レシピ

あく抜きは意外と簡単です! 懇切丁寧に写真で解説する、わらび料理の作り方

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

わらびの煮もの、たたきわらび、焼きわらび

わらびの煮もの、たたきわらび、焼きわらび

3月も中旬になるとわらびが出回ります。わらび特有の食感とぬめり、そして風味が春を感じさせてくれます。わらびは全国に自生するシダ植物の一種で、若芽を食用にします。根にはでんぷんが多く含まれ、わらび餅のもととなる本わらび粉の原料となります。昔は手に入りやすかったのですが、今では稀少になり高額で取り引きされます。

九州では3月中旬から採れ始め、本州では4月中旬〜5月の大型連休頃、東北以北では6月初旬に旬を迎えます。世界各地に自生し、塩蔵わらびや乾燥わらびなどの中には国産だけでなく海外から輸入されたものもあります。

わらびには色がいくつかあり、「青わらび」(緑系)と「紫わらび」(紫系、茶系)の2系統に大別されます。色の違いは品種の違いではなく、土質や日射量などが関係しているといわれていますが、まだ明らかにはなっていないようです。

わらびの煮もの、たたきわらび、焼きわらび紫わらび。

わらびを食べるにはあく抜きが必要です。灰や重曹、木炭、小麦粉と塩を使う方法などありますが、スーパーマーケットなどで売られているものを見ると、親切に灰が添えられている場合が多いですね。今日は灰を使ってあく抜きする方法をお教えします。重曹(炭酸水素ナトリウム アルカリ性)の場合もやり方は同じです。

灰は炭酸カリウムを含むアルカリ性で、いくつかある利用方法の一つにあく抜きがあります。アルカリの作用で食材の繊維が膨張し、あくが流れ出やすくなるのです。逆に灰が多すぎると繊維がくずれやすくなるので注意が必要です。

あく抜きというと手間がかかって悪(“あく”)戦苦闘という印象ですが、灰をまぶしてお湯をかけ、しばらくほうっておけばいいだけ、簡単ですね。そんなに簡単ならあなたのあくも抜けって? 灰でもかぶろうかな。ちなみに“灰かぶり”は童話『シンデレラ』の和名です。今日はガラスの靴に少し形が似た九谷焼の舟形を使ってみました(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「わらびの煮もの」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

わらびの穂先部分は煮くずれしやすい。調味料を加えて沸いた煮汁にわらびを加えてさっと炊き、火からおろして長めに味を含ませる

・「たたきわらび」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・あく抜きしたわらびは、料理によって部位を使い分ける。たたきわらびには少し歯ごたえがある茎の部分を。柔らかい穂先は汁ものや、わらびの姿を楽しむ料理に。和えものや酢のもの、煮ものには両方を用いる。

・揚げ昆布を添えることで油分と旨みを追加する。

・「焼きわらび」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・たたきわらびだけでは柔らかいので、薄力粉を加えてまとまりやすくすると、きれいに焼ける。本わらび粉を用いればさらによい。

・焼くことで太白油の油分と香ばしさが加わり、おいしさが増す。

・かぼちゃの種が旨みと食感を加え、干し梅がアクセントになる。


わらびの煮もの、たたきわらび、焼きわらび

「わらびのあく抜き」

【材料(作りやすい分量)】
・わらび 250g

・塩 適量

・灰(木灰、わら灰) 15〜20g
※重曹の場合は小さじ1弱

・湯 約1L

【作り方】
1.わらびは水洗いして土やごみを落とす。根元の切り口を少し切り落として、あくが抜けやすいようにする。

2.自生しているものを採って来た場合は下準備が異なる。わらびを1本ずつまな板の上に置いて穂先のほうを持ち、もう一方の手で包丁を持って根元から穂先に向けて茎にとんとんと軽く刃を当てていく。すっと刃が入ったところで切り落として、そこから上だけを使用する。下の部分は堅くて食用には向かない。切り落とす位置はそれぞれに違うので1本ずつ、この作業を行う。

