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様々に調理した冬野菜を味噌でまとめた一皿。冷蔵庫にある食材も活用してみては?

2022.02.19

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

冬野菜の味噌添え


冬野菜の味噌添え

今日は種々の冬野菜をそれぞれ調理した上で、おいしい味噌を添えて一緒に召し上がっていただく料理です。日本料理には、フレンチのように多くの食材で一皿を構成する料理があまりありません。「炊き合わせ」と呼ぶ、複数の食材(主となる野菜2種ほど、魚介や肉類1種、青み〈絹さや、ふきなど全体の色バランスをよくする緑色の野菜〉1種、計4~5種)をそれぞれ別に炊いて、柚子や木の芽といった香りのものを添えて一皿に盛った料理はあります。しかし、盛り合わせたという感が否めず、一緒に食べてこそおいしくなるというわけでは必ずしもありません。

一緒に食べておいしいものとして、日本料理には「出会いもの」があります。同じ季節に出回る旬の食材で相性が良いものを組み合わせて、互いの味や香りがより引き立つもののことを言います。たけのことわかめの若竹煮、うなぎときゅうりのうざく、なすとにしん、鱧と松茸の土瓶蒸し、鯛かぶら、ぶり大根などがあります。


2つの素材の組み合わせはわりとありますが、数種類の食材を一緒に組み合わせて一体化するとなると、筑前煮や五目煮、他には鍋料理、おでんというところでしょうか。これらに共通することは複数の素材をつなぐものがあること。つまり、別々ではなく同じ煮汁で炊いているということです。フレンチで言えばソースがその役割を果たします。

野菜おでん」を紹介しましたが、おでんはもともとは煮込み料理ではなく、味噌田楽がルーツだといわれています。その後、江戸で醤油味の出汁で煮るおでんが広まり一般的になりましたが、愛知県や青森県などでは味噌をつけて食べる味噌おでんがあります。

種々の野菜を味噌で炊く料理は各地方に見られますが、味に変化がなく途中で飽きてしまいます。そこで味噌おでんをヒントに今回の料理を考えました。六雁の看板料理である野菜のおひたし(「夏野菜のおひたし」、「冬野菜のおひたし」)と一緒で、たくさんの野菜を五味(甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、辛い)五法(焼く、煮る、揚げる、蒸す、生)を駆使した調理法で一皿に凝縮し、味噌を架け橋として複雑でおいしい野菜のハーモニーを創り出します。下に書いた材料どおりでなくてもよく、家にあるものでいろいろ工夫をしてもおいしく食べられるはずです。

一子相伝ならぬ、誰からも伝えられていない創作料理「“未相伝(みそうでん)”の味噌おでん」です。とんだ手前味噌、失礼いたしました(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「冬野菜の味噌添え」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・調味した味噌は出汁で少しゆるめにのばし、焦げないように電子レンジで温める

・柚子の香りや辛子、粉山椒の刺激を好みで加える。







「冬野菜の味噌添え」


冬野菜の味噌添え

【材料 適量】
調味味噌(4~5人分)
作りやすい分量:玉味噌(白)(「生姜味噌」参照)250g、白ごまペースト(市販品)大さじ1、薄口醤油小さじ1、きび砂糖大さじ1/2、出汁好みの量

※具材の冬野菜は下記の材料を参考に好みで

・海老いも(「海老いもの直煮」、「小いもの含め煮」参照」) 適量

・下仁田ねぎ(「ねぎのふろふき」の下仁田ねぎの蒸し焼き参照) 適量

・東坡豆腐(「東坡豆腐」参照) 適量

・赤こんにゃく(「こんにゃくのピリ辛煮」参照) 適量

・巻きゆば(「ゆばとカリフラワーの煮もの」参照) 適量

・ふきのとう天ぷら(「ふきのとう天ぷら」参照) 適量

・しいたけ、まいたけ(「秋野菜の朴葉焼き」の焼ききのこ参照) 適量

※ぜひ加えたい具材、アクセントになる野菜

・車麩 4枚
車麩の煮汁:出汁500cc、日本酒大さじ1、塩1g、みりん小さじ1/2、薄口醤油小さじ1と1/2

・フルーツトマト 適量

・りんご(紅玉) 適量

・九条ねぎ 適量

・白ねぎ(揚げねぎ用) 適量

・揚げ油 適量

・練り辛子、粉山椒(好みで)

【作り方】
1.各種冬野菜は、それぞれに調理したものを適宜切る。

2.車麩は水に30分ほどつけて柔らかくなるまでもどす。もどった車麩を両手のひらではさんでしっかりと水をきり4等分にする。鍋に出汁と調味料を加えて火にかけ、車麩を入れる。沸いたら弱火にして5分ほど炊いたら火からおろす。

3.フルーツトマトは、皮を湯むきしてヘタを除いて縦に4~6等分する。

4.りんごは、皮付きのまま5mm厚さのいちょう切りにする。熱したフライパンにサラダ油(材料外)をひき、強火で軽く焦げ目がつくくらいに炒める。

5.九条ねぎは3mm幅×3cm長さの斜め切りにし、水に放してしゃきっとしたらざるに上げて水気を切る。

6.揚げねぎを作る。白ねぎを5cm長さに切る。縦に半分の深さまで包丁を入れ、白い外側部分をはがす。真ん中の黄色い部分は取り除く。白い外側部分を重ねて繊維に沿ってせん切りにして水に放し、揚げる際に焦げないようにねぎから出た汁気をさっと洗い、クッキングペーパーにはさんで水分を除く。160℃の揚げ油で薄いきつね色に揚げ、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

7.調味味噌を作る。出汁以外の材料をボウルに入れよく混ぜる。出汁を好みの量加えてゆるめにのばす。耐熱容器に入れて電子レンジで加熱し温める。

8.調味味噌を敷いた器に各種冬野菜と車麩、フルーツトマト、りんごを盛り、九条ねぎと揚げねぎをのせる。好みで柚子、辛子、粉山椒を添えてもよい。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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