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茹でる、蒸す、焼く。それぞれの味わいを楽しむ、簡単でおいしいそら豆料理

2022.03.01

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

そら豆3種 茹でそら豆、塩蒸し、油焼き


そら豆3種 茹でそら豆、塩蒸し、油焼き

3月最初の料理は春らしくそら豆(空豆)を使います。そら豆の名の由来はさやが空に向かってつくからという説がよく知られていますね。「蚕豆」とも書き、さやが繭(まゆ)の形に似ているから、蚕(かいこ)が繭を作る時期においしくなるからなどともいわれます。

世界中で食され、未熟なうちに収穫する青果用と、完熟・乾燥させて用いる種実用とがあります。種実用は煮豆や甘納豆、いかり豆などに用いられ、香川県の郷土料理「醤油豆」や豆板醤の原料もそうです。


今回のそら豆は「一寸そら豆」と呼ばれる青果用で、市場に出回っているそら豆のほとんどがこの品種です。年末頃から鹿児島県産のハウスものが出始め、露地ものは秋に種を蒔いて5月頃収穫されます。

そら豆3種 茹でそら豆、塩蒸し、油焼き

今日紹介する料理や、翡翠(ひすい)のように鮮やかな緑色に炊く「そら豆の翡翠煮(3/12に紹介予定)」などには早い時期に収穫した糖分や水分が多い若い豆を用います。

一方、熟して糖分がでんぷんになった後に収穫したものは、調理するとじゃがいものようにほくほくした食感になります。ただ、若い豆に比べると薄皮の中の実の色が黄色くなり、加熱すると実(子葉)が2つに離れて商品価値が落ちるので、プロの料理人は嫌います。用途によって若い豆と熟した豆を使い分けます。

見分け方はさやが鮮緑でくびれが少ないものは若い豆で、さやが茶色っぽくくすんで実の形にくびれができているものは熟した豆です。さやの中の実の薄皮には背筋にへこんだ黒い線があり、お歯黒(おはぐろ)と呼びます。若い頃は色が薄めですが、熟してくると黒くなります。

そら豆の味は好きだけど、茹でたときのにおいが苦手という人もいますね。においの原因についてはまだはっきりとはしていないようですが、その成分のほとんどが薄皮に含まれるといわれます。

私は科学者ではなく実践者です。私の実践では薄皮だけを茹でても、さやだけを茹でてもあのにおいは発生しません。薄皮をつけたままの実を茹でたときに初めて発生するのです。薄皮ににおいの成分があるとしても、それが実の何らかと化合してにおいが発生するような気がします。今日はにおいが気にならない調理法もお教えします。

梅雨時の生乾きの洗濯物のにおい、オヤジの“加齢”臭などと例えられる茹でたそら豆のにおい、オヤジが“華麗”に消してみせます(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「茹でそら豆」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・そら豆はさやから出すと劣化が早いので、なるべくさや付きのものを買い求める。

・そら豆を茹でたときのにおいを風味だと感じられる人は皮付きで茹でる

薄皮に包丁で切り込みを少し入れて塩茹ですると、塩味が入りやすく、後で皮がむきやすい。

・茹で上がったら水に放さずざるに上げて、そのまま冷ます

若い豆は1分30秒〜2分、熟した豆は3分弱茹でる。一緒に買った豆でも、さやによって熟れ具合が違う場合がある。お歯黒部分が黒いもの、粒が大きいものは先に熱湯に入れ、お歯黒が緑のものや粒が小さいものはしばらくたってから入れて、茹で上がりの堅さを同じにする。

・「そら豆の塩蒸し」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・そら豆を茹でたときのにおいが苦手な場合は、薄皮をむき蒸して塩をふる。水にじかに接していないので豆自体の風味も残る。

・「そら豆の油焼き」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・油焼きすることで香ばしさと油分が加わりよりおいしくなる。

・仕上げにこしょうや粉山椒をふると刺激がアクセントになる。







そら豆3種 茹でそら豆、塩蒸し、油焼き

「茹でそら豆」(上)


【材料(2人分)】
・そら豆 10粒

・塩 少々

【作り方】
1.そら豆はさやから出して、中の子葉を傷つけないよう薄皮だけに浅く切り込みを入れる。

2.鍋にたっぷりの湯を沸かし、湯量の1.5〜2%の塩を加えてそら豆を入れる。若い豆や粒が小さいものは1分30秒~2分、熟した豆や粒が大きいものは3分弱茹でる。

3.茹で上がったらざるに上げ、茹でたてを供する。茹で置きする場合はざるに上げた後、うちわや扇風機で風を送って冷ますときれいな色が保てる。

「そら豆の塩蒸し」(左)


【材料(2人分)】
・そら豆 10粒

・塩 少々

【作り方】
1.さやから出したそら豆の薄皮をむく。三角に飛び出た幼根(ようこん)部分に皮が残りやすいので注意する。「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。

2.そら豆を耐熱皿に並べ、蒸気が上がった蒸し器に入れる。粒の大きさにもよるが強火で2〜2分30秒ほど蒸す。火が通りふっくらとなったら蒸し器から出す。薄く塩をふって熱いうちに供する。

「そら豆の油焼き」(右)


【材料(2人分)】
・そら豆 10粒
・サラダ油 少量
・塩 少々

【作り方】
1.そら豆の薄皮のむき方は「そら豆の塩蒸し」と同じ。

2.フライパンを極弱火にかけて薄くサラダ油をひく。そら豆を入れて片面につき1〜2分ずつ、所々に焦げ目がつくくらいに両面を焼く。火が通ったら塩を薄くふってあつあつを供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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