3.わらびをバットかボウルに入れ、薄く塩をまぶして5分ほどおく。わらびから水分が出てきたら、灰を全体にまんべんなくまぶす。切り口にもそれぞれ灰を少量つけ5分ほどおく。保温性の高い蓋付きの鍋や容器に入れる。

4.湯を沸かし、わらびがひたひたにつかる程度まで3の容器に注ぐ。わらびが浮かないようにラップをぴったり貼りつけ(皿を落とし蓋にしてもよい)、さらに蓋をする。6〜8時間そのままおく。

5.わらびが柔らかくなり、きれいに発色したらあくの出た水を捨てる。わらびをやさしく水ですすいで、きれいな水にさらす。水が透明になるまで何回か水を替えてあくを抜く。保存する場合は水につけたまま冷蔵庫に入れ、早めに使い切る。

「わらびの煮もの」

【材料(2〜3人分)】
・わらび(あく抜きした穂先と茎部分) 120g

・油揚げ 40g

・出汁 300cc

・日本酒 大さじ1と1/2

・みりん 小さじ1と1/2

・塩 0.5g

・薄口醤油 小さじ2と1/2

・濃口醤油 小さじ1/2

・おろし生姜 適量

【作り方】
1.わらびは4cm長さに切る。油揚げは5mm×3cmに切る。

2.鍋に出汁を注いで火にかける。調味料を加えて沸いたら、わらびと油揚げを加える。再度、沸いたら弱火にして、煮くずれないように3分ほど炊いて、火からおろす。30分以上味を含ませる。

3.温め直して器に盛り、おろし生姜を添える。

「たたきわらび」

【材料(2〜3人分)】
・わらび(あく抜きした茎の部分) 100g
たたきわらび用75g 漬け出汁に漬ける用25g

・ふき 30g

・たけのこ(炊いたもの) 30g
たけのこの煮もの」参照

・漬け出汁 約300cc
出汁270cc、塩0.5g弱、薄口醤油20cc、日本酒8cc

・みょうが(粗みじん切りにする) 15g

・信州味噌 小さじ2強

・刻み昆布(白板昆布を刻んで使ってもよい) 適量

・揚げ油 適量

【作り方】
1.たたきわらびを作る。わらび75gは小口切りにした後、粘りが出るまで包丁でたたくように粗みじん切りにする。

2.味噌を加えてさらにたたいたら、みょうがを加えて混ぜる。

3.ふきは塩(材料外)もみして3~4分茹で、冷水に放し水をきる。上下から筋を取り、4cm長さに切る。筋の取り方は「干し柿なますの煮こごり」を参照。残りのわらび25gは4cm長さに切る。ふきとわらびを漬け出汁に30分以上漬ける。

4.たけのこは1cm角×4cm長さに切る。

5.揚げ昆布を作る。刻み昆布を160℃の油で揚げて、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

6.汁気をきったふき、わらび、たけのこを揃えて束ね、器に盛る。上からたたきわらびをかけて、揚げ昆布を添えて供する。

「焼きわらび」

【材料(2〜3人分)】
・わらび(あく抜きした茎の部分) 200g

・かぼちゃの種(ローストしたもの。市販品でよい) 10g

・薄力粉 大さじ1と2/3

・太白油 少々

・濃口醤油 少々

・干し梅(なければ梅肉でもよい) 適量

【作り方】
1.わらびのたたき方は「たたきわらび」の1と同じ。

2.たたきわらびをボウルに入れて薄力粉を加え、よく混ぜる。さらに、かぼちゃの種を加えて均一に混ぜる。

3.フライパンを火にかけて太白油をひく。2のわらびを6等分して小判型にしたものを入れて焼く。両面に焦げ目がきれいについたら、濃口醤油少々をフライパンのまわりに垂らして焼きわらびにからめる。フライパンから取り出して器に盛り、干し梅を散らして供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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