白い粉(ブルーム)でおおわれます。6月〜9月頃までが旬です。冷暗所で保存すれば冬まで貯蔵できることからこの名がつけられました。貯蔵はできますが、食べておいしいのはこれからの季節です。

大きなものはカットして売られていますが、おいしいのはお尻のほう(枝付きの逆側)です。切り口がみずみずしくて真っ白なものを選びましょう。種の周りがスカスカしていたり、茶色っぽく変色しているものは避けます。中心のわたの部分から傷み始めるので、保存する場合は種とわたの部分を取り除きラップで包んで冷蔵庫に入れてください。

冬瓜は90%以上が水分でカリウムを多く含み、ナトリウム(塩分)を排泄する作用があり、高血圧に効果があります。

柔らかく淡泊でさっぱりした味なので、煮もの、和えもの、炒めもの、あんかけ、味噌汁の具など幅広い料理に使えます。手を替え品を替え料理できるので、器も絵替わり椀にしてみました(笑)。

絵替わりとは、同じ規格の椀や皿などに、異なる絵付けをしたものです。今回の椀は、四季の花をそれぞれ蒔絵したものの中から、今が美しい杜若(かきつばた)と、夏に咲く朝顔を使いました。季節に合わせた花の椀を用いるのはもちろん、季節に関係なく一緒に使って花寄せという趣向にすることもできます。日本文化の奥深さには本当に頭が下がります

日本料理も日本文化の一つ、頭を下げてばかりもいられません。顔を上げて日々精進、精進といえば野菜料理(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「冬瓜のあんかけ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・淡泊な味の素材なので、炒めることで油をまとわせ、おいしくする。

・「冬瓜の揚げ煮」のように揚げてもよいが、実が柔らかいはしりの冬瓜なので油で炒めるくらいがちょうどよい

・ベジタリアンでなければ、鶏皮を焼いたものを加えて炊くと旨みが増す

赤唐辛子を少量(辛さを感じさせないくらい)加えて炊くことで、味が引き締まる。

・「冬瓜の梅煮」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 食感 ◎香り ◎刺激

・梅干しの酸味と風味が、炒めた冬瓜の油分の重たさを軽くする。

梅干しを入れて炊くので、煮汁に塩は加えない


冬瓜のあんかけ、梅煮

「冬瓜のあんかけ」(左)

【材料(3〜4人分)】
・冬瓜(皮をむく) 250〜300g

・サラダ油 適量

・出汁 400cc

・塩 1〜1.5g

・薄口醤油 小さじ3弱

・みりん 小さじ1

・赤唐辛子 1/2本

・銀あん 約230cc
出汁200cc、塩0.5〜1g、薄口醤油小さじ1/4、水溶き葛(葛粉1:水2。片栗粉でもよい)30cc

・おろし生姜 適量

【作り方】
1.冬瓜の皮はピーラーを使って、堅い部分を残さずにむく。味が含みやすいように、皮側に鹿の子に包丁目を入れて、食べやすい大きさに切る。

2.フライパンを火にかけ、サラダ油をひいて冬瓜を入れ、表面や角に少し焦げめがつくくらいに炒める。

3.鍋に2の冬瓜を入れ、出汁を入れて火にかける。赤唐辛子を加え、ベジタリアンでなければ、鶏皮や余り肉(材料外)を素焼きしたものを入れると旨みが増す。

4.調味料を加えて沸いたら弱火にし、8〜10分ほど炊いて火からおろす。そのまま15分以上おいて味を含ませる。

5.銀あんを作る。冬瓜に味がしっかりついているので、通常の銀あんより薄めの味にする。鍋に出汁を入れ、火にかけて調味料を加え、沸いたら弱火にする。水溶き葛を加えてよく混ぜ、粉臭さがなくなるまで30秒ほど炊く。

6.4を温め直して椀に盛り、銀あんをかけ、おろし生姜をのせて供する。

「冬瓜の梅煮」(右)

【材料(3〜4人分)】
・冬瓜(皮をむく) 250〜300g

・サラダ油 適量

・出汁 400cc

・梅干し 1〜2個

・薄口醤油 小さじ3弱

・みりん 小さじ1

・梅肉 少々

【作り方】
1.冬瓜は「冬瓜のあんかけ」の1〜2と同じように下処理して炒める。

2.鍋に冬瓜と梅干しを入れ、出汁を入れて火にかける。調味料を加えて沸いたら弱火にし、8〜10分ほど炊いて火からおろす。そのまま15分以上おいて味を含ませる。

3.温め直して椀に盛り、煮汁を少量注いで梅肉を添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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