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春を告げる白と緑のアスパラガス。おいしく茹で上げるコツをマスターしましょう

2022.03.03

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

アスパラガスの塩麹和え、フライ


アスパラガスの塩麹和え、フライ

今日はひな祭りにちなんで、永楽の黄交趾(きこうち)菱皿に、春を代表する野菜の一つアスパラガスの料理を盛りました。料亭では今頃、ひな祭りの趣向でお雛さまやぼんぼり、引千切(ひちぎり。餅を引きちぎったような形からそう呼ばれる伝統的なひな祭りの菓子)に倣った器が使われ、白酒や白酒を使った料理が出されていると思います。

私も料亭時代にそういう趣向をしていましたが、心の奥には少し違和感がありました。ご婦人方のお席であれば大変喜んでいただけるので、それでいいのです。ただ、接待のおじさんたちの席にそのような趣向は……。だっておじさんたちが桃の花びらを浮かべた白酒を飲んでいるのですよ(笑)。一歩間違うと趣向の押しつけにもなりかねません。


今はこれ見よがしの趣向は入れません。シャープでエッジがきいた菱皿はひな祭り前の数日しか使えないのがもったいないくらい大好きな器ですが、ひな祭りの趣向と気づいてもらえなくてもよいくらいにさりげなく用います。そこに盛る料理も白酒を無理に使うというような発想ではなく、おいしさを最重視します。同じ麹でも塩麹に酸味を加えたもので2種のアスパラガスを軽やかに和えました。

グリーンアスパラガスは春先から秋まで収穫できます。冬でも少量が出荷され、輸入ものも合わせると一年中店頭に並んでいますが、最もおいしいのは露地ものが出る春から初夏にかけてです。

アスパラガスの塩麹和え、フライ

ホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスと同じ品種ですが、土寄せ(土を高く盛って日を遮る方法)をしたり、暗所で日光に当てずに栽培するため葉緑素が作られず、白く柔らかくなります。

アスパラガスの塩麹和え、フライ

今は女の子のお祭りとして定着したひな祭りですが、本来は中国から日本へ宮中行事として取り入れられた、老若男女問わず春を喜び無病息災を願う日でした。おじさんたちにひな祭りは?的なことを述べましたが、「母は“ひな祭り”、父は“暇な釣り”」(笑)と家族がバラバラにならないように、今日はお父さんも一緒にひな祭りの野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「アスパラガスの塩麹和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスは茹で方が違う。ホワイトアスパラガスはむいた皮の風味と甘みを移した湯で柔らかく茹でる。グリーンアスパラガスはたっぷりの湯で色よく歯ごたえが残るように茹でる。

・ホワイトアスパラガスを買い求めたら、鮮度がよいうちに茹でる。茹でたホワイトアスパラガスを保存する場合は、風味が抜けないように茹で汁につけたまま冷蔵庫に入れる。

塩麹たれは日持ちするので、まとめて作って冷蔵庫で保存するとよい。他の和えものやサラダにも使える。

・「アスパラガスのフライ」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

フライにする際は皮を上のほうまでむかなくてもよい。表面に爪を立ててみて皮の柔らかさを確認し、堅い皮のみをむく。

揚げてすぐに塩をふらないと塩が定着しない。







アスパラガスの塩麹和え、フライ

「アスパラガスの塩麹和え」(上)


【材料(3人分)】
・グリーンアスパラガス 2本

・ホワイトアスパラガス 2本

・塩 少々

・塩麹たれ 35〜40g
作りやすい分量:塩麹(市販品 製造元により塩分濃度がかなり違うので加減する)225g、はちみつ25g、オリーブ油25g、シェリービネガー15g

【作り方】
1.ホワイトアスパラガスを茹でる。ホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスと比べて皮が堅めなので、皮を厚めにむく。折れやすいのでまな板の上に置いて、真ん中より少し上あたりから根元まで(皮の堅さによる)ピーラーで皮をむく。皮の下にある堅い部分も除くようにむく。むいた皮は取っておく。

2.ホワイトアスパラガスを横にして入るくらいの鍋に、アスパラガスがつかるくらいの水とその1%の量の塩を加える。むいた皮も入れて火にかけ、沸いたら弱火にして3〜4分炊いてアスパラガスの風味と甘みを茹で湯に移す。途中であくをすくい取る。ホワイトアスパラガスを入れて落し蓋代わりに皮をかぶせて茹でる。アクをすくいつつ、アスパラガスの太さに合わせて3〜5分茹で、柔らかくなったら鍋ごと冷水につけて粗熱を取る。アスパラガスをいったん取り出し、皮をのぞき1回こした茹で汁に再度つけておく。

3.グリーンアスパラガスを茹でる。グリーンアスパラガスはまな板の上に置いて、真ん中から根元まで(皮の堅さによる)ピーラーで皮をむく。皮が堅いものは厚めに、新鮮で柔らかいものはできるだけ薄く皮をむく。

4.グリーンアスパラガスを横にして入るくらいの鍋にたっぷりの湯を沸かす。穂先を持って根元のほうを湯につけ、20~30秒ほどしたら倒すようにして全体を入れ、太さに合わせて2~3分茹でる。柔らかくなったら冷水に放し、冷めたら水気をきる。すぐに使うのであれば水に放さずざるに上げる。

5.塩麹たれを作る。ボウルに塩麹を入れ、はちみつ、オリーブ油、シェリービネガーを加えてよく混ぜる。

6.ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスの根元の堅い部分を3〜4cm切り落とす。それぞれ4cm長さに切って別のボウルに入れ、塩麹たれで和えて器に盛る。

「アスパラガスのフライ」(右)


【材料(3人分)】
・グリーンアスパラガス 3本

・フライの衣 適量
作りやすい分量:強力粉(ふるったもの)70g、水100cc、おろし生姜3g、牛乳20cc、卵1個(卵黄と卵白を分ける)、塩少々

・パン粉(細かいタイプ) 適量

・揚げ油 適量

・塩 少々

【作り方】
1.グリーンアスパラガスは「アスパラガスの塩麹和え」と同じように皮をむき、根元の堅い部分を3〜4cm切り落とす。

2.フライの衣を作る。ボウルに卵白と塩以外の材料を入れてよく混ぜる。別のボウルで卵白に塩少々を加えて八分立てにし、両方をさっくり混ぜ合わせる。

3.アスパラガスにフライの衣をつけて、さらにパン粉をつける。

4.フライパンに揚げ油を入れ180℃に熱し、アスパラガスを入れる。太さに合わせて40〜50秒揚げて、きつね色になったら油から上げる。4cmに切り、塩少々をかけて器に盛る。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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