レシピ

ほうじ茶で炊いた大豆飯。江戸時代から愛されてきた炊き込みご飯の代表格です

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

大豆飯と紅玉の赤出汁

大豆飯と紅玉の赤出汁

今日はとっておきの大豆飯を紹介します。一般的に大豆飯は、大豆を水煮したものを米に加えて炊きます。それもおいしいのですが、いりたての豆を使って香ばしさを前面に出し、ほうじ茶を加えた出汁で炊いた大豆飯は、おかずがいらないくらいのおいしさです。

ほうじ茶を加える? 気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんね。奈良茶飯(ならちゃめし)を応用した大豆飯です。奈良茶飯は奈良県の郷土料理で、米に大豆などの穀物や季節の野菜を加え、味をつけたほうじ茶で炊いた色飯の一種です。

元々は奈良の東大寺や興福寺の僧坊に始まり、後に江戸に持ち込まれて浅草付近に奈良茶飯の店が多くできました。茶飯に汁と菜をつけて供し、江戸中から人が集まるほどの人気となり、井原西鶴の『西鶴置土産(さいかくおきみやげ)』(1693年)にも登場し、日本のグルメ文化の走りとなりました。

茶飯はおでん(「野菜おでん」)と相性がよいということで、おでん茶飯といわれますが、今日は大豆飯にりんごの赤出汁を合わせます。意外かもしれませんが、先入観を持たずに味わってみてください。りんごの程よい酸味と風味が赤味噌と相まって、大変おいしいものです。

大豆飯と紅玉の赤出汁

節分で残った大豆があればいり直して大豆飯に使ってもよいでしょう。子供が小さな頃は節分に鬼の面をかぶって鬼の役をやらされました。豆(まめ)には「魔目(まめ)=魔の目に豆をぶつけて魔を滅する」の語呂合わせの意味もあります。“まめまめ”しく働くお父さんになんて恐ろしいことを(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「大豆飯」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・大豆は熱した鉄製のフライパンなどでごま粒くらいの焦げ目がつくようにいり、そこに沸かした湯を加えてもどす。加える湯は大豆がやっと浸る程度でよく、加え過ぎると大豆の香りが逃げてしまうので注意。湯につけ過ぎても香りが抜ける。

・大豆は少量だといりにくい。上手にいるには少なくとも、米2.5合に対して大豆0.5合は必要。多めに作って、残ったら焼きおにぎりにしてもおいしい。

・「紅玉の赤出汁」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

味噌汁のコツは「沸かさない」「煮えばなを手早く供する」「温め直さない」。「ゆり根白味噌仕立て」も参照。

・水菜の食感とりんごの風味を生かすため、具材に火を通し過ぎない

・味噌は好みのものでもよいが、少し渋みのある豆味噌(大豆と塩のみで作られた長期熟成味噌)を使うとりんごの酸味と風味によく調和する。


大豆飯と紅玉の赤出汁

「大豆飯」(左)

【材料(3人分)】
・米 2.5合

・大豆 0.5合

・出汁(かつお節と昆布の出汁) 2合

・ほうじ茶(通常の濃さで淹れる) 0.5合

・日本酒 小さじ1

・薄口醤油 0.7cc

・塩 4g

【作り方】
1.鉄製のフライパンを火にかけて熱し、大豆を入れてごま粒くらいの焦げ目が付くようにいる。湯を沸かしておき、焦げ目がついたらフライパンに大豆がやっと浸るくらいの量の湯を加える。保存容器などに移して、そのまま2時間おく。「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。テフロン加工のフライパンの場合はから焼きしないほうがよい。

2.米は炊く30分以上前にとぎ、ざるに上げておく。

3.大豆飯を炊く出汁を作る。出汁をボウルに入れ、ほうじ茶とすべての調味料を加えてよく混ぜる。

4.炊飯器に米を入れ、水気をきった大豆を加える。出汁を加えてスイッチを入れる。

5.飯が炊けたら全体をふんわりと混ぜて椀に盛る。

「紅玉の赤出汁」(右)

【材料(2人分)】
・りんご(紅玉) 30g

・水菜 20g

・油揚げ 1/8枚

・出汁 400cc

・八丁味噌(好みの味噌でもよい) 適量

・松の実(粗めに刻む) 適量

・練り辛子 少量

【作り方】
1.りんごは洗って皮付きのまま3mm角×2.5cm長さに切る。水菜は洗って3cm長さに切る。油揚げは2枚に開いてオーブントースターで香ばしく焼き、3cm長さでなるべく細く切る。りんごと水菜、油揚げをボウルに入れて混ぜたら、椀に盛りつけておく。

2.鍋に出汁を入れて火にかけ、80℃くらいになったら八丁味噌を溶き入れる。味噌汁が90℃を超えたくらいで火からおろし、りんごと水菜、油揚げを盛った椀に注ぐ。松の実を散らし、練り辛子を味噌汁でゆるめた溶き辛子を添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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