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みりん粕とアイスクリームで作るデザート。みりん漬けレーズンがいい味出しています

2022.04.29

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酒粕アイスクリーム、味噌豆を添えて


酒粕アイスクリーム、味噌豆を添えて

今日は昭和の日ということで、酒粕を加えたどこか懐かしい味わいの和のアイスクリームを紹介します。みりん粕を使えばさらにおいしくなります。昔ながらの伝統製法でみりんをつくる蔵元は少なくなりましたが、ネット販売されているみりん粕もあるので是非探してみてください。

もろみを圧搾してみりんの原液を搾った後に残る副産物が、みりん粕です。板状になった酒粕とは違ってほろほろした状態で、満開になった梅の花が咲きこぼれる様子に似ていることから、「こぼれ梅」とも呼ばれます。


昔はそのままお茶請けにもしたようです。もち米由来の自然な甘みが口の中にじんわり広がります。若い頃、高齢の大先輩の料理人に習ったのですが、「干しいもの黄身揚げ」のように、みりん粕に黄身をたっぷり使った衣をつけて揚げる料理もあります。

みりんの起源には諸説ありますが、戦国時代に中国から「蜜淋(みいりん)」という甘い酒が伝わったのが始まりという説があります。「淋」は「水がしたたる」という意味で、「蜜淋」とは「蜜がしたたるような甘い酒」という意味です。日本では室町時代以降造られるようになりました。

現在は和食の調味料として欠かせないみりんですが、室町時代は高級な甘い酒として珍重されていました。今も正月のお屠蘇(とそ)にみりんを用いる地域があります。江戸時代には、みりんを焼酎割りしたものを、関西では「柳陰(やなぎかげ)」、関東では「本直し(ほんなおし)」と呼んで、暑気払いとして広く飲まれていたとか。

みりんが今のように調味料として使われるようになったのは江戸時代後期からです。現在は、昔ながらの製法とはまったく違う製法で造られたみりん風調味料が存在し、それらを区別するために昔ながらのものは本みりんと呼ばれます。

本みりんがもち米・米麹・アルコールを長時間かけて糖化、熟成して造られるのに対し、みりん風調味料はブドウ糖や水飴などの糖類・米・米麹・旨み調味料・香料などを調合し、短期間で造ります。本みりんはアルコールが14%前後含まれ酒税がかかり、酒類販売免許のある店でしか販売できませんが、みりん風調味料はアルコールが1%未満で酒類として扱われないため値段が安いのです。

最近では、時間をかけて熟成させた熟成みりんも多く出回っています。もち米由来の糖分とアミノ酸が結合するメイラード反応(「筑前煮」参照)で焦茶色になり、黒蜜を思わせるような甘みとまろやかな旨みで、アルコール臭も消えてまったりとした味わいになります。

今回のアイスクリームには、熟成みりんに漬けたレーズンを加え、西京味噌を使った味噌豆を添えます。みりん粕が手に入らなければ酒粕でも大丈夫と口では言いながらも、内心では“みりん”に“未練”たらたら(笑)。ぜひみりん粕と熟成みりんを使ってお試しください。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「酒粕アイスクリーム、味噌豆を添えて」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘味み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・酒粕アイスクリームにはみりん粕か、旨みを多く含む純米酒の酒粕を用いる

・レーズンは熟成みりんに漬ける。

・酒粕アイスクリームに合わせる味噌豆には西京味噌を加える。西京味噌は同じく米と麹を主原料とするみりん粕や酒粕とよく合う







「酒粕アイスクリーム、味噌豆を添えて」


酒粕アイスクリーム、味噌豆を添えて

【材料(2〜3人分)】
・バニラアイスクリーム(市販品) 100g

・みりん粕(なければ酒粕) 30g

・レーズン 20g

・熟成みりん(本みりんでもよい) 適量

・味噌豆 適量
作りやすい分量:カシューナッツ20g、むきくるみ20g、松の実20g、無塩バター5g、西京味噌10g、グラニュー糖25g、はちみつ7g、水10g

【作り方】
1.カシューナッツ、むきくるみ、松の実が生の場合は、オーブンペーパーを敷いた天板に広げて160℃のオーブンで15分ほど焼く。ローストしてあるものはそのまま使う。

2.西京味噌、グラニュー糖、はちみつ、水をボウルに入れてよく混ぜる。

3.味噌豆を作る。フライパンを火にかけ無塩バターを溶かして1のカシューナッツ、むきくるみ、松の実を加えてバターをからめる。2を加えて水分を飛ばしながら煮つめる感じで全体にからめる。

4.「ひと目でわかるプロセス&テクニック」の写真のような状態になったら、オーブンペーパーを敷いたバットに広げて冷ます。

5.酒粕アイスクリームを作る。市販のアイスクリームは少し柔らかくしておく。

6.みりん粕は本みりんを少量ふりかけ20分ほどおいて柔らかくしてボウルに入れ、ゴムべらで滑らかなペースト状にする。板状の堅い酒粕を使う場合は、日本酒(材料外)を少量ふりかけ1時間ほどおくと柔らかくなる。ボウルに入れてゴムヘラで滑らかなペースト状にする。

7.レーズンは熟成みりんをまぶして一晩おく。レーズンをクッキングペーパーで包んで汁気を除く。6に5とレーズンを加えて混ぜ、保存容器に移して冷凍庫に入れる。

8.アイスクリームが程よい堅さになったら、スプーン2本を使って成形して器に盛る。味噌豆を添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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