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ぎゅっと実の詰まったキャベツ、グリーンボール。煮ても焼いても生でもおいしい!

2022.05.04

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

グリーンボールの塩もみ、焦がし焼き


グリーンボールの塩もみ、焦がし焼き

野菜売り場のキャベツが、これまでの春キャベツ(「春キャベツの酢のもの、辛子和え」参照)から、小ぶりでころんとしたグリーンボールに替わり出しました。ちなみに今日はみどりの日ですね(笑)。

グリーンボールは4月~6月頃に出回り、名前のとおり鮮やかな緑色と丸い形が特徴です。重さは1kg程度で葉につやがあり、びっしりと内側に巻き込んで内部まで緑色をしています。肉厚で柔らかく、炒めものや煮もの、サラダなどと使い勝手がよく、漬けものにしてもおいしいです。栄養素は一般的なキャベツと同じですが、栄養価が高く、カロテンは一般的なキャベツの2倍、カリウムは1.2倍ほどあります。


今日は丸いグリーンボールのせん切りを、「丸い卵も切りようで四角」ではありませんが、四角くかたどって青じその醤油漬けで巻きます。サラダ感覚のせん切りキャベツは豚カツに添えるのが定番ですが、この組み合わせは日本発で、最近では外国の観光客にも人気です。

もともと日本では、薬味や大根おろしなどごく一部を除いて、野菜を生で食べる習慣はなく、煮たり、漬けものにするなどして食べていました。明治時代に入って洋食ブームが起こると、肉食とともにキャベツの生食が広がります。

明治28年(1895)、東京・銀座の西洋料理店「煉瓦亭(れんがてい)」で、豚カツの前身である豚肉のカツレツが作られました。「菜花のカツレツ」でお話ししたコートレットの料理法を、天ぷらのように揚げる方法に替え、店のメニューにします。

この料理に添えていた、キャベツやじゃがいもなどの温野菜を担当していた若い料理人が兵隊に取られ、人手不足をカバーするため、キャベツの一夜漬けをヒントにせん切りキャベツを添えたそうです。最初は生野菜が出てくることに客は驚いたようですが、食べてみると「口がさっぱりする」「油っぽさを消してくれる」と評判がよく、豚カツとキャベツの組み合わせは煉瓦亭の名物となりました。こうして豚カツの普及に伴ってキャベツのせん切りも全国各地へ。

キャベツには胃炎や潰瘍の回復に効果があるといわれる「ビタミンU」が含まれます。別名「キャベジン」とも呼ばれます。水に溶けやすく熱に弱いため、生食すると最も効率よく摂取することができます。

香味野菜と柴漬けの風味、いりごまの香ばしさ、盛りつけの工夫で見慣れたせん切りキャベツも豪華なごちそうになります。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「グリーンボールの塩もみ」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・立方体の型がない場合は、保存容器などに詰めて圧をかけた後、立方体になるように切るとよい。

青じその醤油漬けは3時間ほどで漬かる。漬け過ぎると色が悪くなる

・「グリーンボールの焦がし焼き」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・グリーンボールの葉は肉厚なので、オーブンで焼いても、白菜(「白菜焦がし焼き」)やカーボロネロ(「春キャベツのロールキャベツ」)のようにシャリシャリにはならない。オーブンで焼くと全体に火が通り、食感がなくなりやすいので、予熱したグリラーで、強火で短時間さっと焼く







「グリーンボールの塩もみ」


グリーンボールの塩もみ、焦がし焼き

【材料(3〜4人分)】
・グリーンボール 300g

・塩 少々

・みょうが(小口切り) 3本

・柴漬け(粗みじん切り) 80g

・いりごま(市販品をいり直す) 20g

・塩昆布(粗みじん切り) 25g

・青じその醤油漬け 6枚 「青じその醤油漬け」参照

・板わかめ 適量

【作り方】
1.グリーンボールは堅い外葉をむいて、芯から葉を外して2〜3mm幅のせん切りにする。ボウルに入れ塩を少々加えて軽く混ぜ、5分ほどおいて出てきた水分をクッキングペーパーにはさんで除く。

2.ボウルに1とみょうが、柴漬け、いりごま、塩昆布を加えてよく混ぜる。

3.2を3cm角の立方体の型に詰めて圧をかけて型から取り出し、四角くかたどったものを3つ作る。同様に4.5cm角の立方体の型でかたどったものを1つ作る。3cm角のものはそれぞれ青じその醤油漬け2枚で包む。

4.余った2を器に少量敷いて、半分に切った3cm角のものを盛る。残りの3cm角のものはそのまま盛りつける。4.5cm角のものは割った板わかめを添えて盛りつける。

「グリーンボールの焦がし焼き」


グリーンボールの塩もみ、焦がし焼き

【材料(2人分)】
・グリーンボール 200g

・オリーブ油 大さじ1弱

・塩 少々

・こしょう(お好みで) 少々

・塩麹たれ 大さじ1
作りやすい分量:塩麹(市販品。商品により塩分濃度がかなり違うので加減する)225g、 はちみつ25g、オリーブ油25g、シェリービネガー15g

・刻みゆば 適量

・揚げ油 適量

【作り方】
1.グリーンボールは堅い外葉をむいて縦半分に切り、さらに3〜4つのくし切りにする。葉がバラバラにならない程度に芯を残して余分な部分は切って除く。

2.グリーンボールにオリーブ油を回しかけ、好みの量の塩をかける。こしょうをかけてもよい。予熱したグリラーで焦げ目がつくくらいに強火で焼く。

3.揚げゆばを作る。刻みゆばを160℃の油で揚げ、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

4.塩麹たれを作る。ボウルに塩麹を入れ、はちみつ、オリーブ油、シェリービネガーを加えてよく混ぜる。

5.焼いたグリーンボールの芯の部分に隠し包丁を入れ、葉が外れやすいようにして器に盛る。塩麹たれをかけて揚げゆばをのせて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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